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物語編

第三章 第九話 対話編

CASE 生 の裏に 死

 

マナミ ねぇ、ジャーティ、生は、どういうものなの?
マサシ 生とは、身を持して、世に現れて来ることさ。
マナミ 命を持すのに、体を纏うのは、どうしてなの?
マサシ 業を重ねて、生産するのに、器が要るからさ。
マナミ 命を活かさず、道を外れると、どうなるの?
マサシ 業が偏って、器が詰まって、体が病んでいく。
マナミ 命を活かして、道を進めると、どうなるの?
マサシ 業が直って、器が空になり、体が澄んでくる。
マナミ じゃ、マラナ、死って、どういうものなの?
マサシ 死とは、身を辞して、世を去って行くことさ。
マナミ 命を辞すのに、体を脱ぐのは、どうしてなの?
マサシ 業を省みて、清算するのに、器は障りになる。
マナミ 罪を悔やんで、生を避けると、どうなるの?
マサシ 身を持たず、命を授からず、霊が迷えるのさ。
マナミ 罪を悔やまず、生を求めると、どうなるの?
マサシ 身を以って、命を授かって、霊が治まるのさ。
マナミ 体が有ったら、道を外れたと、気づくけど、
    体が無かったら、道を外れたと、気づけない?
マサシ 道を歩むのに、体を持つ生は、有り難いのさ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 生 の先に 死

 

サトミ 身を持つこと、生って、どういうものかな?
メグミ 生とは、我が身を纏って、世に現れることよ。
サトミ 生まれた、身の中には、何が埋まれているの?
メグミ この生で果たすべき、命が埋まれているのよ。
サトミ 生きながら、使命を果たせると、どうなるの?
メグミ その後は、本当の自由だから、決ってないよ。
サトミ 生まれても、使命を果さないと、どうなるの?
メグミ その身が、老いて、病んで、死んでいくのよ。
サトミ 身を去ること、死って、どういうものかな?
メグミ 死とは、我が身を脱いで、世を抜けることよ。
サトミ 死ぬ前に、使命を果していると、どうなるの?
メグミ もう二度と、生まれ変らない、道が開くのよ。
サトミ 死ぬ前に、使命を果たさないと、どうなるの?
メグミ 何度も、生まれ変わらされる、道を辿るのよ。
サトミ 繰り返す、生まれ変わりは、誰に促されるの?
メグミ 死後に、自ずと思い出す、生れる前の自分よ。
サトミ じゃ、どんな人生でも、自分が選んでいるの?
メグミ たとえ、自殺したくなる、酷い人生だろうと、
    自分なら、楽しめると、思えるほどの自分よ。
サトミ ……………………

 


 

CASE 生 老 病 死

 

サトシ 産れてしまう、生って、どういうものかな?
アツシ 生とは、身を介して、命を明らめることだな。
サトシ 衰えてしまう、老って、どういうものかな?
アツシ 老とは、命を解さず、身を諦らめることだな。
サトシ 患ってしまう、病って、どういうものかな?
アツシ 病とは、命を解せず、身を諦らめることだな。
サトシ 埋れてしまう、死って、どういうものかな?
アツシ 死とは、身を介せず、命を諦らめることだな。
サトシ この世に、命を果すため、生まれて来るの?
アツシ そうだ、身を持つのは、後に退かない決意だ。
サトシ もし、命を見とめないと、どうなるのかな?
アツシ 元より、命が活きないから、身が衰えていく。
サトシ もし、命が誤っていると、どうなるのかな?
アツシ 決して、命を改めないなら、身を患っていく。
サトシ もし、命を果たせないと、どうなるのかな?
アツシ あの世に、命を還すために、埋まれて逝くな。
サトシ う~ん、こんな僕なんか、使命なんてあるの?
    解からないし、信じられないし、どうしよう。
アツシ 命の有り難さを、見とめていれば、大丈夫だ。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 死のない生 と 生のない死

 

サトミ 生と死、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 身を持すこと、生って、どういうものかな?
メグミ 生とは、身を持って、命を明らめることなの。
サトミ 身を辞すこと、死って、どういうものかな?
メグミ 死とは、身を以って、命を諦らめることなの。
サトミ 生を重んじて、死を軽んじると、どうなるの?
メグミ 死のない生なんて、単なる渡世に過ぎないよ。
サトミ じゃ、命を明らめても、命を諦らめないの?
メグミ そうよ、命を果さないと、命を渡すだけだよ。
サトミ 死を重んじて、生を軽んじると、どうなるの?
メグミ 生のない死なんて、単なる転生に過ぎないよ。
サトミ じゃ、命を諦らめても、命を明らめないの?
メグミ そうよ、命を遂げないと、命が続くだけだよ。
サトミ 生だけは、生きようとして、死んでしまい、
    死ばかりは、死のうとしても、生れてしまう。
メグミ そうよ、生と死、そのどちらも、必要なのよ。
サトミ じゃ、死を究めながら、生を極めていくの?
メグミ うふっ、生を超えながら、死を越えていくの。
サトミ ……………………!!

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