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物語編

第三章 第十六話 対話編

CASE 生起 の裏に 滅尽

 

マナミ ねぇ、サムダヤ、生起は、どういうものなの?
マサシ 生起は、因と縁が揃い、果が生じることだよ。
マナミ じゃ、ニローダ、滅尽は、どういうものなの?
マサシ 滅尽は、因が滅すると、果が生じないことさ。
マナミ 原因が有って、条件が有ると、どうなるの?
マサシ 生起をしていて、滅尽してない、状態になる。
マナミ 原因が有って、条件が無いと、どうなるの?
マサシ 生起してないが、滅尽してない、状態になる。
マナミ 原因が無くて、条件が有ると、どうなるの?
マサシ 生起していない、滅尽している、状態になる。
マナミ じゃ、端から見て、結果が生じていないとき、
    原因が埋れているか、埋れてないか解らない?
マサシ そうさ、あらゆる条件で、生まれないとき、
    ようやく、滅び尽くしたと、言い切れるのさ。
マナミ う~ん、ある条件だけで、滅すれば良いって、
    わたしは、他の人から、聞いたことがあるの。
マサシ ある条件か、あらゆる条件か、どっちを選ぶ?
マナミ わたしは、ある条件だけで、滅すれば良いの。
マサシ いいよ、その条件を越え、その先を確めなよ。
マナミ ……………………

 


 

CASE 生起 の先に 滅尽

 

サトミ 起き上がる、生起って、どういうものかな?
メグミ 生起とは、条件が揃って、苦が生じることよ。
サトミ 滅し尽くす、滅尽って、どういうものかな?
メグミ 滅尽とは、原因を滅して、苦を滅することよ。
サトミ う~ん、良く解らない、どういうことなの?
メグミ やたらと、権力に対して、逆らう人いるけど、
    自分に、同じ所が有るから、気に為り易いの。
サトミ 今は、隠されているけど、裏に潜んでいて、
    いずれ、条件が揃うと、表に現われて来るの?
メグミ うん、自分が力を持つと、権力を振り翳すの。
サトミ つまり、権力が気になると、原因が有って、
    逆に、権力が気にならないと、原因は無いの?
メグミ そうよ、力を持たなくても、力を持っても、
    その力を、振り翳さないとき、滅し尽したの。
サトミ 或る条件で、生起しないは、滅尽ではなく、
    全ての条件で、生起しないが、滅尽なわけね。
メグミ そうよ、滅尽すると、外が気に為らなくなる。
サトミ あたしは、人のことが、とっても気になるの。
メグミ うふっ、いろいろなもの、裏に眠っているね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 生起 という 滅尽

 

サトシ あ~あ、お腹が減ったな、何か食べたいなぁ。
マサシ 苦しみの原因と、苦しみの条件が、揃うとき、
    必ず、苦しみの結果が、生まれてしまうのさ。
サトシ う~ん、良く解からない、どういうことかな?
マサシ たとえば、空腹という、苦しみの結果には、
    食べたい原因と、食べられない条件があるよ。
サトシ 空腹が、生まれているのは、どういうとき?
マサシ 食べたくて、食べられてない、そんなときさ。
サトシ 空腹が、埋まれているのは、どういうとき?
マサシ 食べたくて、食べられている、そんなときさ。
サトシ 空腹が、埋まれてないのは、どういうとき?
マサシ 食べても、食べなくてもいい、そんなときさ。
サトシ じゃあ、あらゆる条件で、原因が無いとき、
    自分には、苦しみが無いと、言い切れるわけ?
マサシ そうさ、食欲が有る限り、苦の原因が残るよ。
サトシ そうかな、そのように、僕は思えないけどな。
    だって、パンが無ければ、ケーキを食べなよ。
マサシ それでは、いくら食べても、空腹が埋まれる。
    いつか、食べ物が無くなれば、解かるはずさ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 滅尽なき生起 と 生起なき滅尽

 

サトミ 生起と滅尽、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 起き上がる、生起って、どういうものかな?
メグミ 生起とは、煩悩が生じて、苦楽が起こるのよ。
サトミ 滅し尽くす、滅尽って、どういうものかな?
メグミ 滅尽とは、煩悩を滅して、苦楽を尽くすのよ。
サトミ 生起を望み、滅尽に臨まないと、どうなるの?
メグミ 滅尽なき生起なんて、唯の喚起に過ぎないよ。
サトミ じゃ、煩悩に近づいて、煩悩を尽さないの?
メグミ そうよ、煩悩を楽しんで、煩悩に苦しむのよ。
サトミ 滅尽を望み、生起に臨まないと、どうなるの?
メグミ 生起なき滅尽なんて、只の隠滅に過ぎないよ。
サトミ じゃ、煩悩に近づかず、煩悩を起さないの?
メグミ そうよ、煩悩が埋まれて、煩悩が隠れるのよ。
サトミ 生起だけでは、喚き続けて、落ち着けない。
    滅尽ばかりでは、隠し続けて、滅し尽せない。
メグミ うん、生起と滅尽、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、滅尽を追い、生起を負っていくの?
メグミ そうなの、生起に臨み、滅尽を望んでいくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 苦 集 滅 道

 

サトシ 苦悩の真理、苦諦って、どういうものかな?
アツシ 苦諦とは、楽が生れると、苦が埋れることだ。
サトシ 楽を望むと、苦に臨むのが、絶対の真理なの?
アツシ そうだな、欲を持つ限り、総べてが苦になる。
サトシ 生起の真理、集諦って、どういうものかな?
アツシ 集諦とは、楽が消えると、苦が現れることだ。
サトシ 楽が尽きて、苦に換るのが、絶対の真理なの?
アツシ そうだな、楽を集めると、苦も集まってくる。
サトシ 滅尽の真理、滅諦って、どういうものかな?
アツシ 滅諦とは、楽を滅すると、苦も消えることだ。
サトシ 楽を喪うと、苦を失うのが、絶対の真理なの?
アツシ そうだな、苦楽を滅して、悟りの境地に至る。
サトシ 道程の真理、道諦って、どういうものかな?
アツシ 道諦とは、楽を諦めると、苦も諦めることだ。
サトシ 楽を超すと、苦を越すのが、絶対の真理なの?
アツシ そうだな、悟りに至るための、道が存在する。
サトシ そっか、苦を集めて滅する、道があるんだね。
    でも、苦を集めるのって、どうするんだろう?
アツシ 簡単だ、欲を持っていれば、自ずと集まるぞ。
サトシ ……………………!!

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