物語編
第二章 第四五話 物語編
第二章 小欲 と 大欲
第四五話 小さく欲する と 大きく欲する
〈吸い込まないと、吐き出すことが出来ないが、
逆に、吐き出さないと、吸い込むことが出来ない。
すなわち、気とは、滞らせる事なく、受け流すもの。〉
〈内なる気が流れると、優れた才として現れる。
才を他に伝える者は、徳に変えることが出来るが、
才を自らに秘める者は、才を活かすことも出来ない。〉
〈外なる気が流れると、豊かな財として現れる。
財を他に与える者は、徳に変えることが出来るが、
財を自らに蓄える者は、財を用いることも出来ない。〉
〈あらゆる才と財は、彼の手元に集まって来て、
彼は、其れ等を総べて、人を育てるために用いた。
すると、彼を中心として、改革の気運が高められた。〉
〈彼に近い処では、上向の気の流れが生まれた。
己の才を磨いて財を得て、他と交して徳に変える。
彼は、この交利の道を、助けながら、育てていった。〉
〈彼から遠い処には、下向の気の流れが生じた。
他の才に頼んで財を得て、他を害して利に変える。
彼は、この我利の道を、許しつつも、援けなかった。〉