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物語編

第三章 第七話 物語編

第三章    受   と   愛
第七話 左右に分ける と 上下に分ける

 

天の魂が戯れる世界は、地獄の魂が支えている。
誰かが地獄を負わないと、誰も天国を味わえない。
誰もが地獄を嫌がれば、天国の世界も消えてしまう。

 

貧困に苦しむ者を、業が悪いと侮る者がいるが、
貧しさが無いと、豊かさも消えることを知らない。
自らを支える者を、如何して蔑むことが出来るのか。

 

戦乱に悩める者を、運が悪いと嘲う者がいるが、
治世が消えると、乱世が現われることを知らない。
我が先に進む者を、如何して罵ることが出来ようか。

 

天人から見れば、地を這い回る、不要な者ほど、
梵天が見れば、他と代え難い、不可欠な者である。
彼らが居ないと、この欲の界が、崩れ落ちてしまう。

 

天使から見れば、悪を積んでいる、不用な者も、
神から見れば、誰にも積めない、善を積んでいる。
彼らが居ないと、欲の仕組で、智恵を修められない。

 

要らない者、用いない物など、この世にはない。
菩薩が見れば、不要の要であり、不用の用である。
色界の魂だけが、欲界を味わえる、極妙なる皮肉だ。

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