第二章 第四三話 対話編
CASE 小人 の裏に 君子
マナミ 人に甘える、小人って、どういうものなの?
マサシ 小人とは、自らを育てず、他に甘えるものさ。
マナミ 人々が、人に甘えると、どのようになるの?
マサシ 少しずつ、真人は大人に、大人は小人になる。
マナミ 世界に、小人が増えるほど、どうなるのかな?
マサシ お互いに、足を引っ張るから、堕落するのさ。
マナミ 人を育てる、君子って、どういうものなの?
マサシ 君子とは、自らを育てて、他を育てるものさ。
マナミ 人々が、人を育てると、どのようになるの?
マサシ 少しずつ、小人は大人に、大人は真人になる。
マナミ 世界に、君子が殖えるほど、どうなるのかな?
マサシ お互いに、手を取り合うから、更生するのさ。
マナミ そうすると、小人の世界に、君子が出現する。
それって、極めて稀なことに、為らないかな?
マサシ そうだけど、他に縛られる、君子など居ない。
君子とは、因果を抜け出した、徳そのものさ。
マナミ 周りが、足を引っ張る中で、抜け出して来る。
それすら、君子にとって、自然なことなのね。
マサシ 欲を究めて、徳まで極まる、自然の理なのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 小人 の先に 君子
サトミ 周りに頼る、小人って、どういうものかな?
メグミ 小人とは、自らに依らず、他に頼るものだよ。
サトミ 己に拠らず、他に頼るほど、どうなるのかな?
メグミ すべてを、外に依存して、他の責任にするよ。
サトミ 何でも、他の所為にすると、どうなるのかな?
メグミ すべてを、他者に決められて、窮屈になるよ。
サトミ 自らに頼る、君子って、どういうものかな?
メグミ 君子とは、周りに頼らず、己に依るものだよ。
サトミ 他に頼らず、己に拠るほど、どうなるのかな?
メグミ すべてを、内に依拠して、己の責任にするよ。
サトミ 何でも、己の所為にすると、どうなるのかな?
メグミ すべてを、自身で決められて、自由になるよ。
サトミ 小人は、自分は何も出来ないと、考えるし、
君子なら、社会に何が出来るのか、考えるの?
メグミ 君子は、他が関わることなら、全体を踏まえ、
その上で、果すべきことを、決めていくのよ。
サトミ う~ん、全体を省みたら、窮屈に為らないの?
メグミ 我に依り、窮屈に為るから、全体に拠るのよ。
この発想は、小さい器からは、出て来ないね。
サトミ ……………………!!
CASE 小人 と 大人 と 真人
サトシ 性悪となる、小人って、どういうものかな?
アツシ 小人とは、他に損を与え、得に変えるものだ。
サトシ 性善となる、大人って、どういうものかな?
アツシ 大人とは、他に得を与え、徳に換えるものだ。
サトシ 自然となる、真人って、どういうものかな?
アツシ 真人とは、徳を積み重ね、道と化するものだ。
サトシ 損して、得して、徳にして、道と化するの?
アツシ ああ、この道を辿らなければ、道に還れない。
サトシ 世の中に、小人が増えると、どうなるのかな?
アツシ 徐々に、道や徳が廃れて、損と得に分かれる。
サトシ 世の中に、君子が殖えると、どうなるのかな?
アツシ 次第に、道や徳が築かれ、損と得が合わさる。
サトシ 即ち、何度も繰り返し、損と得を味わって、
徳まで、気づいた人から、道を築いていくの?
アツシ そうだな、それこそが、道に他ならないが、
気づいても、それからが、本当の意味で長い。
サトシ 解ったよ、でもな、僕には、まだ、早いかな。
まだ、僕は、思いのまま、生きていたいんだ。
アツシ ほらな、気づいてから、築くまでが長いんだ。
サトシ ……………………
CASE 君子なき小人 と 小人なき君子
サトミ 小人と君子、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 道に逆らう、小人って、どういうものかな?
メグミ 小人とは、良くを持って、良く為らない人よ。
サトミ 道に従がう、君子って、どういうものかな?
メグミ 君子とは、良くを以って、良く成れる人だよ。
サトミ 小人を望み、君子に臨まないと、どうなるの?
メグミ 君子なき小人なんて、唯の無人に過ぎないよ。
サトミ じゃ、道理に逆らうと、問題が収まらないの?
メグミ そうよ、物騒が過ぎると、何人も住めないよ。
サトミ 君子を望み、小人に臨まないと、どうなるの?
メグミ 小人なき君子なんて、唯の無事に過ぎないよ。
サトミ じゃ、道理に従がうと、問題が起こらないの?
メグミ そうよ、平穏が過ぎると、何事も学べないよ。
サトミ 小人だけでは、問が解けず、人の世でなく、
君子ばかりでは、問が起きず、人の為でない。
メグミ うん、小人と君子、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、君子を追い、小人を負っていくの?
メグミ そうなの、小人を介し、君子を解していくの。
サトミ ……………………!!