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物語編

第三章 第十話 対話編

CASE 順観 の裏に 逆観

 

マナミ 順に観じる、順観って、どういうものなの?
マサシ 順観とは、結果に辿って、因縁を観ることさ。
マナミ つまり、原因ならば結果と、時間に従がうの?
マサシ うん、結果を意識できる、因果の見方なのさ。
マナミ 因が有ると、果も有ると見ると、どうなるの?
マサシ 従来の因果を、自然であると、感じるのさ。
マナミ 因が無いと、果も無いと見ると、どうなるの?
マサシ 従来の因果を、自然でないと、感じるのさ。
マナミ 逆に観じる、逆観って、どういうものなの?
マサシ 逆観とは、原因に遡って、因縁を観ることさ。
マナミ つまり、結果ならば原因と、時間に逆らうの?
マサシ うん、原因を意識できる、因果の見方なのさ。
マナミ 果が有れば、因も有ると見ると、どうなるの?
マサシ 従来の因果を、自然であると、観じるのさ。
マナミ 果が無いと、因も無いと見ると、どうなるの?
マサシ 従来の因果を、自然でないと、観じるのさ。
マナミ 順に介せば絶対化し、逆に解せば相対化する。
    有と見れば自然に、無と見れば不自然になる。
マサシ そうさ、これも、先ずは、順に観ればいいよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 順観 の先に 逆観

 

サトミ 順に感じる、順観って、どういうものかな?
メグミ 順観とは、因果を介して、結果を感じるのよ。
サトミ 結果に迎い、時間に従うと、実感が生じるの?
メグミ 繰り返すほど、実感が生じて、絶対化するよ。
サトミ 在るものを、有ると感じるほど、どうなるの?
メグミ 自然なものが、当然であると、感じてくるよ。
サトミ 在るものを、無いと感じるほど、どうなるの?
メグミ 自然なものが、当然でないと、感じてくるよ。
サトミ 逆に観じる、逆観って、どういうものかな?
メグミ 逆観とは、因果を解して、原因を観じるのよ。
サトミ 原因に向い、時間を遡ると、実感が消えるの?
メグミ 我に返るほど、実感が消えて、相対化するよ。
サトミ 在るものを、有ると観じるほど、どうなるの?
メグミ 自然なものが、当然であると、観じてくるよ。
サトミ 在るものを、無いと観じるほど、どうなるの?
メグミ 自然なものが、当然でないと、観じてくるよ。
サトミ 見方が変われば、感じ方も、観じ方も換わる。
    うん、言われてみれば、当然に感じているよ。
メグミ うふっ、原因から結果に、因果を辿ったから。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 十 二 因 縁 壱

 

サトシ えっと、十二因縁の教えは、どういうもの?
アツシ 苦に至るまでを、十二の段階で説いたものだ。
サトシ 十二の段階を、具体的に言えば、どうなるの?
アツシ 無明から始まり、行、識、名色、六処、触、
    それから、受、愛、取、生、老死、苦に至る。
サトシ う~ん、良く解からない、どういうことかな?
アツシ 先ず、認識が固まると、認識が重ねられる。
サトシ そして、認識が重なると、認識が分けられる。
アツシ 次に、認識が別れると、認識が歪められる。
サトシ そして、認識が曲がると、認識に捕らわれる。
アツシ 更に、認識に囚われて、自我が生まれてくる。
サトシ そして、自我が産まれて、良くが究められる。
アツシ 故に、良くが極められ、飽くに窮められる。
サトシ それが、老いに変わるし、死にも換わるのか。
アツシ ああ、すべての原因は、認識が固まることだ。
サトシ じゃあ、固定的に見ない、それで良いんだね。
アツシ そうだが、君が思った以上、これは難しいぞ。
サトシ ううん、固定的に見ない、それで良いだけさ。
アツシ ほら、そう想った以上、すでに嵌まっている。
サトシ ……………………

 


 

CASE 十 二 因 縁 弐

 

アツシ 一切の苦は、無明の闇から、生まれている。
サトシ それなら、闇が無ければ、苦は無いわけだね。
アツシ 因果を遡り、原因を断てば、苦しみは消える。
    とはいえ、なかなか、これが、難しいわけだ。
サトシ う~ん、そうかな、僕には、易しく見えるよ。
アツシ それなら、空腹を感じて、君が苦しいとき、
    その原因は、何処に有ると、君は考えるんだ?
サトシ 長い時間、食べてないことに、決っているよ。
アツシ もっと、根源的な原因まで、遡ってみないか。
サトシ じゃ、満腹まで食べられない、貧乏だからだ。
    もっと、金持ちに成れたら、苦悩が消えるよ。
アツシ それでは、原因に遡らず、条件を変えている。
    空腹の因は、食欲の存在と、君は思わないか。
サトシ それなら、食欲が無いと、空腹も無いのかな?
    う~ん、食べずに済むとは、僕には想えない。
アツシ そうして、食の楽しみを、肯定したいから、
    隠れている、食の苦しみも、肯定してしまう。
サトシ 食欲とは、生存本能だよ、当然の欲求なんだ。
アツシ それも、原因に遡らず、前提で止まっている。
サトシ ……………………

 


 

CASE 逆観なき順観 と 順観なき逆観

 

サトミ 順観と逆観、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 順に観じる、順観って、どういうものかな?
メグミ 順観とは、因から果まで、迫る観じ方なのよ。
サトミ 逆に観じる、逆観って、どういうものかな?
メグミ 逆観とは、果から因まで、遡る観じ方なのよ。
サトミ 順観を望み、逆観に臨まないと、どうなるの?
メグミ 逆観なき順観なんて、唯の大観に過ぎないよ。
サトミ じゃ、結果に迫るけど、原因に遡らないの?
メグミ そうよ、原因が解からず、大きく観るだけよ。
サトミ 逆観を望み、順観に臨まないと、どうなるの?
メグミ 順観なき逆観なんて、只の傍観に過ぎないよ。
サトミ じゃ、原因に遡るけど、結果に迫らないの?
メグミ そうよ、結果に関わらず、傍から観るだけよ。
サトミ 順観だけは、観じないから、近づけないし、
    逆観ばかりは、感じないから、近づけないの?
メグミ うん、順観と逆観、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、逆観を究め、順観を極めていくの?
メグミ そうなの、順観を超え、逆観を越えていくの。
サトミ ……………………!!

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