物語編
第二章 第四九話 物語編
第二章 尚賢 と 尚愚
第四九話 賢者に向かう と 愚者に向かう
〈彼の道は、賢者を尊びつつ、賢者に遵うもの。
彼は、唯才あれば、推挙をする、求賢令を出した。
そして、君子を中心に据えた、気の流れが生まれた。〉
〈君子は、上流に置くべき、徳の高い者である。
自らに、流れて来た気を、そっくり巡らせるため、
先ず、君子に気を与えると、そこより気が流される。〉
〈小人は、下流に置くべき、欲の深い者である。
自らに、流れて来た気を、そのまま蓄えてしまい、
先に、小人に気を与えると、そこから気が流れない。〉
〈即ち、君子に利を与えて、小人に利が集まる。
そこから、国の力をして、再び、利を汲み上げる。
上から下は自然の力に、下から上は至善の力に遵う。〉
「国家は、非力なる小人を、助けないのですか。」
〈然り、酷いかもしれないが、助けてはならない。
育つことなく、生きられるなら、誰も育たなくなる。〉
「では、彼らを、どのように、助けるのですか。」
〈彼らを助ける者を、育て上げることで、援ける。
他を助ける者を、国が援ければ、皆が育とうとする。〉
〈つまり、弱き者を、救わなければならないが、
国は君子を守って、君子が小人を救うべきである。
そこを履き違えると、小人が君子を嘲う乱世になる。〉