第二章 第三六話 問答編
マサシ 取実与名(シュジツヨメイ)とは?
アキラ 取実与名は、実を取って、名を与える、
実が生まれていると、名が産まれてくる。
名ばかりで、実がないと、花が散っていく。
実ばかりでも、名がないと、芽が守られない。
マサシ 名(メイ)とは、どういうものですか?
アキラ 名とは、形として、外に表われるもの。
他人から、得として、外に見とめるもの。
たとえ、名が付いても、徳が欠けていると、
他の人に、実を暴かれて、名が腐ってしまう。
マサシ 実(ジツ)とは、どういうものですか?
アキラ 実とは、型として、内に現われるもの。
自分から、徳として、内に見とめるもの。
たとえ、実が生っても、得が欠けていると、
他の人が、実を見とめず、実が腐ってしまう。
アタミ ブランディングを、しないのですか?
マコト 自ずから、自己の価値を認めていれば、
他者に認めてもらう、必要は有りません。
まして、価値を高める、必要も在りません。
無意識に、価値が低いと、高めようとします。
クシロ 法名(ホーリーネーム)が、欲しいです。
マコト 確かに、ごっこ遊びは、楽しいですし、
型から入るのは、有り得る導き方ですが、
もはや、遊びでは、もったいない時代です。
名に囚われなければ、そのものに成り得ます。
ツル 面相、手相、出生時刻、遺伝子情報など。
これらの情報から、人物を判断できますか?
マコト 外を見ていると、外しか解かりません。
分からないよりは、解る方が良いですが、
外に囚われていると、内まで見えなくなり、
逆に足を掬われて、悟りからは遠くなります。
登山に喩えるなら、外が見えていると、
その者が、何合目に居るか、解かります。
内まで見えていると、何回目の登山なのか、
その者が、何故に其処に居るか、解かります。
ツル 気、振動数、チャクラ、エネルギーなど。
これらの情報から、人物を判断できますか?
マコト 以上は、一見すると、内に見えますが、
実際には、外に現れる、名に過ぎません。
従って、この様な技法に、囚われていると、
周回先の、この世の秘法が、見えて来ません。
ツル 一周回った存在が、悟りには重要なのですか?
マコト 解脱の手前に潜む、深淵を越えるとき、
あらゆる、善と悪が、引っ繰り返ります。
その時、あなたの、目の前に現れる者とは、
最も憎い者、最も醜い者、一周回った者です。
彼らを粗略に扱えば、深淵を引き返し、
彼らを丁重に扱うなら、深淵を渡り切る。
つまり、外に見えている、相に囚われると、
無意識に、内なる神を侮り、神を悟れません。
コウベ まともな、有名人は、存在していますか?
マコト 有名人の九分九厘が、地獄に堕ちます。
その中の一厘だけ、誠実な有名人ですが、
小学生に、一厘を教えて、救いを説いても、
大学生には、外に頼るなと、悟りを解きます。
コウベ 正しい有名人に、倣う必要はないのですか?
マコト 誰かを尊び、誰かを貴ばない、小学生。
誰であれ貴び、誰もを蔑まない、大学生。
即ち、魂が幼い者ほど、序列を重んじます。
上の者に媚び諂って、下の者を侮り蔑みます。
コウベ 有名人が、地獄に落ち易いのは、何故ですか?
マコト 人の世界に、地獄から招かれた者達は、
類が友を呼び、異色の世界を形成します。
その辛い来歴を、虚飾で隠そうとするため、
その世界の特徴は、巧言令色、有名無実です。