第二章 第二三話 問答編
マサシ 兵法三十六計とは、どういうものですか?
アキラ 南北朝時代に著された、兵法書のこと。
著者は、宋の将軍だった、檀道済である。
三十六の計を、敵情に合せ、六系統に分け、
勝戦、敵戦、攻戦、混戦、併戦、敗戦である。
マサシ 勝戦計(主導時)は、どういうものですか?
アキラ 瞞天過海は、繰り返して慣れさせ油断を誘う。
囲魏救趙は、力を分散させ力を集中させない。
借刀殺人は、第三者を使って敵を攻撃させる。
以逸待労は、敵の攪乱を招き敵の疲弊を待つ。
趁火打劫は、敵の混乱に乗じて動き利を得る。
声東撃西は、陽動で翻弄し防備を崩し攻める。
マサシ 敵戦計(優勢時)は、どういうものですか?
アキラ 無中生有は、わざと偽装を露見し油断を誘う。
暗渡陳倉は、偽装で攻撃を隠蔽して奇襲する。
隔岸観火は、相手の混乱を放置し自滅を待つ。
笑裏蔵刀は、敵に友好的に接して油断を誘う。
李代桃僵は、不要を切り捨てて被害を抑える。
順手牽羊は、隙を突いて細かく損害を与える。
マサシ 攻戦計(強敵時)は、どういうものですか?
アキラ 打草驚蛇は、偵察を出して相手の反応を探る。
借屍還魂は、死者や大義を自らの目的に使う。
調虎離山は、敵を誘き出し有利な条件で戦う。
欲擒姑縦は、わざと逃して油断させて捕える。
抛磚引玉は、不要な物を囮に敵を誘き寄せる。
擒賊擒王は、中心の型を捕らえて敵を弱める。
マサシ 併戦計(同盟時)は、どういうものですか?
アキラ 釜底抽薪は、兵站や大義を壊して封じ込める。
混水摸魚は、混乱させて望む行動を取らせる。
金蝉脱殻は、留まるように敵に見せかけ退く。
遠交近攻は、遠い敵と組んで近い敵を攻める。
仮道伐虎は、相手を分断して各個を撃破する。
マサシ 敗戦計(劣勢時)は、どういうものですか?
アキラ 美人計とは、美女を贈り込んで敵の力を挫く。
空城計とは、敢えて招き入れて近寄らせない。
反間計とは、敵に入り込んで内部分裂を招く。
苦肉計とは、自らを傷つけて相手の虚を突く。
連環計とは、策を繋げ足を引っ張り合わせる。
走為上とは、勝ち目が無いなら戦わず逃げる。
マサシ 走為上(そういじょう)とは?
アキラ 走為上は、三十六計の三十六計であり、
最上の策は、問題から完全に逃れること。
問題を乗り越えるのは、最善の策と言えて、
問題から逃げ続けるのは、最悪の策と言える。
マサシ 上策(ジョウサク)は、どういうものですか?
アキラ 上策は、敵に依らず、我に拠りながら、
自身に任せて、相手を負かす、策である。
もし、万策を尽くして、敵に臨んでいけば、
敵の背に逃れるため、二度と追われなくなる。
マサシ 下策(ゲサク)とは、どういうものですか?
アキラ 下策は、我に拠らず、敵に頼りながら、
相手に任せて、自身を負かす、策である。
もし、万策を尽くさず、敵に望んでいれば、
敵を背に逃げるため、永遠に負われてしまう。