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物語編

第二章 第五三話 対話編

CASE 実業 の裏に 虚業

 

マナミ 福が生じる、実業って、どういうものなの?
マサシ 実業とは、才を働かせて、財を得ることだよ。
マナミ 才を働かせ、人に尽くすと、どうなるのかな?
マサシ 世の人を、喜ばせるから、福が巡って来るよ。
マナミ 財とは、感謝の象徴として、流れて来るもの?
マサシ うん、他を歓ばせるほど、才は財を生むのさ。
マナミ 禍を招じる、虚業って、どういうものなの?
マサシ 虚業とは、財を動かして、財を得ることだよ。
マナミ 財を動かし、財を増やすと、どうなるのかな?
マサシ 世の人を、嘆かせるから、禍が廻って来るよ。
マナミ 罪とは、怨嗟の象徴として、詰んで行くもの?
マサシ うん、他を悲しませると、才は罪を産むのさ。
マナミ つまり、人を喜ばせて、財を得ていないと、
    積み重ねた財が、すべて、罪として重なるの?
マサシ それどころか、財を貯めて、財を得ていると、
    積み重ねた財が、すべて、罪として重なるよ。
マナミ 感謝の象徴として、巡るものが、財であり、
    怨嗟の象徴だったり、滞るものは、罪なのね。
マサシ うん、それを弁えることが、実業の第一歩さ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 実業 の先に 虚業

 

サトミ 実を与える、実業って、どういうものかな?
メグミ 実業とは、自ら実を生み、誰もが得する業よ。
サトミ 例えば、どういう業が、実業になるのかな?
メグミ 農業とか、工業とか、サービスなどがそうよ。
サトミ 実を掠める、虚業って、どういうものかな?
メグミ 実業とは、他の実を奪い、自らが得する業よ。
サトミ 例えば、どういう業が、虚業になるのかな?
メグミ 投資とか、射幸とか、情報商材などがそうよ。
サトミ この世界に、実業が増えると、どうなるの?
メグミ 働いた分だけ、押し上げられる、世になるよ。
サトミ この世界に、虚業が殖えると、どうなるの?
メグミ 働いた分だけ、吸い上げられる、世になるよ。
サトミ じゃ、どうして、虚業なんか、生まれるの?
メグミ ある程度、財が貯まると、財が実に見えて、
    財を使って、財を増やそうと、考えるからよ。
サトミ そもそも、虚の像から、虚の業が始まった。
メグミ そうよ、実体が無いから、幻想が膨れ上がる。
サトミ なるほど、良いことを、教えて貰っちゃった。
メグミ うふっ、だからって、これ商材にしないでね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 実業 という 虚業

 

サトシ 役が生じる、実業って、どういうものかな?
アツシ 実業とは、人を喜ばせて、財を得ることだな。
サトシ 何か与えて、財を受けると、どうなるのかな?
アツシ 何かを貰えて、財を渡すから、喜んでいるな。
サトシ この場合は、感謝の象徴として、財は動くの?
アツシ ああ、この時、財は材として、世の役になる。
サトシ 厄を招じる、虚業って、どういうものかな?
アツシ 虚業とは、人を悲しませ、財を得ることだな。
サトシ 何も与えず、財を受けると、どうなるのかな?
アツシ 何も貰えずに、財を奪われて、悲しんでいる。
サトシ この場合は、怨嗟の象徴として、財は動くの?
アツシ ああ、この時、財は財となり、世の厄になる。
サトシ そっか、同じ財にしか、見えていないのに、
    その剤が、薬にも成れば、毒にも為るわけか。
アツシ 只管、人を喜ばす業は、財と共に福が巡り、
    闇雲に、財を増やす業は、財と共に禍が廻る。
サトシ それなら、財を増やしたい、人を喜ばせたい、
    そんな業に、就いた人は、どうなるんだろう?
アツシ 虚の業だから、最終的には、自他共に悲しむ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 実業 と 生業 と 虚業

 

サトシ 業を重ねる、生業って、どういうものかな?
マサシ 生業とは、生きるために、業を重ねることさ。
サトシ 実を重ねる、実業って、どういうものかな?
マサシ 実業とは、業を重ねると、実が増えることさ。
サトシ 虚を重ねる、虚業って、どういうものかな?
マサシ 虚業とは、業を重ねると、虚が殖えることさ。
サトシ じゃあ、実の業を積むほど、どうなるのかな?
マサシ 才を研き、稼ぐ為に磨き、研く為に稼ぐのさ。
サトシ つまり、才を研き上げ、役が授けられるの?
マサシ 役を負い、心が満たされ、徳が高くなるのさ。
サトシ じゃあ、虚の業を積むほど、どうなるのかな?
マサシ 罪を侵し、稼ぐ為に犯し、侵す為に稼ぐのさ。
サトシ つまり、罪を積み重ね、厄が与えられるの?
マサシ 厄が覆い、心が暗くなり、欲が深くなるのさ。
サトシ すると、使い切れないほど、貯め込んだ人は、
    実は、使い熟せていない、心が貧しい人なの?
マサシ そうさ、財が閊えるのかは、肝心じゃないよ。
サトシ どれだけ、材に使えるのかが、肝腎なんだね。
マサシ そうさ、これも溜め込まず、役に立てようか。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 虚業なき実業 と 実業なき虚業

 

サトミ 実業と虚業、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 材が生じる、実業って、どういうものかな?
メグミ 実業とは、才を活かして、財を生むことだよ。
サトミ 罪を招じる、虚業とは、どういうものかな?
メグミ 虚業とは、財を生かして、財を産むことだよ。
サトミ 実業を望み、虚業に臨まないと、どうなるの?
メグミ 虚業なき実業なんて、独占業に過ぎないよ。
サトミ じゃ、才が無いものは、財を生めないのかな?
メグミ そうよ、才が有るものが、財を占めていくよ。
サトミ 虚業を望み、実業に臨まないと、どうなるの?
メグミ 実業なき虚業なんて、泥棒業に過ぎないよ。
サトミ じゃ、財が無いものは、財を産めないのかな?
メグミ そうよ、財が有るものが、財を奪っていくよ。
サトミ 実業だけでは、働けないと、生きられないし、
    虚業ばかりでは、盗まないと、活きられない。
メグミ うん、実業と虚業、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、虚業を負い、実業を追っていくの?
メグミ そうなの、実業を究め、実業を極めていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 賭 博 業 者

 

サトシ 僕も、賭け事をして、大金持ちに為りたい。
マナミ 誰かが得すると、必ず、誰かが損しているの。
    御金は、相手を喜ばせて、受け取るべきなの。
サトシ じゃ、自らの手の中に、財を得ているとき、
    絶対に、誰かの手の中の、財を奪っているの?
マナミ うん、巧妙に隠されるから、解り難いけど、
    突き詰めると、誰かから、奪い取っているの。
サトシ う~ん、ということは、財を得るときには、
    心地好く、手放せるよう、先に尽くすのかな?
マナミ 原則は、歓んだ先から、御礼として貰うの。
    これから、外れて逝くと、財が罪に変わるの。
サトシ う~ん、相手が喜んでいれば、財に成るけど、
    逆に、相手を悲しませれば、罪に為るだけか。
マナミ そうよ、賭け事の類いを、生業にするのは、
    見知らぬ、人を泣かせ、罪を重ねるだけなの。
サトシ じゃあ、普段から、賭博場で働くことにする。
    それなら、直接、誰かに尽すことに成らない?
マナミ それで、自分では、巧妙に隠した積もりなの?
    人知れず、泣くのは、未来に匿したあなたよ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 貸 金 業 者

 

サトミ あたしも、お金を貸して、お金儲けしたいな。
メグミ お金貸しが、どんなものか、解かっているの?
サトミ 勿論です、借りたい人に、千円を貸したら、
    千百にして、返して貰えば、百円が儲かるの。
メグミ そのとき、還して貰えないと、千円の損よね。
サトミ ううん、泣こうが喚こうが、返して貰うわよ。
    おらおら、借りたものは、ちゃんと還せって。
メグミ 無理に、返して貰うと、相手を苦しめるよ。
サトミ そもそも、貸し借りとは、そういうものよね。
メグミ ううん、御金の本質は、感謝の象徴なのよ。
    有り難く、頂いた代りに、差し上げますって。
サトミ 元々は、物々交換の仲立ち、だったからね。
メグミ うん、にもかかわらずよ、相手を悲しませて、
    無理に、返して貰うと、道を外れてないかな?
サトミ 本来、御金を交した、感謝の巡りだったのに、
    何故か、御金を介した、怨嗟の廻りになった。
メグミ だからね、貸金で稼ぐの、止めた方が良いよ。
サトミ う~ん、そう言われてもね、止められないよ。
メグミ 無理には、言わないから、貸しにしておくね。
サトミ ……………………

 


 

CASE 為 替 取 引

 

サトミ あたしも、為替取引して、お金儲けしたいな。
メグミ 為替取引が、どんなものか、解かっているの?
サトミ 勿論です、ドルが安いときに、ドルを買って、
    ドルが、高くなったら、売って儲けるのよ。
メグミ じゃ、その儲けた御金は、どこから来たの?
サトミ う~ん、良く解からないな、どこから来たの?
メグミ 元々、得した人の御金は、損した人の御金よ。
サトミ ええっ、誰かの御金を、奪って来ただけなの?
メグミ うん、得して笑っている、人々が表れると、
    裏には、損して泣いている、人々が現れるの。
サトミ でも、そういう人だって、他から奪ってでも、
    自分が、儲けたかったのよ、自業自得でしょ。
メグミ あなたも、秘密の言葉を、言っちゃったね。
    この言葉を、合言葉にする、黒幕が居るのよ。
サトミ それって、誰のことなの、興味が湧いちゃう。
メグミ それは、為替の相場を、自由に動かせる人よ。
サトミ うん、自由に動かせたら、自由に儲けられる。
    あたしも、そんな人に、お近づきになりたい!
メグミ うふっ、そうやって、自分から差し出すのよ。
サトミ ……………………

 


 

CASE 株 式 取 引

 

サトミ あたしも、株式取引して、お金儲けしたいな。
メグミ 株式取引が、どんなものか、分かっているの?
サトミ 勿論です、株価が安いときに、株を買ってね、
    株価が、高くなったとき、売って儲けるのよ。
メグミ どうして、株が生まれたか、解かっているの?
サトミ 自分で、起業したいけど、資本が無い人が、
    株を売り、資本を集めるため、じゃなかった?
メグミ それは、表向きの説明なの、実績の無い人が、
    いきなり、株を売っても、売れる訳がないよ。
サトミ 確かに、その通りだね、唯の紙切れだもんね。
メグミ 本当はね、世界中の企業を、一所に居ながら、
    すべて、支配する仕組として、作られたのよ。
サトミ 人や物を、支配しようとすると、大変だけど、
    株式に、一極化してしまえば、支配し易いの?
メグミ うん、どれだけ抵抗しても、株さえ押えれば、
    企業を、完全に支配が出来る、仕組みなのよ。
サトミ それなら、上場して、喜んでいる企業って、
    大事に、育てたものを、差し上げているわけ?
メグミ わたしは、あなたを、差し出したくないのよ。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 信 用 取 引

 

サトミ あたしも、信用取引して、お金儲けしたいな。
メグミ 信用取引が、どんなものか、解かっているの?
サトミ 勿論です、お金を借りて、株を買える仕組よ。
    貧乏な人も、大きな取引が、出来る仕組みね。
メグミ それはね、表向きの説明、実際は恐ろしいよ。
    どうすると、株価を操れる、黒幕は儲かるの?
サトミ 株価を下げて、他の人に、株を売らせてから、
    安くなった、株を買い占め、株価を上げるの。
メグミ こうした、一連の操作に、巻き込まれても、
    売らないで、持っていれば、元通り戻るよね?
サトミ 株のまま、残していれば、黒幕と共に儲かる。
メグミ 現物取引は、この手が、許されているけど、
    信用取引では、この道が、赦されていないの。
サトミ そっか、借金した上で、株を買っているから、
    一旦、下り始めたら、強制的に売らされるね。
メグミ でしょ、こうなったら、黒幕の独り勝ちなの。
    貧乏でも、飛び付いたら、髄まで吸い尽すの。
サトミ こんな、恐ろしい仕掛けを、良く考え付くよ。
メグミ そもそも、巻き込まれないと、怖くないけど。
サトミ ……………………!!

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