第二章 第二七話 対話編
CASE 経過 の裏に 結果
マナミ 時が流れる、経過って、どういうものなの?
マサシ 経過とは、実感を積んで、高めて行くことさ。
マナミ 時が流れた、結果って、どういうものなの?
マサシ 結果とは、実感が詰んで、現れて来ることさ。
マナミ つまり、経過を介して、実感が高められて、
最終的に、結果を解して、実感が現われるの?
マサシ そうさ、実感が高くないと、結果を感じない。
マナミ どうして、実感が低いと、結果を感じないの?
マサシ これは、経過に過ぎないと、感じるからだよ。
マナミ それなら、経過と結果は、どう区別するの?
マサシ 例えば、過去に於いて、Aを望んでいると、
Aや非Aに臨むとき、結果と感じやすくなる。
マナミ BやCに臨んでいても、結果と感じにくいの?
マサシ BやCを、非Aと見れば、結果と感じるし、
反対に、非Aと見なければ、結果と感じない。
マナミ すなわち、Aが適っても、Aが叶わなくても、
十分に、実感が高くなると、結果と感じるの?
マサシ うん、でもね、何と答えても、君次第なのさ。
これも、経過と考えるなら、別の答えを探す。
マナミ ……………………!!
CASE 経過 の先に 結果
サトミ 時が過ぎる、経過って、どういうものかな?
メグミ 経過とは、因果を介して、受け流すことだよ。
サトミ 時が結んだ、結果って、どういうものかな?
メグミ 結果とは、因果を解して、受け止めることよ。
サトミ じゃあ、いつ受け流し、いつ受け容れるの?
メグミ 実感が無いと、意に介さず、受け流すけど、
実感が満ちると、意に解して、受け止めるよ。
サトミ そのとき、臨んだものが、望んでいたものか、
望んでいないものか、因果を解するってこと?
メグミ そうよ、叶ったにせよ、適わなかったにせよ、
経過を重ねてないと、結果を認められないの。
サトミ 確かに、適わないなら、認めないと思うけど、
それこそ、叶ったときは、見とめると想うよ。
メグミ たとえ、適ったとして、実感が足りないから、
自ずから、不安になって、結果を望み出すよ。
サトミ う~ん、その考え方は、あたし認められない。
メグミ そうかな、あなたの方が、正しかったのかも。
サトミ やだな、あたしの方に、合せてくれたのかな?
メグミ そうかな、わたしの方が、正しかったのかも。
サトミ ……………………
CASE 結果なき経過 と 経過なき結果
サトミ 経過と結果、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 時が過ぎる、経過って、どういうものかな?
メグミ 経過とは、時間を介して、実感を望むことよ。
サトミ 時が満ちる、結果って、どういうものかな?
メグミ 結果とは、時間を解して、実感に臨むことよ。
サトミ 経過を望み、結果に臨まないと、どうなるの?
メグミ 結果なき経過なんて、唯の自慰に過ぎないよ。
サトミ じゃ、経過に甘んじて、結果を重んじないの?
メグミ そうよ、成果を介せずに、実利を修めないよ。
サトミ 結果を望み、経過に臨まないと、どうなるの?
メグミ 経過なき結果なんて、只の示威に過ぎないよ。
サトミ じゃ、結果に甘んじて、経過を重んじないの?
メグミ そうよ、過程を解せずに、道理を修めないよ。
サトミ 経過だけでは、実を介して、利を収めない。
結果ばかりでは、道を解して、理を納めない。
メグミ うん、経過と結果、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、結果を望み、経過に臨んでいくの?
メグミ そうなの、経過を負い、結果を追っていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 覇者 の裏に 王者
マナミ 覇道を進む、覇者って、どういうものなの?
マサシ 覇者とは、武力を持って、地を治めるものさ。
マナミ 欲を解して、民を分けるのは、どうしてなの?
マサシ 覇者ほど、結果を重んじて、天意に臨むのさ。
マナミ たとえ、民意に従っても、天意に適わないと、
結局、結果が現われず、民意に背くだけなの?
マサシ だから、覇の道の段では、地だけ治めるのさ。
マナミ 王道を進む、王者って、どういうものなの?
マサシ 王者とは、胆力を以って、人を治めるものさ。
マナミ 徳を介して、民を容れるのは、どうしてなの?
マサシ 王者ほど、経過を重んじて、民意に臨むのさ。
マナミ たとえ、天意に順っても、民意に叶わないと、
結局、結果を見とめず、天意に叛くだけなの?
マサシ だから、王の道の階では、人まで治めるのさ。
マナミ 覇の道は、器が小さく、治世が短くなるし、
王の道では、器が大きく、治世が長くなるの?
マサシ 武をして、治めたとしても、永くは続かない。
マナミ 力を持って、従わせても、心から順わないの?
マサシ こうして、器を以って、優しく応じないとね。
マナミ ……………………
CASE 覇者 の先に 王者
サトミ 覇道を進む、覇者って、どういうものかな?
メグミ 覇者とは、天意を望んで、理を究めるものよ。
サトミ 覇者が、邪魔を排するのは、どうしてなの?
メグミ 覇の道は、矛盾を除くと、開かれるからだよ。
サトミ だから、欲の力をして、民意を切り捨てるの?
メグミ うん、斬り棄てたものが、強い敵になるけど。
サトミ 覇道は、着くのが先か、憑くのが先かなの?
メグミ そうだよ、欲に憑き纏う、魔との戦いなのよ。
サトミ 王道を進む、王者って、どういうものかな?
メグミ 王者とは、民意に臨んで、徳を極めるものよ。
サトミ 王者が、邪魔を容れるのは、どうしてなの?
メグミ 王の道は、矛盾を許すと、拓かれるからだよ。
サトミ だから、徳の力をして、民意を受け容れるの?
メグミ うん、享け入れたものが、重い荷になるけど。
サトミ 王道は、着くのが先か、尽くのが先かなの?
メグミ そうだよ、徳を信じ抜く、己との闘いなのよ。
サトミ 覇者は、理を突き詰め、道を進んで行くし、
王者では、徳を積み重ね、道を広げて行くの?
メグミ うふっ、絶対にそうなるの、異論は認めない。
サトミ ……………………!!
CASE 覇者 という 王者
サトシ 覇道を敷く、覇者って、どういうものかな?
アツシ 覇者とは、天意を重んじ、手段を選ばない、
つまり、合理を究めて、無駄を捨てるものだ。
サトシ じゃ、欲が大きい人ほど、覇道を進むのかな?
アツシ そうだ、小さく収まるから、長く治まらない。
サトシ 王道を布く、王者って、どういうものかな?
アツシ 王者とは、民意を重んじ、道理を外さない、
つまり、大器を極めて、無駄を容れるものだ。
サトシ じゃ、徳が大きい人ほど、王道を進むのかな?
アツシ そうだ、大きく納めるから、長く治められる。
サトシ 先ず、他の者を顧みず、結果を出すべきで、
次から、他の者を省みて、経過を正すのかな?
アツシ そうだな、そうすると、王者の風格が現れる。
サトシ そうか、勝てば良い、そんな簡単じゃないか。
でも、順序が逆ならば、一回で済んだのにね。
アツシ 王者が先、覇者が後なら、簡単で良かったと?
サトシ 経過が先で、結果が後なら、一回で済むよね。
アツシ おいおい、その考え方は、俺には無かったぞ。
しかし、無駄を捨てる、段階なら仕方ないな。
サトシ ……………………
CASE 王者なき覇者 と 覇者なき王者
サトミ 覇者と王者、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 理を究める、覇者って、どういうものかな?
メグミ 覇者とは、結果を重んじ、天意を望むものよ。
サトミ 徳を極める、王者って、どういうものかな?
メグミ 王者とは、経過を重んじ、民意に臨むものよ。
サトミ 覇者を望み、王者に臨まないと、どうなるの?
メグミ 王者なき覇者なんて、唯の無理に過ぎないよ。
サトミ じゃ、合理を望むから、不合理に臨まないの?
メグミ そうよ、理を強いるから、無理を押し通すよ。
サトミ 王者を望み、覇者に臨まないと、どうなるの?
メグミ 覇者なき王者なんて、只の無徳に過ぎないよ。
サトミ じゃ、仁徳を望むから、不仁徳も許されるの?
メグミ そうよ、徳を誣いるから、無徳が罷り通るよ。
サトミ 覇者だけでは、理に偏って、理が崩れるし、
王者ばかりでは、徳に偏って、徳が壊れるの?
メグミ うん、覇者と王者、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、覇者を負い、王者を追っていくの?
メグミ そうなの、覇者を究め、王者に極めていくの。
サトミ ……………………!!