物語編
第二章 第二四話 物語編
第二章 天 と 人
第二四話 果を司るもの と 因を司るもの
一体、わたしは、何処まで、逃げたのだろうか。
ふと気が付いたら、天を仰いで、地に倒れていた。
心と体の痛みに感け、起き上がることさえ出来ない。
“師の言い付けを、聞いておれば、良かったものを。”
師を救えないばかりか、死に追い遣ってしまう。
我が師の、最後の弟子を、自認しながら此の様か。
不甲斐ない、我が身を呪い、悔恨の涙が頬を流れる。
“死んでしまおうか、生き長らえても、意味がない。”
人の心を察することなど、微塵も無いのだろう。
恐ろしいほどに、天は澄み渡り、日が射している。
突き放したような、深い空の色が、私を責めてくる。
“生きていようか、死んでしまっても、意味がない。”
今まで、こんなに、空が高く見えたことはない。
いつも通りのはずが、今の私には、違って見える。
天の捉え方なんて、人それぞれ、なのかもしれない。
〈ああ、生きてさえいれば、別の捉え方が出来る。〉
一体、わたしは、誰と、話していたのだろうか。
声が肉声に変わり、私の隣りに、男が立っていた。
彼は肩を貸しながら、私を起き上がらせようとした。