clear
clear
物語編

第二章 第四一話 対話編

CASE 差別 の裏に 区別

 

マナミ 違えて見る、差別って、どういうものなの?
マサシ 差別とは、Aと非Aに分け、非を見ることさ。
マナミ 別けてから、非を見ていると、どうなるの?
マサシ 等しいようで、違うように、見えて来るのさ。
マナミ 等しく見る、区別って、どういうものなの?
マサシ 区別とは、Aと非Aに分け、Aを見ることさ。
マナミ 別けてから、Aを見ていると、どうなるの?
マサシ 異なるようで、同じように、見えて来るのさ。
マナミ Aと非Aに、分けてから、どこを見とめるか、
    それで、別け方の感じ方が、変わって来るの?
マサシ うん、非は認め易いけど、Aは認め難いのさ。
マナミ う~ん、非を認め易いのは、どうしてなの?
マサシ 無数にある、相違を認めれば、良いからさ。
マナミ じゃあ、Aを認め難いのは、どうしてなの?
マサシ 唯一である、一致を認めるしか、無いからさ。
マナミ じゃ、否定は易しいけど、肯定は難しいの?
マサシ そうさ、誤解は易しいけど、正解は難しいよ。
マナミ そうとは、思えないけど、それこそ誤解では?
マサシ 確かに、そこまでは易しく、そこから難しい。
マナミ ……………………

 


 

CASE 差別 の先に 区別

 

サトミ 違えて別つ、差別って、どういうものかな?
メグミ 差別とは、和を見とめず、差を認めることよ。
サトミ 等しく別つ、区別って、どういうものかな?
メグミ 区別とは、和を見とめて、差を認めることよ。
サトミ Aと非Aの、非を認めると、差を見とめて、
    その裏で、Aを認めると、和を認めるのかな?
メグミ そうよ、非は認め易いけど、Aは認め難いよ。
サトミ 具体的に、その違いって、どういうことかな?
メグミ 例えば、男性と女性の、違う点を認められる?
サトミ 体の違い、考え方の違い、いっぱい有るよね。
メグミ じゃあ、男性と女性の、同じ点を認められる?
サトミ どちらも、人間の性って、そんなところかな。
メグミ 差別は、性を見とめず、男女を別つことで、
    区別とは、性を見とめて、男女を別つことよ。
サトミ 性を活かすために、男女の役を区別すべきで、
    男女の役を差別して、性を殺すべきじゃない。
メグミ そうよ、区別と差別の違う点が、見えたかな?
サトミ うん、美しく分けて貰って、良く解かったよ。
メグミ うふっ、区別と差別の同じ点も、見えたかな?
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 差別 という 区別

 

サトシ 差に徹する、差別って、どういうものかな?
マサシ 差別とは、違いを捕えて、不変と見ることさ。
サトシ 差を撤する、区別って、どういうものかな?
マサシ 区別とは、違いを捉えて、可変と見ることさ。
サトシ う~ん、良く解らない、どういうことかな?
マサシ 君は、人間と動物の差が、どのように見える?
サトシ 例えば、内省力の違いとか、知性の違いとか、
    絶対に越えられない、差が有るように思うよ。
マサシ 差別を繰り返すと、入れ替わるとは想わない?
サトシ 全く思わないよ、どうして、そう思うのかな?
マサシ AとBは全く違うと、差別を繰り返すほど、
    その差が、研ぎ澄まされて、Aと非Aになる。
サトシ 差別を磨き上げて、虚飾が削ぎ落とされると、
    Aと非Aに共通する、Aに気づいてしまうの?
マサシ 相手に向けていた矛が、自らに向けられるよ。
サトシ 動物に感じたことが、人間に観じてしまうの?
マサシ うん、だからこそ、差別はしない方が良いよ。
サトシ 大丈夫、僕と動物は、決定的な差が有るから。
マサシ そうして、差を研いて、矛を磨いたら良いよ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 差別 と 分別 と 区別

 

サトシ 分けて別ける、分別って、どういうものかな?
アツシ 分別とは、Aと非Aに分け、別かれることだ。
サトシ 差として別つ、差別って、どういうものかな?
アツシ 差別とは、Aと非Aに分け、非を見ることだ。
サトシ 和として別つ、区別って、どういうものかな?
アツシ 区別とは、Aと非Aに分け、Aを見ることだ。
サトシ 初めは、非に囚われ、違うように見えるけど、
    その後に、Aに気づき、同じように見えるの?
アツシ そうだ、分別に欠けると、差別してしまうが、
    後に、分別が満ちると、区別するようになる。
サトシ 差というものは、永続するものじゃないのか。
    分別を重ねるほど、差別は区別になるんだね。
アツシ 差別に囚われるのは、分別が足りないだけだ。
サトシ じゃ、差別を喜ぶ人は、幼稚なだけなんだ。
アツシ そうだ、分別を弁えると、差別なんかしない。
サトシ 差別する人は、幼稚だって、非難しようかな。
アツシ 初めは誰だって、未熟なんだ、許してやれよ。
サトシ 僕は許さない、そんな人は、居ない方が良い。
アツシ ああ、それこそ、差別だって、気づかないか。
サトシ ……………………

 


 

CASE 区別に徹する と 差別を撤する

 

サトミ 差別を撤するために、区別を撤するべきね。
    無分別に徹することが、無差別に繋がるのよ。
マナミ 差別を撤するには、区別に徹するしかない。
    区別をしないと、差別が残ったままになるの。
サトミ なによ、正反対じゃない、どういうわけなの?
マナミ そもそも、無意識には、差が埋まれているの。
    意識をして、区別しないと、どうなると思う?
サトミ 条件が緩いと、差は無いって、思い込めても、
    条件が厳しいと、差が現れると、想うけどね。
マナミ 意識をして、区別をすると、どうなると思う?
サトミ 無意識に、意識が当たり、差が現れると想う。
マナミ そうよ、それで良いの、これで良く解かった?
サトミ いやいや、区別こそ、差別の元凶だと想うわ。
マナミ 囚われているのね、どうして、そう思うの?
サトミ 理由なんて無いけど、何となく、そう想うわ。
マナミ 区別しないと、差別が埋まれてしまう説と、
    区別をするから、差別が埋まれてしまう説ね。
サトミ あたしは、何となく、後者が正しいと思うわ。
マナミ ほらね、区別に徹しないから、差別が残るの。
サトミ ……………………

 


 

CASE 区別なき差別 と 差別なき区別

 

サトミ 差別と区別、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 偏って別つ、差別って、どういうものかな?
メグミ 差別とは、良くを持って、陰陽に別つことよ。
サトミ 均して別つ、区別って、どういうものかな?
メグミ 区別とは、解くを以って、陰陽に別つことよ。
サトミ 差別を望み、区別に臨まないと、どうなるの?
メグミ 区別なき差別なんて、無分別に過ぎないよ。
サトミ じゃ、偏り過ぎるから、一つしか見えないの?
メグミ そうよ、片方だけ見ても、分別に為らないよ。
サトミ 区別を望み、差別に臨まないと、どうなるの?
メグミ 差別なき区別なんて、無分別に過ぎないよ。
サトミ じゃ、均し過ぎるから、一つにしか見えない?
メグミ そうよ、両方を認めても、分別に成らないよ。
サトミ 差別だけでは、偏り過ぎて、隠れてしまい、
    区別ばかりでは、均し過ぎて、慣れてしまう。
メグミ うん、差別と区別、その両方が、必要なのよ。
サトミ そっか、区別を介し、差別を解していくの?
メグミ そうなの、差別を感じ、区別を観じていくの。
サトミ ……………………!!

コメントを残す

入力エリアすべてが必須項目です。メールアドレスが公開されることはありません。