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物語編

第二章 第四四話 対話編

CASE 小周 の裏に 大周

 

マナミ 小さく周る、小周って、どういうものなの?
マサシ 小周とは、小さな巡りに、型を認めることさ。
マナミ 最初は、小さく認めるのは、どうしてなの?
マサシ 近いほど、我に似ていて、認め易いからだよ。
マナミ 自らに、起こることは、近くでも起こるの?
マサシ そうだよ、近い巡りほど、実感が湧きやすい。
マナミ 大きく周る、大周って、どういうものなの?
マサシ 大周とは、大きな廻りに、型を認めることさ。
マナミ 次第に、大きく認めるのは、どうしてなの?
マサシ 遠いほど、我と異なって、認め難いからだよ。
マナミ 近くで、起こることは、遠くでも起こるの?
マサシ そうだが、遠い廻りほど、実感が湧きにくい。
マナミ つまり、自我を介して、近くの我を解して、
    次に、近くの我を介して、遠くの我を解すの?
マサシ そうさ、少しずつ、我を大きくしていくのさ。
マナミ 恰も、我を認めるように、他を見とめるのね。
マサシ すると、最終的に、自我が、自然に還るのさ。
マナミ じゃ、結論から認めたら、自然にならないの?
マサシ 先を急いで、無理が入ると、不自然になるよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 小周 の先に 大周

 

サトミ 小さく巡る、小周って、どういうものかな?
メグミ 小周とは、人の体の中に、気を回らすことよ。
サトミ 自らの気を、体の隅々まで、巡らせて行くの?
メグミ うん、すると、頂まで昇って、降りて来るよ。
サトミ 自らが、究めるものって、必ず窮められるの?
メグミ そうだよ、器の頂に到ると、下りて来るのよ。
サトミ じゃあ、器が大きいほど、頂まで高くなるの?
メグミ うん、大きな良くほど、大きな飽くになるよ。
サトミ 大きく廻る、大周って、どういうものかな?
メグミ 大周とは、人の世の中に、気を回らすことよ。
サトミ 自らの気を、世の隅々まで、廻らせて行くの?
メグミ うん、すると、縁まで往って、帰って来るよ。
サトミ 周りに、報いるものって、必ず酬いられるの?
メグミ そうだよ、器の縁に着くと、還って来るのよ。
サトミ じゃあ、器が大きいほど、縁まで遠くなるの?
メグミ うん、大きな報いほど、大きな酬いになるよ。
サトミ う~ん、器が大きいって、両極端になるのね。
    じゃ、大胆に為るより、慎重に成るべきかな?
メグミ うふっ、良く気が回るね、器が大きい証だね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 気 と 道 と 心

 

サトシ 道を通っている、気って、どういうものかな?
アツシ 気とは、因果に伴なう、実感のようなものだ。
サトシ この気は、経路を外れて、流れる事はないの?
アツシ そうだ、因果を越えて、心が感じる事はない。
サトシ 心が、気に捕らわれると、どうなっていくの?
アツシ 次第に、経路が閉じて、心が狭くなっていく。
サトシ 心が、気に囚われないと、どうなっていくの?
アツシ 徐々に、経路が開いて、心が広くなっていく。
サトシ 気が、全く流れなくなると、どうなるのかな?
アツシ 意識が、物質そのものになり、無感動になる。
サトシ 気が、総て流れるようになると、どうなるの?
アツシ 意識が、宇宙そのものになり、大自然になる。
サトシ じゃ、因果を辿るほど、実感が生まれるけど、
    気が囚われなければ、心は大きくなるのかな?
アツシ そうだ、心が狭くなるほど、無味乾燥になり、
    逆に、心が広くなるほど、無為自然になるな。
サトシ そっか、そういうことなら、そもそもがだよ、
    因果を辿らなければ、囚われなくて済むよね。
アツシ そんなものは、生きた気がしない、無感動だ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 大周なき小周 と 小周なき大周

 

サトミ 小周と大周、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 内に巡らす、小周って、どういうものかな?
メグミ 小周とは、我が器を弁え、気に掛けることよ。
サトミ 外に廻らす、大周って、どういうものかな?
メグミ 大周とは、我が器を越え、気に懸けることよ。
サトミ 小周を望み、大周に臨まないと、どうなるの?
メグミ 大周なき小周なんて、唯の周回に過ぎないよ。
サトミ じゃ、我を気にしても、他を気にしないの?
メグミ そうよ、器を越えないと、繰り返すだけだよ。
サトミ 大周を望み、小周に臨まないと、どうなるの?
メグミ 小周なき大周なんて、只の周遊に過ぎないよ。
サトミ じゃ、他を気にしても、我を気にしないの?
メグミ そうよ、器を弁えないと、繰り出すだけだよ。
サトミ 小周だけでは、気を広げず、回し続けるし、
    大周ばかりでは、気を高めず、廻し続けるの?
メグミ うん、小周と大周、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、大周を研き、小周を磨いていくの?
メグミ そうなの、小周を究め、大周を極めていくの。
サトミ ……………………!!

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