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物語編

第二章 第二三話 対話編

CASE 上策 の裏に 下策

 

マナミ より良い策、上策って、どういうものなの?
マサシ 上策とは、他に頼らない、我に拠る策なのさ。
マナミ 敵に任せず、我に委ねると、どうなるのかな?
マサシ その者は、自分に任せて、相手を負かせるよ。
マナミ より悪い策、下策って、どういうものなの?
マサシ 下策とは、我に拠らない、他に頼る策なのさ。
マナミ 我に委ねず、敵に任せると、どうなるのかな?
マサシ その者は、自分に負けて、相手に負かされる。
マナミ たとえ、他が関わるような、問題であっても、
    自からに、責を求めれば、自ら解決できるの?
マサシ そうさ、他に責任を望めば、自由に出来ない。
    その一方、我に責任を臨めば、自由に出来る。
マナミ どう見ても、相手の責任ならば、どうするの?
マサシ そう思っても、自分の責任と、考えるんだよ。
マナミ う~ん、あなたの考え方が、おかしいと思う。
マサシ いや、そういう時にこそ、自らを疑うんだよ。
マナミ ううん、それは、あなたが、間違っているの。
    あなたは、正当化のため、策を弄しているの。
マサシ いいよ、僕は構わない、そこから始めようか。
マナミ ……………………

 


 

CASE 上策 の先に 下策

 

サトミ 確かである、上策って、どういうものかな?
マナミ 上策とは、確定している、自己に拠る策なの。
サトミ 確かでない、下策って、どういうものかな?
マナミ 下策とは、確定してない、他者に頼る策なの。
サトミ 解からない、それって、どういうことなの?
マナミ 例えば、病気が流行って、生活が困窮したら、
    あなたは、どんな原因から、どんな対策する?
サトミ じゃあ、薬が開発されるまで、家に閉じ篭る。
マナミ それでは、誰かにして貰う、曖昧さが入るの。
サトミ じゃあ、人に任せないで、自分で開発するわ。
マナミ それでは、実際に出来るか、曖昧さが残るの。
サトミ つまり、他者に逃げたり、不可能に逃げても、
    自力から、逃げている点は、違い無いのかな?
マナミ 飽く迄、自分が関わる現実に、原因を探して、
    現実的に、自力で行える対策を、見つけるの。
サトミ 身の回りの、現実の変化から、原因を探るの?
マナミ 従来の生活が、続かない理由を、考えるの。
サトミ 解からない、何が原因なのか、早く教えてよ。
マナミ 人に聞いたら、幾ら正しくても、下の策なの。
サトミ ……………………

 


 

CASE 上策 という 下策

 

サトシ 僕に、霊が取り憑いたんだ、どうしたらいい?
アツシ 確かに、人に頼り易いと、霊に憑かれ易いな。
サトシ いやいや、心理的な理由は、聞いてないよ。
    霊が憑いた、心霊的な理由を、知りたいんだ。
アツシ それなら、何処で憑いたか、確かめて来いよ。
サトシ 僕には、霊的な力が無いから、出来ないよ。
アツシ それなら、出来る範囲の理由を、探すべきだ。
    君には、心霊の原因ではなく、心理の原因だ。
サトシ いやいや、心理的な理由は、聞いてないよ。
    霊が憑いた、心霊的な理由を、知りたいんだ。
アツシ それなら、有能な霊能者を、見つけて来いよ。
サトシ ううん、誰が有能なのか、僕には解からない。
アツシ じゃ、俺を信じて、有能な霊能者を訪ねて、
    その上、彼を信じて、霊的な訳を尋ねるのか?
サトシ うん、そうだけど、それの何がおかしいの?
アツシ ここ迄、揃っていて、自分で解からないのか。
    幾ら、正しくても、俺が教えるのは誤まりだ。
サトシ もうっ、誤まりでも、良いから早く教えてよ。
アツシ ああ、これこそ答えだ、他者の所為にするな。
サトシ ……………………

 


 

CASE 三十六計 逃げるに如かず

 

サトシ 三十六計は、逃げるに如かず、なんだから、
    逃げられれば、逃げたら良いよ、そうだよね?
マサシ 一口に、逃げると言っても、二通り有るのさ。
    即ち、敵を背に逃げるか、敵の背に逃れるか。
サトシ 責任を負わず、敵から逃げると、どうなるの?
マサシ 背を、見せているから、敵に追われてしまう。
    つまり、追わないでって、敵に望んでいるよ。
サトシ 責任を負って、敵から逃れると、どうなるの?
マサシ 背を、見せてないから、敵に追われなくなる。
    むしろ、負われまいって、敵に臨んでいるよ。
サトシ じゃ、逃げ切れるのは、人事を尽した後なの?
マサシ そうさ、逃げるのは下策、逃れるのは上策。
    即ち、万策が尽きない限り、逃げ切れないよ。
サトシ う~ん、そう言い切れるのは、どうしてかな?
マサシ 「逃げるに如かず」は、三十六計の最後だよ。
    三十六計、全て試したから、そう言えるのさ。
サトシ う~ん、そうなのかなあ、そうじゃないかも。
    どんどん、逃げたら良いよ、そう思うでしょ?
マサシ そうやって、万策尽きるまで、逃げてみなよ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 下策なき上策 と 上策なき下策

 

サトミ 上策と下策、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 策を超える、上策って、どういうものかな?
メグミ 上策とは、矛盾を越えて、合理を辿ることよ。
サトミ 策に逃げる、下策って、どういうものかな?
メグミ 下策とは、矛盾を避けて、合理を辿ることよ。
サトミ 上策を望み、下策に臨まないと、どうなるの?
メグミ 下策なき上策なんて、唯の無策に過ぎないよ。
サトミ じゃ、敵を避けないで、敵を越えるだけなの?
メグミ そうよ、腹を向けるから、突き付けられるよ。
サトミ 下策を望み、上策に臨まないと、どうなるの?
メグミ 上策なき下策なんて、只の窮策に過ぎないよ。
サトミ じゃ、敵を越えないで、敵を避けるだけなの?
メグミ そうよ、背を向けるから、追い詰められるよ。
サトミ 上策だけでは、策に拘らず、腹を切られて、
    下策ばかりでは、策に溺れて、背を斬られる。
メグミ うん、上策と下策、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、下策を究め、上策に極めていくの?
メグミ そうなの、上策を超え、下策を越えていくの。
サトミ ……………………!!

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