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物語編

第二章 第四四話 物語編

第二章    小周   と   大周
第四四話 我が中で周る と 世の中で周る

 

〈彼は、混沌の大地に、気の流れを描き出した。
万物の気で、彼に向って、流れてないものはなく、
彼の気で、万物に向かって、流れてないものはない。〉

 

〈即ち、彼の営みとは、万物の原理、そのもの。
彼の中を見れば、そこに、世の型が見えるだろう。
世の中を見渡せば、そこに、彼の形が見えるだろう。〉

 

〈気は、己の為に使えば、使う者を小さくする。
何かを気にすると、精気の流れに、漏れが生じる。
すなわち、気に欠けるあまりに、気宇は小さくなる。〉

 

〈気は、他の為に使えば、使う者を大きくする。
何も気にしないと、運気の流れに、太さが生じる。
すなわち、気に掛けることなく、気宇は大きくなる。〉

 

〈この、個人を貫く、天下の気こそ、徳である。
小さな徳の者は、小さな気の漏れで満たされるが、
大いなる徳の者は、大きな気の流れを使いこなせる。〉

 

〈彼より、公正な者が居ない、この乱世の時代、
天下の気は、彼を中心に据えて、巡らされている。
しかも、彼は、それについて、気に掛ける事がない。〉

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