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物語編

第二章 第三七話 対話編

CASE 道 の裏に 徳

 

マナミ 価値を伝える、道って、どういうものなの?
マサシ 道とは、利を持って、理を進めるものなのさ。
マナミ 道は、歩んでいる人に、成功を与える理なの?
マサシ そうさ、理が歪んだ道は、成れを伝えないよ。
マナミ 後輩側は、成功を収めると、成功から学べて、
    先輩は、成れを与えると、道を勧められるの?
マサシ 慣れない、成功から学ぶことが、必要なのさ。
マナミ 価値を教える、徳って、どういうものなの?
マサシ 徳とは、道を以って、器を広げるものなのさ。
マナミ 徳は、歩んでいる人の、失敗を容れる器なの?
マサシ そうさ、器が小さい道は、過ちを許せないよ。
マナミ 後輩側は、失敗を認めると、失敗から学べて、
    先輩は、過ちを容れると、道を拡げられるの?
マサシ 慣れたら、失敗から学ぶことが、重要なのさ。
マナミ 道を勧めて、拡げていくほど、どうなるの?
マサシ 最終的に、大自然そのもの、道、タオになる。
マナミ 宇宙は、真理を伝える、道そのものなのね。
マサシ そうだよ、真実を教える、器そのものなのさ。
    このように、価値を伝えて、教えているんだ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 道 の先に 徳

 

サトミ 深めていくもの、道って、どういうものかな?
メグミ 道とは、奥へと進めて、頂を究めるものだよ。
サトミ それなら、優れた道とは、どういうものかな?
メグミ 普遍を司る、深い所にまで、続いている理よ。
サトミ その道を、奥に深めていくと、どうなるの?
メグミ 最たる頂は、全てに当て嵌まる、真理なのよ。
サトミ 広げていくもの、徳って、どういうものかな?
メグミ 徳とは、端へと勧めて、麓を極めるものだよ。
サトミ それなら、優れた徳とは、どういうものかな?
メグミ 特殊を司る、遠い処にまで、届いている我よ。
サトミ その徳を、端に広げていくと、どうなるの?
メグミ 最たる麓は、総てを包み込める、真我なのよ。
サトミ 奥に深めても、端に広げても、どちらにせよ、
    最終的には、万物と同化し、自然になるのね。
メグミ この道だけが、選れていると、利に捕われて、
    理を外れるから、真の理に、至れなくなるの。
サトミ この徳だけが、選れていると、個に囚われて、
    器を狭めるから、真の我に、到れないわけか。
メグミ そうよ、深めても、広げても、ここに来るの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 得 と 道 と 徳

 

サトシ 導いているもの、道って、どういうものかな?
アツシ 道とは、得が徳に変るまで、欲を導くものだ。
サトシ 得しているもの、得って、どういうものかな?
アツシ 得とは、損と得が分かれる、欲を持つことだ。
サトシ 徳しているもの、徳って、どういうものかな?
アツシ 徳とは、損と得を合わせて、欲を越すことだ。
サトシ じゃ、徳が生じないなら、道を招じないの?
アツシ そうだ、徳が招じるところ、道が生じるんだ。
サトシ ひたすら、損得を考えず、本分を果たすと、
    周りの人が、損得に解して、評価を与えるの。
アツシ その道が、得と考える者だけ、その道を進む。
サトシ 損得を解して、道を進むときは、どうなるの?
アツシ 得が有れば、損を厭わないと、求道心を研く。
サトシ 損得を介さず、道を進むときは、どうなるの?
アツシ 道が在れば、何も要らないと、不動心を磨く。
サトシ じゃ、先ず得に誘われて、後に徳に導かれる?
アツシ そうだ、知らない内に、道そのものに変わる。
サトシ なるほど、道を進む人は、外が気に為らない?
アツシ そうだ、君も、道を進めば、自ずと解かるぞ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 徳のない道 と 道のない徳

 

サトミ 道と徳、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 引き寄せる理、道って、どういうものかな?
メグミ 道とは、全てに見とめる、原理のことなのよ。
サトミ 受け容れる器、徳とは、どういうものかな?
メグミ 徳とは、総てを見とめる、限界のことなのよ。
サトミ 道を重んじて、徳を軽んじると、どうなるの?
メグミ 徳のない道なんて、単なる道楽に過ぎないよ。
サトミ じゃ、自ら修めても、誰も受け容れないの?
メグミ そうよ、誰も近づけず、独り楽しむだけだよ。
サトミ 徳を重んじて、道を軽んじると、どうなるの?
メグミ 道のない徳なんて、単なる虚器に過ぎないよ。
サトミ じゃ、他を許しても、誰も引き寄せないの?
メグミ そうよ、誰も近づけず、独り虚しいだけだよ。
サトミ 道だけでは、総てを誘う、度量に欠けるし、
    徳ばかりでは、全てを導く、手段に乏しいの?
メグミ そうよ、道と徳、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、徳を研きながら、道を磨いていくの?
メグミ うふっ、道を究めながら、徳を極めていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 道化 の裏に 道家

 

マナミ 道に化ける、道化って、どういうものなの?
マサシ 道化とは、真理を悟った、器が小さいものさ。
マナミ 道と化する、道家って、どういうものなの?
マサシ 道家とは、真理を悟った、器が大きいものさ。
マナミ う~ん、そもそも、道って、どういうもの?
マサシ 真理とは、Aでも良いし、非Aでも良いだよ。
マナミ 器が小さい、道化って、どういうことなの?
マサシ Aでは成り立つけど、BやCで成り立たない。
マナミ 器が大きい、道家って、どういうことなの?
マサシ Aでも成り立つけど、BやCも成り立つのさ。
マナミ じゃ、悟った条件が寡いと、道化に為るし、
    反対に、悟った条件が多いと、道家に成るの?
マサシ 道に気づいて、道を歩んで、徳を築くんだ。
    徳なき道なんて、道化の如く、幼稚の極みさ。
マナミ 道を悟った人って、分別を重んじる人には、
    分別を軽んじる、卑しい人に見えてしまうの?
マサシ うん、それを、道化は笑うし、道家は畏まる。
マナミ つまり、これが、偽物と本物の、違いなのね。
マサシ うん、良く気づいたね、後は、築くことだよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 道化 の先に 道家

 

サトミ 道を演じる、道化って、どういうものかな?
メグミ 道化とは、真理を悟って、慢心を抱くものよ。
サトミ 道を講じる、道家って、どういうものかな?
メグミ 道家とは、真理を悟って、虚心を抱くものよ。
サトミ う~ん、こんな違いが、どうして出るのかな?
メグミ そもそも、真理って、どういうものか解かる?
サトミ 真理は、Aも良いけど、非Aでも良いだよね。
メグミ それなら、世間って、どういうものか解かる?
サトミ 世間は、Aが良いなら、非Aでは悪いだよね。
メグミ このとき、非Aを選べるのは、自分だけだ。
    人々と違い、自分は択ばれたと、思い込むと?
サトミ 傲慢になって、人々の考えが、認められない。
メグミ このとき、非Aを選べるのは、自分だけだ。
    人々の為に、慎重に択びたいと、想い出すと?
サトミ 謙虚になって、人々の考えを、見とめられる。
メグミ 道化なら、好き勝手に、自分の役を決めて、
    道家は、全体を見渡して、自分の柄を決める。
サトミ なるほど、こんなこと、考えたこと無かった。
メグミ うふっ、そうやって、謙虚に認めていってね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 道化 という 道家

 

サトシ 破顔に誘う、道化って、どういうものかな?
マサシ 道化とは、徳を研かない、道を悟るものだよ。
サトシ 笑顔に導く、道家って、どういうものかな?
マサシ 道家とは、徳が磨かれた、道を悟るものだよ。
サトシ う~ん、良く解らない、どういうことかな?
マサシ そもそも、笑いとは、緊張と弛緩の釣り合い。
    緊張の後に、弛緩すると、笑いを招じるのさ。
サトシ 真理を悟ると、Aでも良く、非Aでも良く、
    釣り合いを、取れるから、笑いを取れる訳か。
マサシ 器が狭く、自分だけ笑うと、どうなると思う?
サトシ 周りの人は、緊張したままで、苦笑いになる。
マサシ 器が広く、自ずから笑うと、どうなると想う?
サトシ 周りの人も、弛緩できるから、微笑みになる。
マサシ そうさ、無理に笑わせると、何処かで歪み、
    逆に、自然に笑わせると、静かな笑みになる。
サトシ つまり、歪んだ笑いの裏で、誰か泣いている。
マサシ そうだよ、器が小さいと、それに気づかない。
サトシ 悪戯に、笑わせたとしても、泣かせるだけか。
マサシ 君が、分かってくれて、僕は、ホッとしたよ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 道家 という 道化

 

サトシ ねぇねぇ、聞いてよ、僕は、道を悟ったんだ。
アツシ そうか、君が悟った道は、どんなものなんだ?
サトシ 僕が悟った道は、Aでも良く、非Aでも良い、
    どちらでも良いという、無為自然な境地だよ。
アツシ どうやら、俺が悟った道と、同じようだな。
    道の入口に、君も辿り着けて、良かったよな。
サトシ いやいや、これは入口ではなく、出口だって。
    これからは、僕の好き勝手に、生きていくよ。
アツシ おいおい、そんな悟りでは、単なる道化だな。
    例えば、誰も居ない赤信号で、君は停まるか?
サトシ そもそも、信号なんて、交通を守るものだよ。
    交通が乱れないなら、停まる必要なんてない。
アツシ 信号を守る子が、前に居たら、君は止まるか?
サトシ 法を守る者のため、法を護れと、言いたいの?
    他人なんて関係ない、止まる必要なんてない。
アツシ 君が悟った道とは、徳を培うため進むものだ。
    他を認めなかったら、入口に立ったままだぞ。
サトシ そんなの関係ない、僕は今のままで良いんだ。
アツシ まあ、そうだろうな、俺も前までそうだった。
サトシ ……………………

 


 

CASE 道家なき道化 と 道化なき道家

 

サトミ 道化と道家、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 修めず笑う、道化って、どういうものかな?
メグミ 道化とは、部分を収めて、道を説くものだよ。
サトミ 修めて笑う、道家って、どういうものかな?
メグミ 道家とは、全体を納めて、道を解くものだよ。
サトミ 道化を望み、道家に臨まないと、どうなるの?
メグミ 道家なき道化なんて、唯の剽軽に過ぎないよ。
サトミ じゃ、笑いは有るけど、学びが無いのかな?
メグミ そうよ、学びが浅いほど、笑いが続かないよ。
サトミ 道家を望み、道化に臨まないと、どうなるの?
メグミ 道化なき道家なんて、只の謹厳に過ぎないよ。
サトミ じゃ、学びは有るけど、笑いが無いのかな?
メグミ そうよ、学びが深いほど、笑いが遠くなるよ。
サトミ 道化だけでは、軽く過ぎて、騒ぎ過ぎるし、
    道家ばかりでは、深く過ぎて、静か過ぎるの?
メグミ うん、道化と道家、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、道家を研き、道化を磨いていくの?
メグミ そうなの、道化を究め、道家に極めていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 書道 と 武道 と 茶道

 

サトシ 書道、武道、茶道など、沢山の道が在るよね。
    う~ん、どの道を選んだら、最も良いのかな?
マナミ どの道を、択んだのかは、重要じゃないの。
    いかに道を、進んだのかが、肝要なことなの。
サトシ どんな道でも、誤って進むと、どうなるの?
マナミ 損得に捕われて、心が外に、対かい始めるの。
サトシ どんな道でも、正しく進むと、どうなるの?
マナミ 名利に囚われず、心が内に、向かい始めるの。
サトシ なるほど、外の世界は、様々に分かれるけど、
    反対に、内の世界は、一つに合わさるからか。
マナミ うん、たとえ、どんな道を、選んでいても、
    正しく進んだら、心の世界に、入っていくの。
サトシ 確かに、直接的に、心に臨む道は早いけど、
    他の道を、選んでも、同じ処に行き着くんだ。
マナミ そうよ、それどころか、回り道をした方が、
    器が大きくなるから、味わい深い道になるの。
サトシ そっか、道が正しいか、悩まなくて良いんだ。
    安心した、もう少しだけ、選んでいようかな。
マナミ う~ん、進まなければ、回り道も出来ないの。
サトシ ……………………

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