第二章 第三二話 対話編
CASE 欲 の裏に 徳
マナミ 良く明らめる、欲って、どういうものなの?
マサシ 欲とは、二元の源であり、良くを持つことさ。
マナミ 欲は、自然を解して、善と悪に分けていくの?
マサシ そうさ、自我を介して、良く突き詰めるのさ。
マナミ 欲を持って、利に囚われると、どうなるの?
マサシ 良くなる、明らめるしかないと、突き詰める。
マナミ 良く諦らめる、徳って、どういうものなの?
マサシ 徳とは、一元の源であり、良くを解くことさ。
マナミ 徳は、自我を介して、善と悪を合せていくの?
マサシ そうさ、自然を解して、良く受け容れるのさ。
マナミ 徳を以って、理を見とめると、どうなるの?
マサシ 良くない、諦らめるしかないと、受け容れる。
マナミ つまり、最終的には、すべてを諦めるけれど、
良く、諦めるには、良く明らめるしかないの?
マサシ 例えば、死ぬ時には、諦らめるしかないけど、
納得して、死ぬ為には、明らめるしかないよ。
マナミ どうせ、死ぬんだからと、欲を持たなければ、
どうして、生まれたのかが、解らなくなるね。
マサシ このように、良く解すために、生まれたのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 欲 の先に 徳
サトミ 二元に返すもの、欲って、どういうものかな?
メグミ 欲とは、一元を解して、二元に分けるものよ。
サトミ 一元に還すもの、徳って、どういうものかな?
メグミ 徳とは、二元を会して、一元に合せるものよ。
サトミ そもそも、一元って、どういうものなのかな?
メグミ 陽でもない、陰でもない、何でも無いものよ。
サトミ 何でも無いを、欲で解すと、どうなるのかな?
メグミ 陰陽に分け、色々な善が、生まれて来るのよ。
サトミ ある善を、絶対と捕えると、どうなるのかな?
メグミ 因果に塗れ、欲も小さく、徳も小さくなるよ。
サトミ ある善を、相対と捉えると、どうなるのかな?
メグミ 因果を解き、欲も大きく、徳も大きくなるよ。
サトミ う~ん、絶対善と見るほど、良くが萎むなら、
似ている、善くと良くは、全く違うものなの?
メグミ 陰と陽、どちらかが善いものが、欲であり、
陽も陰も、どちらでも良いものが、徳なのよ。
サトミ う~ん、そういうことなら、裏を見たくない、
あたしは、徳も小さいし、欲も小さいのかな?
メグミ うふっ、それを認めるのは、とても大きいの。
サトミ ……………………!!
CASE 欲 と 空 と 徳
サトシ 良くに至ること、欲って、どういうものなの?
アツシ 欲とは、善悪に分けて、善だけ追うことだな。
サトシ 解くに至ること、徳って、どういうものなの?
アツシ 徳とは、善悪を合せて、悪まで負うことだな。
サトシ 空くに至ること、空って、どういうものなの?
アツシ 空とは、善悪が消えて、一元に還ることだな。
サトシ そもそも、一元って、どういうものなのかな?
アツシ 何でも無い、善でも無い、悪でも無いものだ。
サトシ 善と悪に分け、欲を持つと、どうなるのかな?
アツシ 悪など無く、善しか無い、絶対善を望むんだ。
サトシ 悪を負わずに、善を追うと、どうなるのかな?
アツシ 善など無く、悪しか無い、絶対悪に臨むんだ。
サトシ 確かに、存在しないものを、望んでしまえば、
必ず、存在しないことに、臨んでしまうよね。
アツシ しかし、絶対悪も無いから、出口は存在する。
サトシ それなら、悪まで負うと、どうなるのかな?
アツシ 善でもあり、悪でもあると、空に還っていく。
サトシ なるほど、前の一元とは、似て非なる物だね。
アツシ 良く解けたな、それが、同じだが異なる空だ。
サトシ ……………………!!
CASE 徳のない欲 と 欲のない徳
サトミ 欲と徳、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 良くを適える、欲って、どういうものかな?
メグミ 欲とは、良くに捕われて、良くを望むことよ。
サトミ 良くを越える、徳って、どういうものかな?
メグミ 徳とは、良くに囚われず、解くに臨むことよ。
サトミ 欲を重んじて、徳を軽んじると、どうなるの?
メグミ 徳のない欲なんて、唯の禁欲に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、解くに臨まず、良くを望むだけなの?
メグミ そうよ、良くが解けず、良くが適わなくなる。
サトミ 徳を重んじて、欲を軽んじると、どうなるの?
メグミ 欲のない徳なんて、只の不徳に過ぎないのよ。
サトミ じゃ、良くを望まず、解くに臨むだけなの?
メグミ そうよ、良くが適わず、良くが解けなくなる。
サトミ 欲だけは、徳が無いから、欲が適わないし、
徳ばかりは、欲が無いから、徳を積めないの?
メグミ そうよ、欲と徳、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、徳を研きながら、欲を磨いていくの?
メグミ うふっ、欲を究めながら、徳を極めていくの。
サトミ ……………………!!