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物語編

第三章 第三話 対話編

CASE 無明 の裏に 行蘊

 

マナミ アヴィディヤ、無明って、どういうものなの?
マサシ 無明とは、覆い隠して、空間を造るものだよ。
マナミ この世界に、無明が無いとき、どうなるの?
マサシ 光り輝く、空が広がるから、空間が現れない。
マナミ この世界に、無明が有るとき、どうなるの?
マサシ 光を隠し、色に塗れるから、空間が現われる。
マナミ サンスカーラ、行蘊って、どういうものなの?
マサシ 行蘊とは、積み重ねて、時間を作るものだよ。
マナミ この世界に、行蘊が無いとき、どうなるの?
マサシ 経験をしても、崩れるから、時間が流れない。
マナミ この世界に、行蘊が有るとき、どうなるの?
マサシ 経験をすると、重なるから、時間が流れるよ。
マナミ 無明にせよ、行蘊にせよ、無いと経験できず、
    逆に、有ったら、有ったで、悟り難くなるの?
マサシ そうさ、経験しても、囚われなければ良いよ。
マナミ 瞬間瞬間、生じた色を、その場で落とすの?
マサシ そうさ、経験したものを、完全に認めるのさ。
マナミ 即ち、肯定しないから、引き摺ってしまうの?
マサシ そうだけど、このように、積み重ねて良いよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 無明 の先に 行蘊

 

サトミ 明りの無い、無明って、どういうものかな?
メグミ 無明とは、非Aが隠れて、Aが現れることよ。
サトミ 非Aを、無意識に匿すから、Aが表われるの?
メグミ うん、無意識が支えると、空間が現れるのよ。
サトミ つまり、無明の闇って、空間を造り出すもの?
メグミ うん、(非Aならば)Aの、カッコの中を、
    無意識に隠して、意識に空間を観じさせるの。
サトミ 積み重なる、行蘊って、どういうものかな?
メグミ 行蘊とは、非Aが支えて、Aが現れることよ。
サトミ 非Aを、無意識に積むから、Aが表われるの?
メグミ うん、無意識に重なると、時間が流れるのよ。
サトミ つまり、行の蓄積って、時間を作り出すもの?
メグミ うん、A(という非A)の、カッコの中を、
    無意識に重ねて、意識に時間を感じさせるの。
サトミ つまり、闇に覆われて、無意識が出来るけど、
    見える所が空間に、見えない処が時間になる?
メグミ うん、観じる所が空間、感じる処が時間だよ。
サトミ そっか、見ないからって、無い訳じゃないね。
メグミ そうして、認めていくほど、無明が晴れるの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 無明 という 行蘊

 

サトシ 凝り固まる、無明って、どういうものかな?
アツシ 無明とは、空間を固めて、意味を造ることだ。
サトシ 積み重なる、行蘊って、どういうものかな?
アツシ 行蘊とは、時間が流れる、意識を作ることだ。
サトシ う~ん、解からないな、どういうことなの?
アツシ 先ず、Aを見るとき、非Aを隠す必要がある。
    無明の闇とは、Aから非Aを、匿すものだな。
サトシ そっか、無意識を創り、Aと非Aを隔すのか。
アツシ 次に、Bを見るとき、非Bを隠す必要がある。
    行の蓄積とは、Aから非Bに、続くことだな。
サトシ 今まで、Aと捉えて、表に現していたものを、
    次に、非Bと捕らえて、裏に隠していくのか。
アツシ 意識をして、AからBを、観じているとき、
    意識せず、非Aから非Bを、感じるわけだな。
サトシ 無明により、空間の変化として、観じるとき、
    行により、時間の経過として、感じるわけか。
アツシ Aを非Bと、捕えなければ、こうはならない。
サトシ う~ん、当然に見えても、当然じゃないのか。
アツシ ああ、当り前に見える、これこそ無明の闇だ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 行蘊 という 無明

 

サトシ 空間を造る、無明って、どういうものかな?
マサシ 無明とは、非Aを隠して、Aを現わすことさ。
サトシ 時間を作る、行蘊って、どういうものかな?
マサシ 行蘊とは、非Bと捕えて、Aを隠すことだよ。
サトシ つまり、非Aを隠して、Aを見とめるけど、
    次に、非Bとして匿して、Bを見とめるのか。
マサシ 意識し、Aを非Bと捕えるのが、無明であり、
    無意識に、Aと非Aを重ねるのが、行蘊だよ。
サトシ 例えば、桃が好きだったものが、飽きて来て、
    次に、柿が好きになるときは、どうなるかな?
マサシ 意識し、桃を非柿と捕えるのが、無明であり、
    無意識に、桃と非桃を重ねるのが、行蘊だよ。
サトシ ここで、桃を非柿と見る、必要は無いのかな?
マサシ 桃を、非柿と捕えると、柿の実感が増すのさ。
    桃の経験が、柿の経験に、反映されていくよ。
サトシ 今までの、桃の経験を、引き継ぐ代わりに、
    桃と非桃を、無意識下に、収めてしまうのか。
マサシ 意識して、差別すると、無意識に矛盾する。
    それを、隠すために、更に、無明に陥るのさ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 行蘊なき無明 と 無明なき行蘊

 

サトミ 無明と行蘊、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 空が隠れる、無明って、どういうものかな?
メグミ 無明とは、無意識の中に、覆い隠すことだよ。
サトミ 時が重なる、行蘊って、どういうものかな?
メグミ 行蘊とは、無意識の中に、積み重ねることよ。
サトミ 無明を望み、行蘊に臨まないと、どうなるの?
メグミ 行蘊なき無明なんて、唯の無闇に過ぎないよ。
サトミ じゃ、覆い重ねるけど、積み重ねないのかな?
メグミ そうよ、経験が積まれず、智慧に成らないよ。
サトミ 行蘊を望み、無明に臨まないと、どうなるの?
メグミ 無明なき行蘊なんて、只の矢鱈に過ぎないよ。
サトミ じゃ、積み重ねるけど、覆い隠さないのかな?
メグミ そうよ、焦点が絞られず、経験に為らないよ。
サトミ 無明だけは、覆うばかりで、不明になるし、
    行蘊ばかりは、行うばかりで、不毛になるの?
メグミ うん、無明と行蘊、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、行蘊を介し、無明を解していくの?
メグミ そうなの、無明を超え、行蘊を越えていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 根 本 無 明

 

サトシ あのね、根本無明って、どういうものかな?
マサシ すべての、苦悩の根源に、為っているものさ。
サトシ 意識が、Aを見るためには、その裏にある、
    無意識に、非Aを隠すことが、必要になるね。
マサシ そうさ、その無意識を作る闇が、無明なのさ。
サトシ この闇は、Aを見るためには、不可欠だよね。
マサシ そうさ、この闇が無ければ、何も見えない。
    でも、次にBを見るとき、話は別になるのさ。
サトシ 意識が、Bを見るためには、その裏にある、
    無意識に、非Bを隠すことが、必要になるね。
マサシ この時、今まで捉えていた、Aを非Bとして、
    無意識に、繋げてしまうのが、根本無明だよ。
サトシ 昔の意識を、今の無意識に、繋げてしまうの?
マサシ そうだよ、過去を条件にして、現在を捉える。
サトシ つまり、それこそ、苦悩の根源だって言うの?
    いやいや、そうかな、そうとは思えないけど。
マサシ そうか、どうして、そうとは想えないんだい?
サトシ 前に、反対の意見を、他の人に聞いたからね。
マサシ ほらね、無意識に、繋げるから解けないのさ。
サトシ ……………………

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