第三章 第十一話 対話編
CASE 苦 の裏に 信
マナミ ねぇ、ドゥッカ、苦って、どういうものなの?
マサシ 苦とは、良くを望んで、飽くに臨むことだよ。
マナミ 必ず、善を望んでいると、悪に臨んでいくの?
マサシ そうさ、楽を望んでいると、苦に臨んでいく。
マナミ じゃ、サッダー、信って、どういうものなの?
マサシ 信とは、飽くに臨んで、解くを望むことだよ。
マナミ 必ず、悪に臨んでいると、徳を望んでいくの?
マサシ そうさ、苦に臨んでいると、空を望んでいく。
マナミ 欲は、初めこそ良いけど、後から悪くなるの?
マサシ そうさ、飽かない欲なんて、何処にも無いよ。
マナミ でも、飽いたら、別の欲を持てば、良くない?
マサシ いいよ、でも、その欲も、後から悪くなるよ。
マナミ でも、飽いたら、別の欲を持てば、良くない?
マサシ いいよ、でも、その欲も、後から悪くなるよ。
マナミ これって、切りが無いけど、どうしたら良い?
マサシ そうさ、飽くことに飽いたら、解くしかない。
マナミ 必ず、良くは飽く、この仕掛を、解けるの?
教えて、繰り返すのは、もう、うんざりなの。
マサシ うん、それが信だよ、僕が、解くを説こうか。
マナミ ……………………!!
CASE 苦 の先に 信
サトミ 飽くに究める、苦って、どういうものかな?
メグミ 苦とは、善を究めるほど、悪に極まることよ。
サトミ 空くに極める、信って、どういうものかな?
メグミ 信とは、悪を極めるほど、徳に究まることよ。
サトミ 必ず、良くを究めると、飽くに極められるの?
メグミ そうよ、漏れることなく、良くは必ず飽くの。
サトミ もし、この法を諦めないと、どうなるのかな?
メグミ 今度は、良く為りたいと、別の良くを選ぶよ。
サトミ もし、この法を明らめると、どうなるのかな?
メグミ 本当に、良く成りたいと、上の良くを択ぶよ。
サトミ 今までは、我が考えてきた、別の良くだけど、
最後は、我を越えている、別次元の良くなの?
メグミ うん、我が欲に従ったから、苦しくなったの。
最後は、我を空に変えないと、いけないのよ。
サトミ 飽くって、良くに返しても、飽くだけだけど、
その上、空くに還したら、解くことになるの。
メグミ うん、この仕掛を解くには、良くを越えるの。
サトミ そっか、良くが解ければ、本当に良くなると。
メグミ こうして、解けない良くは、苦しいだけだよ。
サトミ ……………………!!
CASE 楽 と 苦 と 信
サトシ 善を望むこと、楽って、どういうものかな?
マサシ 楽とは、我が欲を持って、良くを望むことさ。
サトシ 悪に臨むこと、苦って、どういうものかな?
マサシ 苦とは、我が欲を以って、飽くに臨むことさ。
サトシ 徳を望むこと、信って、どういうものかな?
マサシ 信とは、我が欲を持って、解くを望むことさ。
サトシ じゃ、小さな欲を抱いたら、どうなるのかな?
マサシ 小さな、良くを望むから、小さな飽くに臨み、
細やかな、解くを望むから、小さな空に至る。
サトシ じゃ、大きな欲を抱いたら、どうなるのかな?
マサシ 大きな、良くを望むから、大きな飽くに臨み、
大いなる、解くを望むから、大きな空に到る。
サトシ つまり、すべての根源は、良く、欲であって、
楽も苦も、信も空でさえも、欲から生じるの?
マサシ 非Aよりも、Aを愛している、愛から生じる。
サトシ 愛が歪み、愛が小さくなるから、苦しむのか。
マサシ 自分が、愛されていないって、思ってしまう。
サトシ 我が愛が偏ると、真の愛から外れる、仕組か。
マサシ そうさ、信じられる範囲で、信じてごらんよ。
サトシ ……………………!!
CASE 信のない苦 と 苦のない信
サトミ 苦と信、どちらの方を、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 我に飽くこと、苦って、どういうものかな?
メグミ 苦とは、欲に塗れて、我が詰まることなのよ。
サトミ 我が空くこと、信って、どういうものかな?
メグミ 信とは、欲を越えて、我を空にすることなの。
サトミ 苦を重んじて、信を軽んじると、どうなるの?
メグミ 信のない苦なんて、単なる窮苦に過ぎないよ。
サトミ じゃ、飽くばかりで、空くことがないのかな?
メグミ そうよ、解けないから、窮々に苦しむだけよ。
サトミ 信を重んじて、苦を軽んじると、どうなるの?
メグミ 苦のない信なんて、単なる軽信に過ぎないよ。
サトミ じゃ、空くばかりで、飽くことがないのかな?
メグミ そうよ、悩まないから、軽々に信じるだけよ。
サトミ 苦だけは、解けないから、徳を研けないし、
信ばかりは、悩まないから、智を磨けないの?
メグミ そうよ、苦と信、その両方が、必要になるの。
サトミ じゃ、信を介しながら、苦を解していくの?
メグミ うふっ、苦を超えながら、信を越えていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 苦あり て 信あり
サトミ あ~ん、誰でも良いから、あたしを援けて!
マナミ わたしを、心から信じたら、助けられるけど。
サトミ あ~ん、あんたでも良いから、早く援けてよ。
マナミ うん、信じてくれない限り、助けられないの。
サトミ じゃあ、どのぐらい信じたら、援けてくれる?
マナミ わたし対あなた、十対〇で、信じてくれたら。
サトミ そんなの、イヤだよ、せめて、五対五にして。
マナミ あなた、我が道を選んで、苦しくなったの。
次は、他の道を択ばないと、楽にならないの。
サトミ そんなの、ダメだよ、せめて、六対四にして。
マナミ あなた、甘い道を選んで、苦しくなったの。
次は、辛い道を択ばないと、楽にならないの。
サトミ そんなの、ムリだよ、せめて、七対三にして。
マナミ なぜ、わたしに対して、交渉しようとするの?
完全に、諦らめなければ、助けられないのよ。
サトミ そんなの、ヒドイよ、せめて、八対二にして。
マナミ ううん、交渉する内は、苦が足りていない。
本心から、苦しかったら、百対〇で信じるの。
サトミ 人の弱みに、付け込むなんて、信じられない!
マナミ ……………………