第三章 第六話 対話編
CASE 六根 の裏に 六境
マナミ インドリア、六根って、どういうものなの?
マサシ 六根とは、時間に生じる、感覚の器官なのさ。
マナミ 具体的には、感覚器官って、どんなものなの?
マサシ 六つの器官は、眼、耳、鼻、舌、身、意だよ。
マナミ ゴーチャラ、六境って、どういうものなの?
マサシ 六境とは、空間に招じる、感覚の対象なのさ。
マナミ 具体的には、感覚対象って、どんなものなの?
マサシ 六つの対象は、色、声、香、味、触、法だよ。
マナミ 即ち、意識を介するから、意味が表れるし、
さらに、意味を解するから、意識が現れるの?
マサシ うん、意識が埋れるから、意味が生まれて、
そして、意味が生れるから、意識が産まれる。
マナミ いつでも、意味と意識は、セットなっていて、
どうしても、単独では、存在が出来ないのね。
マサシ たとえ、その他の感覚が、存在したとしても、
それさえ、この仕組を、免れることはないよ。
マナミ う~ん、見たことも、聞いたこともないのに、
どうして、そんなこと、言い切れてしまうの?
マサシ この意味を、意識すれば、自ずと解かるのさ。
マナミ ……………………!!
CASE 六根 と 六識 と 六境
サトシ ヴィニャーナ、六識は、どういうものかな?
アツシ 六識とは、時間と空間に、識別することだな。
サトシ 具体的には、六つの識別は、どんなものなの?
アツシ 眼識、耳識、鼻識、舌識、身識、意識、だな。
サトシ インドリア、六根って、どういうものかな?
アツシ 六根とは、時間を介して、意識する能力だな。
サトシ 具体的には、六つの能力は、どんなものなの?
アツシ 眼根、耳根、鼻根、舌根、身根、意根、だな。
サトシ ゴーチャラ、六境って、どういうものかな?
アツシ 六境とは、空間を解して、意味する対象だな。
サトシ 具体的には、六つの対象は、どんなものなの?
アツシ 色境、声境、香境、味境、触境、法境、だな。
サトシ つまり、時間と空間が、意識と意味に分かれ、
それらを、細かく別けて、六つに解かれたの?
アツシ そうだ、意識が分れて、六識に別れていき、
それゆえ、意味も別れて、六境に解れていく。
サトシ 視覚、聴覚、嗅覚、味覚や、触覚に分れても、
最終的に、感じているものは、意識なんだね。
アツシ そうだ、意識を介さないと、意味は解せない。
サトシ ……………………!!
CASE 根 の裏に 力
マナミ ねぇ、インドリヤ、根って、どういうもの?
マサシ 根とは、裏に積み重なり、内に隠れるものさ。
マナミ じゃ、バラーニ、力は、どういうものなの?
マサシ 力とは、表に移り変わり、外に現れるものさ。
マナミ 第一の根である、信根って、どういうもの?
マサシ 信心の機根であり、培うほど、信仰力になる。
マナミ 第二の根である、勤根って、どういうもの?
マサシ 精進の機根であり、培うほど、達成力になる。
マナミ 第三の根である、念根って、どういうもの?
マサシ 専心の機根であり、培うほど、集中力になる。
マナミ 第四の根である、定根って、どういうもの?
マサシ 瞑想の機根であり、培うほど、同化力になる。
マナミ 第五の根である、慧根って、どういうもの?
マサシ 智慧の機根であり、培うほど、直観力になる。
マナミ あたかも、無いかのように、見えるものでも、
隠れているだけだから、培えば、現われるの?
マサシ うん、信じて勤めてみるのが、大事なんだよ。
マナミ う~ん、信じて無かったら、無駄にならない?
マサシ そもそも、信じなければ、全て無駄になるよ。
マナミ ……………………
CASE 根 の先に 力
サトミ 隠されている、根って、どういうものかな?
メグミ 根とは、時間として、意識に隠されることよ。
サトミ 空間に現れた、意味を解して、経験すると、
時間として、意識が生じて、積み重なるわけ?
メグミ 意の相は、意の層となり、根づいていくのよ。
サトミ 現われてくる、力って、どういうものかな?
メグミ 力とは、空間として、意味に現されることよ。
サトミ 時間に隠れた、意識を介して、識別すると、
空間として、意味を招じて、湧き上がるわけ?
メグミ 意の層は、意の相となり、浮かんでくるのよ。
サトミ それならね、良きものでも、悪しきものでも、
意識に刻めば、遅かれ早かれ、意味に浮ぶの?
メグミ うん、必ず、望んだものに、臨んでいくのよ。
サトミ う~ん、絶対、そうなるとは、思えないなあ。
すこしは、そうならないことも、あるでしょ。
メグミ そうならないと思うから、そうならないのよ。
信じて、そうなると想えば、そうなるのにね。
サトミ やっぱり、あたしには、そうは思えないな。
メグミ うふっ、根づいたものが、浮んでいるだけよ。
サトミ ……………………