第二章 第五一話 対話編
CASE 財 の裏に 罪
マナミ 利が流される、財って、どういうものなの?
マサシ 財とは、利を介している、得の表れのことさ。
マナミ 人の間に、利が巡ると、財として現れるの?
マサシ そうさ、自分が相手から、利を受けるとき、
感謝して、相手に返すもの、それが財なのさ。
マナミ 財とは、結合の印として、人の間を渡るもの?
マサシ うん、統合を伴わない財は、単なる罪なのさ。
マナミ 利が流れない、罪って、どういうものなの?
マサシ 罪とは、害を介している、徳の表れのことさ。
マナミ 人の間に、利が滞ると、罪として現れるの?
マサシ そうさ、自分が相手から、利を受けるとき、
感謝せず、相手に還さない、それが罪なのさ。
マナミ 罪とは、分離の徴として、人の間を裂くもの?
マサシ うん、分割を伴わない罪は、単なる過なのさ。
マナミ 感謝の証として、利を巡れば、財になるし、
怨嗟の象徴として、利が滞れば、罪になるの?
マサシ 捕われると、財も罪も、詰み深くなるのさ。
マナミ 囚われないと、財も貨も、積み難くなるのね。
マサシ 受け流せるなら、財も過も、良い経験なのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 財 の先に 罪
サトミ 利が流される、貨って、どういうものかな?
メグミ 貨とは、福を介している、得の表れのことよ。
サトミ 人の間を、貨が巡ると、どうなっていくの?
メグミ 皆と収める、財と化して、福が増えていくよ。
サトミ 人の間を、貨が滞ると、どうなっていくの?
メグミ 独り占める、罪と化して、福が減っていくよ。
サトミ 害が流される、過って、どういうものかな?
メグミ 過とは、禍を介している、損の現れのことよ。
サトミ 人の間を、過が巡ると、どうなっていくの?
メグミ 悔い改めて、財と化して、禍が減っていくよ。
サトミ 人の間を、過が滞ると、どうなっていくの?
メグミ 悔い改めず、罪と化して、禍が増えていくよ。
サトミ すなわち、良い経験にせよ、悪い経験にせよ、
捕われると禍となり、囚われないと福になる?
メグミ うん、様々な人が、色々な経験をすべきなの。
そのための財だから、逆らえば、罪になるよ。
サトミ じゃ、特別な人だけが、特定の経験だけを、
独り占めしているのって、本来の姿ではない?
メグミ うふっ、実はそうなの、はい、悔い改めます。
サトミ ……………………!!
CASE 財 という 罪
サトシ 自分も、財を貯め続け、財を築き上げたいな。
マナミ でも、使えない財は、払えない罪になるの。
サトシ う~ん、良く解らない、どうして罪になるの?
マナミ 財は、巧く使い熟せると、得を生み出すの。
ずっと、貯め続けたら、使い熟せないままよ。
サトシ じゃ、使い熟せないから、持て余すだけなの?
マナミ 加えて、増えると喜び、減ると悲しむから、
財は、貯まれば貯るほど、扱かい難くなるの。
サトシ じゃあ、財が少ないと、上手く使えるけど、
逆に、財が多くなるほど、上手く遣えないの?
マナミ そうよ、器に収まると、丁寧に使われるけど、
逆に、器に納まらないと、乱暴に扱われるの。
サトシ 自ずと、器に入ってしまう、財を使いながら、
少しずつ、器を広げることで、財を増やすの?
マナミ 徳を積んで、財が増すのは、自然な道だけど、
財を殖やして、徳が詰むのは、真逆の理なの。
サトシ 器を越える、財を蓄えると、身を滅ぼすわけ?
そうかな、僕だったらね、使えると思うけど。
マナミ そうね、身の程を知るため、遣われると想う。
サトシ ……………………
CASE 罪 という 財
マサシ 恰かも、人の気が巡ると、元気になるように、
人の間を、世の財が廻ると、元気になるのさ。
サトシ 財とは、感謝の印であり、巡らすべきもの?
マサシ そうだよ、利を受けたとき、喜んだ徴として、
財を返せば、両者が共に、嬉しい思いをする。
サトシ そのとき、財を返さないと、どうなるのかな?
マサシ 惜しんだら、その瞬間、財は罪になるのさ。
サトシ 罪とは、怨嗟の印であり、止めるべきもの?
マサシ そうだよ、害を受けたとき、嘆いた徴として、
罪を帰せば、両者が共に、悲しい想いをする。
サトシ そのとき、罪を帰さないと、どうなるのかな。
マサシ 甘んじたら、その途端、罪は財になるのさ。
サトシ 宛かも、個の中で滞ると、病気になるように、
世の気が、公の中で留ると、病気になるのか。
マサシ 財が来たら、滞らせずに、巡らせるべきで、
罪が訪れたら、廻らせずに、留どめるべきさ。
サトシ なるほどね、手元にある、貨幣というものが、
財なのか、罪なのかを、見極める要があるね。
マサシ そうさ、罪を貯め込むと、大病を患うからね。
サトシ ……………………!!
CASE 財 と 智 と 罪
サトシ 巡り続けるもの、財って、どういうものかな?
アツシ 財とは、利にせよ、害にせよ、巡ることだな。
サトシ 世の中を、良い印が巡ると、どうなるのかな?
アツシ 全ての人が、良い経験をして、智を磨くのさ。
サトシ 世の中を、悪い徴が巡ると、どうなるのかな?
アツシ 全ての人が、悪い経験をして、智を磨くのさ。
サトシ 滞り続けるもの、罪って、どういうものかな?
アツシ 罪とは、利にせよ、害にせよ、滞ることだな。
サトシ 世の中を、良い印が滞ると、どうなるのかな?
アツシ 一部の人が、良い経験をして、智が曇るのさ。
サトシ 世の中を、悪い徴が滞ると、どうなるのかな?
アツシ 一部の人が、悪い経験をして、智が曇るのさ。
サトシ なるほど、良い経験にせよ、悪い経験にせよ、
共有すると賢になり、独占すると愚になるの?
アツシ ああ、禍福に捕らわれると、詰み重なるが、
反対に、禍福に囚われないと、過ぎ去るのみ。
サトシ 悪も、過ぎ去るだけならば、罪ではないし、
善でも、積み重なるなら、詰んでしまうのか。
アツシ 寧ろ、過ぎ去るだけならば、善や悪などない。
サトシ ……………………!!
CASE 罪のない財 と 財のない罪
サトミ 財と罪、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 人の間を巡る、財って、どういうものかな?
メグミ 財とは、人の間を流れて、経験を積むものよ。
サトミ 人の間に滞る、罪って、どういうものかな?
メグミ 罪とは、人の間を裂いて、経験が詰むものよ。
サトミ 財を重んじて、罪を軽んじると、どうなるの?
メグミ 罪のない財なんて、単なる散財に過ぎないよ。
サトミ じゃ、流れて来たら、直ぐ使ってしまうの?
メグミ そうよ、遠大な経験が、出来ないままなのよ。
サトミ 罪を重んじて、財を軽んじると、どうなるの?
メグミ 財のない罪なんて、単なる死財に過ぎないよ。
サトミ じゃ、少しも使わず、総て貯めてしまうの?
メグミ そうよ、如何な経験も、出来ないままなのよ。
サトミ 財だけは、貯えないから、散ってしまうし、
罪ばかりは、使えないから、詰ってしまうの?
メグミ そうよ、財と罪、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、罪を改めながら、財を革めていくの?
メグミ うふっ、財を介しながら、罪を解していくの。
サトミ ……………………!!