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物語編

第二章 第四八話 問答編

マサシ 大器晩成(タイキバンセイ)とは?

 

アキラ 大器晩成は、徳を積むには時を要する。
    大いなる欲は、大いなる徳に変わること。
    小さな欲は、小さな苦楽で器を磨き上げて、
    大いなる欲は、大きな苦楽で器を研き上げる。

 

マサシ 天才(テンサイ)とは、どういうものですか?

 

アキラ 天才は、徳を以って、欲に変えること。
    即ち、先天の徳をして、先天の才とする。
    天才は、苦労を納めずに、利得を収めるが、
    近道して、道を省いたため、他には説けない。

 

マサシ 秀才(シュウサイ)は、どういうものですか?

 

アキラ 秀才は、欲を持って、徳に変えること。
    即ち、後天の才をして、後天の徳とする。
    秀才は、失敗を重さねて、才能を修めるが、
    苦労して、道を拓いたため、他に教えられる。

 


 

タムラ 真理を悟った菩薩は、どうなりますか?

 

マコト 生まれた意味、使命そのものと化して、
    余分なものなど、すべてが崩れ去ります。
    娯楽や名誉や財産、その他、欲の対象には、
    微塵も興味を抱けず、使命だけに没頭します。

 

    菩薩が変われば、使命も換わりますが、
    共通するのは、如何に命を活かせるのか。
    菩提たる大欲は、ひたすら、それに向かい、
    命が活きるときに、大いなる歓喜が湧きます。

 

タムラ 使命以外のものは、どのように見えますか?

 

マコト 必要な物は、必要な時に手に入るので、
    お金に関して、何も持ち歩く必要はない。
    持て囃されたり、扱き下ろされたり姦しい。
    他の評価に関して、何も思い煩う必要はない。

 

タムラ 菩薩になると、苦しみはないのですか?

 

マコト 使命が変われば、課題も換わりますが、
    大事なことは、苦しいほど徳が積めます。
    器を広げるため、菩薩に逆境は不可欠です。
    逆境の中で、感謝してこそ、生命は輝きます。

 

    死に至るまで、地獄の底で人々を支え、
    漸く死後に、神の境地に引き上げられる。
    楽になるのを、先に延ばせば、延ばすほど、
    菩薩の生は、大いに輝いて、大徳を積みます。

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