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物語編

第二章 第二十話 対話編

CASE 上向 の裏に 下向

 

マナミ 上に向かう、上向って、どういうものなの?
マサシ 上向とは、良くを持って、至善に向うことさ。
マナミ 我に善くて、他に善い、欲の使い方をするの?
マサシ うん、至善に動くと、欲の段を昇って行くよ。
マナミ 下から上に、欲の階を昇ると、どうなるの?
マサシ 悪人から善人、善人から真人に、上って行く。
マナミ 下に向かう、下向って、どういうものなの?
マサシ 下向とは、良くを以って、独善に向うことさ。
マナミ 我に善くて、他に悪い、欲の遣い方をするの?
マサシ うん、独善を働くと、欲の段を降って逝くよ。
マナミ 上から下に、欲の階を降ると、どうなるの?
マサシ 真人から善人、善人から悪人に、下って逝く。
マナミ つまり、欲そのものは、中立のものであり、
    使い方で、良く成ったり、悪く為ったりする?
マサシ そうさ、上に向うほど、選び抜いた欲になり、
    逆に、下に向うほど、寄せ集めた欲になるよ。
マナミ つまり、上に向うほど、欲の数が少なくなり、
    逆に、下に向うほど、欲の数が多くなるのね。
マサシ まさに、正解は有数で、不正解は無数なのさ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 上向 の先に 下向

 

サトミ 欲を究める、上向って、どういうものかな?
メグミ 上向とは、良くを持って、正しく使うことよ。
サトミ 至善に動き、欲を正すほど、どうなるのかな?
メグミ 正しさは、有数だからね、選び抜かれるのよ。
サトミ 欲の世界は、上に向うほど、数が少ないの?
メグミ 善は洗うほど、質は高くなり、量は減るのよ。
サトミ 欲が窮まる、下向って、どういうものかな?
メグミ 下向とは、良くを以って、誤って遣うことよ。
サトミ 独善を働き、欲を誤るほど、どうなるのかな?
メグミ 誤まりは、無数だからね、振り落されるのよ。
サトミ 欲の世界は、下に向うほど、数が増えるの?
メグミ 善は汚すほど、質は低くなり、量は殖えるよ。
サトミ じゃ、上に向うと減って、下に向うと増える。
    つまり、欲の世界は、三角形のような姿なの?
メグミ うん、欲は限界が在り、頂点が存在するのよ。
サトミ う~ん、欲を研き上げて、行き止まりになる。
    それって、欲を究めて、欲が窮ってないかな?
メグミ うふっ、気づいちゃった、忘れた方が良いよ。
    諦めるの、未だ早いよ、欲を持って生きてね。
サトミ ……………………

 


 

CASE 法家 と 儒家 と 道家

 

サトシ 韓非や商鞅、法家の教えは、どんな教えなの?
マサシ 悪い人に、悪を削ぎ落す、法を授けるものさ。
サトシ 孔子や孟子、儒家の教えは、どんな教えなの?
マサシ 善い人に、善を譲り渡す、仁を授けるものさ。
サトシ 老子や荘子、道家の教えは、どんな教えなの?
マサシ 真の人に、善と悪を超す、道を授けるものさ。
サトシ 悪に偏る人に、法を説くのは、どうしてなの?
マサシ 悪に対して、偏らないよう、懲らすためだよ。
サトシ 善に偏る人に、仁を解くのは、どうしてなの?
マサシ 善に対して、偏らないよう、譲らせるためさ。
サトシ 善でも悪にも、偏らない人は、どうなるの?
マサシ 思いのまま、振る舞っても、道から外れない。
    在りのままに、振る舞う、道そのものになる。
サトシ そうかなあ、道に従うのは、窮屈じゃないの?
マサシ そこには、未だ偏りたい、欲が残っているよ。
    欲を抑えて、振る舞う限り、窮屈に見えるよ。
サトシ それなら、欲を持っては、絶対にいけないの?
マサシ そんなこと、言ってないよ、それは言い過ぎ。
    そうして、言い過ぎるのこそ、欲の証なのさ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 法 と 仁 と 道

 

サトシ 無為自然、道家の教えって、どんな教えなの?
マナミ 真人に対し、徳で受け容れる、道を説くの。
サトシ 克己復礼、儒家の教えって、どんな教えなの?
マナミ 大人に対し、欲を外に広げる、仁を説くの。
サトシ 信賞必罰、法家の教えって、どんな教えなの?
マナミ 小人に対し、欲を内に抑える、法を説くの。
サトシ 諸子百家、段階を踏むのは、どうしてかな?
マナミ そもそもが、この世界に、善も悪も無いの。
    この世界観を、受け容れる、徳こそが道なの。
サトシ 僕は、善悪が無いなんて、受け容れられない。
    だから、大きな欲を持って、突き詰めたいな。
マナミ じゃ、善を分け与えて、悪を受け容れるの。
    すると、徳が積めて、真人に至る道が開くの。
サトシ 僕は、悪を愛するなんて、受け容れられない。
    だから、小さな欲を持って、突き詰めたいな。
マナミ じゃ、善を突き詰めて、悪を削ぎ落とすの。
    すると、善を積めて、大人に到る道が拓くの。
サトシ ふむ、受け容れないと、落ち続けるんだね。
マナミ それを、受け容れて、そうでないと還れない。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 下向なき上向 と 上向なき下向

 

サトミ 上向と下向、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 欲を究める、上向って、どういうものかな?
メグミ 上向とは、良くを使って、道を進むことだよ。
サトミ 欲が窮まる、下向って、どういうものかな?
メグミ 下向とは、良くが支えて、道を退くことだよ。
サトミ 上向を望み、下向に臨まないと、どうなるの?
メグミ 下向なき上向なんて、唯の下向に過ぎないよ。
サトミ じゃ、良くを究めると、飽くに窮まるのかな?
メグミ そうよ、頂まで至ったら、次から降るだけよ。
サトミ 下向を望み、上向に臨まないと、どうなるの?
メグミ 上向なき下向なんて、只の上向に過ぎないよ。
サトミ じゃ、飽くを極めると、良くに窮まるのかな?
メグミ そうよ、麓まで到ったら、次から昇るだけよ。
サトミ 上向だけでは、欲を使えて、欲に痞えるし、
    下向ばかりでは、欲を遣えず、欲に疲れるの?
メグミ うん、上向と下向、その両方が、必要なのよ。
サトミ そっか、下向を負い、上向を追っていくの?
メグミ そうなの、下向に臨み、上向を望んでいくの。
サトミ ……………………!!

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