物語編
第三章 第二十話 物語編
第三章 悪因 と 悪果
第二十話 悪と思い込む と 悪と想い返す
「語るに落ちたり、畢竟、此の国の善は王の善。
主観に過ぎず、其れ以上でも、其れ以下でもない。
煩悩に、絶対の証を求めて、相対の罠に落ちている。」
「善いと思い込むものは、善いと思い返すもの。
罪に苛まれるようでは、善いと思い込めていない。
善の裏に悪を抱えて、分裂した心は、苦に浸される。」
「他人を許せないものは、自分を許せなくなる。
口先だけなのは、他でもない、自らがそうなのだ。
他の闇に己を映して、葛藤した心は、業に侵される。」
「軽く感じようが、重く感じようが、自業自得。
賢い王よ、当り前に、業の深遠を、誇っているが、
愚かな王よ、それさえ、自ら勝手に、選んだことだ。」
「確かに、はじめは、法で裁いていたのだろう。
しかし、今となっては、業に縛られているだけだ。
可哀相に、もう自力では、止められなくなっている。」
「体を、取り繕っていただけと、認めてしまえ。
本心では、誰かに止めて欲しくて、仕方ない筈だ。
私には、最後の勧告が、末魔の悲鳴に、聞こえるぞ。」