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物語編

第三章 第十三話 対話編

CASE 軽安 の裏に 安楽

 

マナミ パッサッディ、軽安って、どういうものなの?
マサシ 軽安とは、身の軽さであり、外の安らぎだよ。
マナミ 外に表れる、安らぎって、どういうものなの?
マサシ 外に望まない、外に捕われない、安らぎだよ。
マナミ たとえ、外に臨んでいても、外に望まないの?
マサシ そうだよ、だからこそ、身が軽いままなのさ。
マナミ じゃ、スッカ、安楽って、どういうものなの?
マサシ 安楽とは、心の軽さであり、内の安らぎだよ。
マナミ 内に現れる、安らぎって、どういうものなの?
マサシ 内に望まない、内に囚われない、安らぎだよ。
マナミ たとえ、内に臨んでいても、内に望まないの?
マサシ そうだよ、だからこそ、心が軽いままなのさ。
マナミ 外にしても、内にしても、望めば重くなる。
    ひたすら、臨むだけにして、何も望まないの?
マサシ 望むと、重くなるのに、何故か欠けていき、
    臨むほど、軽くなるのに、何故か満ちてくる。
マナミ そっか、いま、この瞬間に、臨んでいると、
    清々しい、望む以上のものが、現われるのね。
マサシ スッキリしたかい、まさに、それが軽さだよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 軽安 の先に 安楽

 

サトミ 外に表われる、悦って、どういうものかな?
メグミ 悦とは、身の歓びであり、外の味わいなのよ。
サトミ 内に現われる、喜って、どういうものかな?
メグミ 喜とは、心の歓びであり、内の味わいなのよ。
サトミ 外に表われる、軽安は、どういうものかな?
メグミ 軽安は、身の軽さであり、外の安らぎなのよ。
サトミ 内に現われる、楽って、どういうものかな?
メグミ 楽とは、心の軽さであり、内の安らぎなのよ。
サトミ 悦と喜は、歓びだけど、軽安と楽は軽さなの?
メグミ そうよ、歓びと軽さって、大きな違いなのよ。
サトミ 湧き上がる、歓びって、どういうものかな?
メグミ 歓びとは、盛り上がると、盛り下がるものよ。
サトミ 透き通った、軽さって、どういうものかな?
メグミ 軽さとは、山も谷もない、澄み渡ったものよ。
サトミ う~ん、歓びよりも、軽さの方が、優れるの?
    何も無いより、歓びが有る方が、良いと思う。
メグミ うんうん、歓びが有る方が、絶対に良いよね。
サトミ そうだよね、歓びが有る方が、絶対に良いよ。
メグミ うふっ、盛り上がったけど、真実は逆なのよ。
サトミ ……………………

 


 

CASE 安楽なき軽安 と 軽安なき安楽

 

サトミ 軽安と安楽、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 外に表れる、軽安って、どういうものかな?
メグミ 軽安は、身の軽さであり、外の安らぎなのよ。
サトミ 内に現れる、安楽って、どういうものかな?
メグミ 安楽は、心の軽さであり、内の安らぎなのよ。
サトミ 軽安を望み、安楽に臨まないと、どうなるの?
メグミ 安楽なき軽安なんて、唯の軽薄に過ぎないよ。
サトミ じゃ、外が軽いだけで、内が重くなるのかな?
メグミ そうよ、軽く見せるだけ、心は沈んだままよ。
サトミ 安楽を望み、軽安に臨まないと、どうなるの?
メグミ 軽安なき安楽なんて、只の気楽に過ぎないよ。
サトミ じゃ、内が軽いだけで、外が重くなるのかな?
メグミ そうよ、外を見ていると、心が沈んでくるよ。
サトミ 軽安だけは、内なる憂いに、気づけないし、
    安楽ばかりは、外なる悩みに、気づかないの?
メグミ うん、軽安と安楽、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、安楽を究め、軽安を極めていくの?
メグミ そうなの、軽安を超え、安楽を越えていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 厭離 の裏に 遠離

 

マナミ 厭い離れる、厭離って、どういうものなの?
マサシ 厭離とは、煩悩を認めず、横に退けることさ。
マナミ じゃあ、煩悩を避けるって、どういうこと?
マサシ 苦しみも、楽しみまでも、否定し続けるのさ。
マナミ 厭離の段で、煩悩に近づくと、どうなるの?
マサシ 接すると、煩悩の楽しみに、巻き込まれるよ。
マナミ 遠く離れる、遠離って、どういうものなの?
マサシ 遠離とは、煩悩を認めて、上に超えることさ。
マナミ じゃあ、煩悩を越えるって、どういうこと?
マサシ 楽しみも、苦しみまでも、肯定し続けるのさ。
マナミ 遠離の階で、煩悩に接すると、どうなるの?
マサシ 接しても、煩悩の苦しみに、巻き込まれない。
マナミ 厭離の段は、近づいたら、捕らわれるけど、
    遠離の階では、近づいても、囚らわれないの?
マサシ 厭離は、嫌って見えても、裏で好いていて、
    遠離では、好いて見えても、実は捕われない。
マナミ そっか、嫌っているのは、好いているから。
    心底から、離れるには、認めるしかないのね。
マサシ うん、そこまで認められたら、囚われないよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 厭離 の先に 遠離

 

サトミ 否み離れる、厭離って、どういうものかな?
メグミ 厭離とは、条件を限って、煩悩を離れるのよ。
サトミ 肯い離れる、遠離って、どういうものかな?
メグミ 遠離とは、条件を限らず、煩悩を離れるのよ。
サトミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
メグミ あなたは、麻薬の快楽に、関らない自信ある?
サトミ 大丈夫、社会の規範を、破りたくないからね。
メグミ もし、犯罪性が無ければ、係らない自信ある?
サトミ 大丈夫、社会の倫理を、犯したくないからね。
メグミ もし、禁忌性が無ければ、関らない自信ある?
サトミ 大丈夫、薬物の中毒に、為りたくないからね。
メグミ もし、中毒性が無ければ、係らない自信ある?
サトミ う~ん、害が無いなら、関っても良いでしょ。
メグミ こうして、条件に左右されると、厭離なのよ。
    一方で、条件に左右されないのが、遠離なの。
サトミ それなら、遠離をしたければ、どうするの?
メグミ 利と害、どちらも見とめて、囚われないこと。
サトミ えっ、利の方を認めたら、巻き込まれるよ。
メグミ うふっ、隠し続けても、晒し出されたでしょ。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 厭離 という 遠離

 

サトシ う~ん、あの子のことが、頭から離れないよ。
アツシ いわゆる、それは、恋煩い、というものだな。
サトシ どうすれば、この状態を、抜け出せるのかな?
アツシ それなら、徹底的に否定し、離れたら良い。
    すると、好きなところが、見えなくなるから。
サトシ どうしても、避けて通れない、関係なんだよ。
アツシ それなら、徹底的に肯定し、離れたら良い。
    すると、嫌いなところが、見えてくるからな。
サトシ 徹底的に、無視をするのか、直視をするのか?
アツシ 無視は、易しいが、近づけば、捕らわれる。
    直視なら、難しいが、接しても、囚われない。
サトシ う~ん、どちらを、選んだら、僕は良いかな?
アツシ 君が、気になる子は、誰なのか、教えてくれ。
サトシ う~ん、恥かしいから、誰なのか、言えない。
アツシ それなら、無視するしか、方法は存在しない。
サトシ じゃあ、耳を貸してよ、君だけに教えるから。
アツシ なるほど、その相手なら、直視した方が早い。
サトシ う~ん、そんなことが、どうして、分かるの?
アツシ 俺は、嫌というほど、見たから、解かるんだ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 遠離なき厭離 と 厭離なき遠離

 

サトミ 厭離と遠離、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 否み離れる、厭離って、どういうものかな?
メグミ 厭離とは、苦楽を認めず、捕われないことよ。
サトミ 肯い離れる、遠離って、どういうものかな?
メグミ 遠離とは、苦楽を認めて、囚われないことよ。
サトミ 厭離を望み、遠離に臨まないと、どうなるの?
メグミ 遠離なき厭離なんて、唯の隔離に過ぎないよ。
サトミ じゃ、苦楽を見とめず、苦楽を避けているの?
メグミ そうよ、逃げ続けるから、隔て離れているよ。
サトミ 遠離を望み、厭離に臨まないと、どうなるの?
メグミ 厭離なき遠離なんて、只の乖離に過ぎないよ。
サトミ じゃ、苦楽を見とめて、苦楽を分けてないの?
メグミ そうよ、乗り越えるから、掛け離れているよ。
サトミ 厭離だけは、苦でも楽でも、隔して見えず、
    遠離ばかりは、楽でも苦でも、同じに見える。
メグミ うん、厭離と遠離、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、遠離を望み、厭離に臨んでいくの?
メグミ そうなの、厭離を究め、遠離を極めていくの。
サトミ ……………………!!

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