第三章 第十七話 対話編
CASE 邪道 の裏に 正道
マナミ 邪なる道理、邪道って、どういうものなの?
マサシ 邪道とは、矛盾を隠して、業に塗れる道だよ。
マナミ どうすると、矛盾が埋れて、業を重ねるの?
マサシ 自分だけ、特別と考えて、例外として捉える。
マナミ 道理を、他に適用して、自らに適用しないの?
マサシ うん、言と行が乖離して、矛盾が重なるのさ。
マナミ 正しい道理、正道って、どういうものなの?
マサシ 正道とは、矛盾を現して、業を超える道だよ。
マナミ どうすると、矛盾が生れて、業を越えるの?
マサシ 自分だけ、特別と考えず、例外として見ない。
マナミ 道理を、他に適用して、自らにも適用するの?
マサシ うん、言と行が一致して、矛盾を越えるのさ。
マナミ たとえ、言っていることに、矛盾が無くても、
行っていることと、矛盾したら、邪道なのね。
マサシ そうだよ、自分に適用しない、ということは、
未だに、完全に理解していない、証拠なのさ。
マナミ じゃ、言うことは良いけど、行うことは悪い。
そんな人は、正しい道を、未だ知らないのね。
マサシ そこまで、言ったなら、正しく行なうことさ。
マナミ ……………………!!
CASE 邪道 の先に 正道
サトミ 邪なる道程、邪道って、どういうものかな?
メグミ 邪道とは、先に進むほど、矛盾が隠れる道よ。
サトミ 道を進んで、苦が隠れると、どうなるのかな?
メグミ 楽になるから、正しい道だと、思い始めるよ。
サトミ 優しいから、信じ切って進むと、どうなるの?
メグミ 業を積み重ね、器が埋まって、苦が現れるよ。
サトミ 正しい道程、正道って、どういうものかな?
メグミ 正道とは、先に進むほど、矛盾が現れる道よ。
サトミ 道を進んで、苦が現れると、どうなるのかな?
メグミ 苦になるから、邪まな道だと、思い始めるよ。
サトミ 厳しくても、耐え抜いて進むと、どうなるの?
メグミ 業が落ち切り、器が空になり、徳が現れるよ。
サトミ 邪な道は、易しく見えて、後で厳しくなり、
正しい道は、難しく見えて、後で優しくなる?
メグミ 邪な道は、矛盾を隠して、楽に変わるけど、
正しい道は、矛盾を越えて、空に換わるのよ。
サトミ 次第に狭くなる道と、徐々に広くなる道か。
あたしは、どちらに進んだら、良いと思う?
メグミ どちらでも、最後まで進めれば、良いと想う。
サトミ ……………………!!
CASE 正道なき邪道 と 邪道なき正道
サトミ 邪道と正道、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 自我に合す、邪道って、どういうものかな?
メグミ 邪道とは、進み易いけど、曲っていく道だよ。
サトミ 真我に会す、正道って、どういうものかな?
メグミ 正道とは、進み難いけど、直っていく道だよ。
サトミ 邪道を望み、正道に臨まないと、どうなるの?
メグミ 正道なき邪道なんて、唯の非道に過ぎないよ。
サトミ じゃ、自我に合せても、真我に会えないの?
メグミ そうよ、曲り続けるから、巡り続けるだけよ。
サトミ 正道を望み、邪道に臨まないと、どうなるの?
メグミ 邪道なき正道なんて、只の細道に過ぎないよ。
サトミ じゃ、真我に会せても、自我に合せないの?
メグミ そうよ、直し続けるから、試し続けるだけよ。
サトミ 邪道だけでは、同じ処から、奥に勧めない。
正道ばかりでは、狭き門より、中に進めない。
メグミ うん、邪道と正道、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、正道を介し、邪道を解していくの?
メグミ そうなの、邪道を負い、正道を追っていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 八 正 道 壱
サトシ 正しく見る、正見って、どういうものかな?
アツシ 正見とは、我に拠らずに、法で見ることだな。
サトシ 正しく思う、正思って、どういうものかな?
アツシ 正思惟は、我に拠らずに、法で思うことだな。
サトシ 正しく語る、正語って、どういうものかな?
アツシ 正語とは、我に拠らずに、法で語ることだな。
サトシ 正しく行う、正業って、どういうものかな?
アツシ 正業とは、我に拠らずに、法で行うことだな。
サトシ 我に従って、思いのままに、することなく、
法に順がって、在りのままに、すればいいの?
アツシ そうだ、身口意に於いて、法に従がえば良い。
サトシ 具体的に、身に於いて、どうすれば良いの?
アツシ それは、殺さない、盗まない、耽らないだな。
サトシ 具体的に、口に於いて、どうすれば良いの?
アツシ 違わせない、惑わさない、騙らず、罵らない。
サトシ 具体的に、心に於いて、どうすれば良いの?
アツシ それは、貪らない、怒らない、迷わないだな。
サトシ なるほど、良く分かったよ、これで安心だね。
アツシ 早まるなよ、まだ、君は、正しく見ただけだ。
サトシ ……………………
CASE 八 正 道 弐
サトシ 正に生きる、正命って、どういうものかな?
アツシ 正命とは、法に従がって、生活することだな。
サトシ 正に努める、正進って、どういうものかな?
アツシ 正精進は、法に従がって、精進することだな。
サトシ 正に念じる、正念って、どういうものかな?
アツシ 正念とは、今この瞬間に、集中することだな。
サトシ 正に定める、正定って、どういうものかな?
アツシ 正定とは、主体と客体が、合一することだな。
サトシ 我に従うと、自他が別れて、矛盾するけど、
法に順がうと、自他が合さり、矛盾しないの?
アツシ ああ、矛盾に塗れるほど、集中し難くなり、
反対に、矛盾を越えるほど、集中し易くなる。
サトシ それじゃ、矛盾が生じるのは、どういうとき?
アツシ 正しい道を、他に勧めても、自ら進めない。
サトシ 自我も他我も、同じ様に、法で見とめてこそ、
我を越えて、主体と客体が、合一するわけか。
アツシ そうだな、自他を入れ替える、精進が必要だ。
サトシ なるほどね、良く解かった、これで完璧だね。
アツシ 早まるな、まだ、君は、正しく考えただけだ。
サトシ ……………………
CASE 八 正 道 参
サトミ あたし、今迄ずっと、好き勝手してきたけど、
最近、とても苦しいの、道を間違えたのかな?
マナミ 元より、善悪は無いから、間違っていないの。
サトミ そんなこと、言われたって、本当に苦しいの。
絶対、あたし、大きな過ちを、犯しているわ。
マナミ ううん、大丈夫、あなたの、好きにして良い。
あなたは、楽しんでも、苦しんでも、良いの。
サトミ もうっ、そんなこと、言わないで、助けてよ。
マナミ あなたには、苦しいことが、誤まりであり、
それ故に、苦しくないことが、正しいわけね?
サトミ そうよ、苦しいことが嫌なのは、当然でしょ。
マナミ それなら、それを徹底すれば、良いだけなの。
半端だから、矛盾を抱いて、苦しく感じるの。
サトミ 口では、誤まっていると、言っているけど、
心の中で、誤まってないと、思っているわけ?
マナミ そうよ、心の中では、ちっとも謝ってないの。
サトミ 違うわよ、こんなにも、謝っているじゃない。
マナミ それは、口だけなの、謝っているつもりなの。
サトミ 何よ、あんたの方こそ、誤っているんだから!
マナミ ……………………
CASE 八 正 道 肆
サトミ 思いのまま、考えていたら、苦しくなった。
マナミ 好き勝手、思考するから、矛盾をしていくの。
サトミ 在りのまま、考えていけば、苦しくなくなる?
お願いだから、あたしに、正しい道を教えて。
マナミ 言行を合せ、自他を会せて、矛盾を越えるの。
サトミ 発言と行動を、合せていくと、どうなるの?
マナミ 内に隠れた、苦悩の原因が、分かって来るの。
サトミ 自分と他者を、会せていくと、どうなるの?
マナミ 外に現れた、苦悩の条件が、解かって来るの。
サトミ 徹底的に、自業の自得を、突き詰めていくと、
矛盾を越え、内側も外側も、生まれ変わるの?
マナミ そうなの、全てのものは、自ら選んでいると、
悟れるなら、在りのままが、思いのままなの。
サトミ なるほど、そんな仕組に、成っていたわけね。
あたし、思いのままに、苦しんでいただけか。
マナミ そうなの、苦しくたって、在りのままだから。
サトミ あんたから、厳しいことを、言われたけれど、
これさえ、自らが望んで、言わせていたのね。
マナミ たとえ、厳しくたって、思いのままだから。
サトミ ……………………!!