物語編
第三章 第二一話 問答編
マサシ 善(ゼン)とは、どういうものですか?
アキラ 善は、悪の対で生まれる、性質のこと。
梵語で、プンニャとも、呼んでいるもの。
欲は、徳を以って、善と悪が分かれたもの。
善にもなる、悪にもなる、徳の中の身である。
マサシ 徳(トク)とは、どういうものですか?
アキラ 徳は、欲と対で生まれる、性質のこと。
梵語で、「グナ」とも、呼んでいるもの。
徳は、欲を持って、善と悪を合わせたもの。
善でもない、悪でもない、欲の空の器である。
アマミ 最後の最後には、善が悪に勝つのですか?
マコト 彼方の、予想を超える、善が勝ちます。
現在、彼方が考えている、善は負けます。
つまり、あらゆる我や、あらゆる悪や魔は、
漏れなく、大いなる徳に、組み伏せられます。
彼方が、善が勝つと、信じたいのなら、
その善に、歓んで、我を捧げることです。
そうすれば、自ずと、その善が徳に変わり、
大いなる徳に、喜んで、溶け込んでいきます。
反対に、我が善いと、信じているなら、
その善に、歓んで、取り付かれています。
そうすると、自ずと、その善が悪に換わり、
大いなる魔に、喜んで、取り憑れていきます。
善と徳が分かるなら、徳が優ると解き、
善と徳が解らないなら、善が勝ると説く。
最後に善が勝つとは、方便のひとつであり、
自我を神に捧げないと、最後に裏切られます。