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物語編

第二章 第二六話 物語編

第二章    民意   と   天意
第二六話 人の表わす意 と 天の現わす意

 

彼は、君に見せておきたいものがある、と言い、
夕陽に照らされた、城壁の上に私を連れて行った。
すると、私の眼下に、無数の人々の営みが広がった。

 

いま、認める魂に限るならば、万を数える民。
これから、現れる魄も含めるなら、億を数える命。
彼らを全て、君は魂魄を以って、導かねばならない。

 

惑う私を省みることなく、彼は、このように続けた。

 

忘れているだろうが、是は、君自身の意志だ。
加えて、民の意志であり、更に、天の意思である。
君は、彼らの型となるため、この世に生まれ落ちた。

 

拒む私を顧みることなく、彼は、このように続ける。

 

上辺の恐縮は無用、乱世の天命を思い描く時、
奥から湧き上がる喜びこそ、君の偽らざる本心だ。
先天の本性を、後天の習性で、覆い隠す必要はない。

 

だからこそ、言っておく、君の一挙手一投足、
多くの者が、それに倣う事を、意識した方がいい。
君は見えてないが、多くの者に、君は見られている。

 

これから、君は、偽りのない、実力を以って、
天意の在り処を、明らかにしなければならないが、
それを、いまから、偽るようでは、諦めるしかない。

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