物語編
第二章 第三四話 物語編
第二章 法 と 徳
第三四話 欲を抑える道 と 欲を越える道
〈欲にせよ、利にせよ、明らめた後、諦らめる。
半端に諦めるから、明らかになるのは、害ばかり。
完全に明めるがいい、諦らめられるのは、その後だ。〉
「小人が、明らめる道とは、如何なる道ですか。」
〈害を与える者に、害が与えられる、法治の道理。
害を与えないことが、利に等しいことを、明らめる。〉
「大人が、明らめる道とは、如何なる道ですか。」
〈得を与える者に、徳が与えられる、徳治の道理。
得を求めないことが、利に等しいことを、明らめる。〉
〈法徳は、法なき世に、法を布き、悪を誅した。
その有様は、苛烈を極め、その結果、善が栄えた。
悪人は棲み難く、善人は住み易い、別天地が現れた。〉
〈彼を危ぶむ敵も多いが、彼を称える友も多い。
この善悪定かならぬ人物に、多くの評が集まった。
それらを悉く呑み込む度量が、彼を大徳と評す由縁。〉
〈その徳に感じ入り、命を掛ける者まで現れた。
彼らにとっては、彼に尽くせることが、絶対の徳。
この損得を越えた繋がりが、新たな道を示している。〉