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物語編

第三章 第十九話 物語編

第三章    善因   と   善果
第十九話 善と思い込む と 善と想い返す

 

甘えるな、小僧、再び、乱世に戻すつもりか。
浮ついた、貴様の物言いが、徒に亡者を蘇らせる。
私が何を背負って、ここまで来たか、知っているか。

 

己が重ねた罪は、久しく、己の心の内にあり、
その数は万を越えて、絶えず、我が心を苛ませる。
そうだ、私は、逃げもしないし、逃げられもしない。

 

少しでも、肩代りさせれば、死を選ぶだろう。
貴様のように、口先だけの者は、昔から多かった。
軽く試そうなら、恨み言を吐いて、死を望んだ程だ。

 

過酷に死ぬ法より、苛酷に生きる方が難しい。
私と貴様では、背負った物に、天地の開きがある。
簡単に諦らめた、貴様如きには、容易に解かるまい。

 

これが、最後の勧告だ、我が国の法に従うか。
従うならば、善の法を弁える、善人として報いる。
順わないなら、我が法を危める、悪人として酬いる。

 

私とて、人を活かすことに、異論はないのだ。
本心を言うなら、才のある者を、殺したくはない。
しかし、それゆえ、口だけの者を、生かしたくない。

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