物語編
第二章 第三三話 概念編
第二章 省察克治
第三三回 得 の裏に 徳
得は、相対の利であり、害の裏の利のこと
徳とは、絶対の利であり、害の無い利のこと
得は、我が外なる利であり、奪い合う利である
徳とは、我が内なる利であり、認め合う利である
誰かが利を享けると、誰か害を受けている
後半分を無視して、自らが利を突き詰めると
徳が損と得に分かれ、我が器が狭くなっていく
器が小さいと、物は充ちても、心は満たされない
誰かが害を受けると、誰か利を享けている
後半分を重視して、自らが害を受け容れると
損と得が徳に合さり、我が器が広くなっていく
器が大きいと、外は貧しくとも、内は豊かになる
たとえ、いかなる得を、外に観じようとも
内で感じているのは、心の豊かさ、徳である
小さな徳は、有限を奪い合って、不満を感じて
大いなる徳は、有限を与え合って、無限を感じる