第三章 第二話 対話編
CASE 慚 の裏に 愧
マナミ ねぇ、フリー、慚って、どういうものなの?
マサシ 慚とは、心を持って、内から悔いることだよ。
マナミ もし、心から悔いないと、どうなるのかな?
マサシ 原因が、変らないから、過ちが繰り返される。
マナミ もし、心から悔いるなら、どうなるのかな?
マサシ 原因を、換えられると、過ちを繰り返さない。
マナミ アパトラーピヤ、愧って、どういうものなの?
マサシ 愧とは、身を以って、外まで改めることだよ。
マナミ もし、身まで改めないと、どうなるのかな?
マサシ 条件が、変らないから、過ちを犯し易くなる。
マナミ もし、身まで改めるなら、どうなるのかな?
マサシ 条件が、換えられると、過ちを犯し難くなる。
マナミ もちろん、心から悔いることも、必要だけど、
同じぐらい、身まで改めることも、大事なの?
マサシ そうさ、内で改めたことを、外に示すことで、
原因ばかりでなく、条件まで変えていくのさ。
マナミ 過ちを悔いるばかりでは、過ちを活かせない。
改めた姿を、外に示してこそ、活かせるのね。
マサシ 過ちは、罪と限らない、改めれば財になるよ。
マナミ ……………………!!
CASE 慚 の先に 愧
サトミ 我に羞じ入る、慚って、どういうものかな?
メグミ 慚とは、内に対して、心から悔いることだよ。
サトミ 具体的に、内に悔いるとは、どういうこと?
メグミ 過去の自分、我が心に対して、悔いることよ。
サトミ 悪を為したと、心を持って、悔いることなの?
メグミ そうよ、先ずは、悪を認めて、反省するのよ。
サトミ 他に恥じ入る、愧って、どういうものかな?
メグミ 愧とは、外に対して、心から改めることだよ。
サトミ 具体的に、外に改めるとは、どういうこと?
メグミ 未来の自分、他の我に対して、改めることよ。
サトミ 善を為そうと、身を以って、改めることなの?
メグミ そうよ、次から、善を認めて、実践するのよ。
サトミ じゃ、自らが、犯した罪は、悔い改めてから、
良き手本を、演じる事で、罪を償っていくの?
メグミ そうよ、罪を犯したら、迷惑を掛けているの。
他の人に、負わせた分は、後で恩を返すのよ。
サトミ そっか、改心の余地を、与えるべきなのね。
今までは、過ちを責めて、許してなかったな。
メグミ うふっ、悔い改めたら、今度からは赦してね。
サトミ ……………………!!
CASE 慚 という 愧
サトシ 人に対して、懺悔をするのは、どうしてかな?
アツシ 悔いて、改めることが、懺悔の本質だからな。
懺悔には、慚と愧の、二つの段階があるんだ。
サトシ 自らが誤まる、慚って、どういうものかな?
アツシ 慚とは、我が過ちを認め、羞じ入ることだな。
サトシ 必ず、他の誤りとせず、我が過ちとするの?
アツシ そうだ、そこを誤まると、悔いないで終わる。
サトシ 周りに謝まる、愧って、どういうものかな?
アツシ 愧とは、他の許しを乞い、恥じ入ることだな。
サトシ 必ず、我が内に秘せず、我が外に明かすの?
アツシ そうだ、そこを誤まると、改まらずに終わる。
サトシ そうかな、心から悔いれば、それで良くない?
無理をして、罪を明かす、必要なんてないよ。
アツシ 心から悔いると、自然に明かしたくなるし、
心から悔いないと、無理に明かしたくはない。
サトシ う~ん、本当かなあ、そうは思えないけどな。
アツシ どうして、その思いを、口にしてしまうのか。
サトシ それは、僕が正しく、君が誤まりだからだよ。
アツシ 話は、お預けだな、最初の段から躓いている。
サトシ ……………………
CASE 愧のない慚 と 慚のない愧
サトミ 慚と愧、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 過去を迎える、慚って、どういうものかな?
メグミ 慚とは、過去に臨み、過ちを悔いることだよ。
サトミ 未来を向える、愧って、どういうものかな?
メグミ 愧とは、未来を望み、過ちを改めることだよ。
サトミ 慚を重んじて、愧を軽んじると、どうなるの?
メグミ 愧のない慚なんて、単なる満に過ぎないよ。
サトミ じゃ、過去に臨んでも、未来を望めないの?
メグミ そうよ、過ちに苛まれて、過ちを改めないよ。
サトミ 愧を重んじて、慚を軽んじると、どうなるの?
メグミ 慚のない愧なんて、単なる慢に過ぎないよ。
サトミ じゃ、未来を望んでも、過去に臨まないの?
メグミ そうよ、過ちを見とめず、過ちを悔いないよ。
サトミ 慚だけでは、悩むばかりで、満足するだけ。
愧ばかりでは、浸るばかりで、慢心するだけ。
メグミ そうよ、慚と愧、そのどちらも、必要なのよ。
サトミ じゃ、愧を究めながら、慚を極めていくの?
メグミ うふっ、慚を超えながら、愧を越えていくの。
サトミ ……………………!!