物語編
第三章 第三一話 問答編
マサシ 小乗(ショウジョウ)は、どんなものですか?
アキラ 小乗は、個を乗せる、小さな乗り物で、
梵語では、ヒナヤーナとも呼ばれるもの。
個人という、条件に限って、因果を越える。
山に譬えれば、ある道を登り、頂上に達する。
マサシ 大乗(ダイジョウ)とは、どんなものですか?
アキラ 大乗は、他も乗せる、大きな乗り物で、
梵語では、マハーヤーナと呼ばれるもの。
他者という、条件に広げて、因果を越える。
山に喩えれば、どの道も登り、頂上に達する。
ムツ 菩薩の道を歩みたいと、思っています。
真理を持ち歩いて、読み進めていますが、
三章から急に、頭に入って来なくなります。
時を同じくして、実生活も厳しくなりました。
マコト たとえ、どれだけ、善業を重ねようと、
あるいは、どれだけ、善政を施そうとも、
必ずや、自分も世界も、悪くなってしまう。
第三章は、欲界の限界を、解き明かしてます。
欲界の主たる、第六天魔を演じている、
登場人物に、完全に感情移入できたとき、
読み手は、欲界を超えて、色界に至ります。
貴方の心に、法徳の絶叫が、響いていますか?
幾ら、善を積んでも、欲界を巡るだけ。
徳を積まない限り、色界には進めません。
善と徳の違いが、未だに解っていないため、
欲天でも良いかと、漏れが尽きてはいません。
欲界が、閉じていると、確認したとき、
存在も消せず、永遠に幽閉される恐怖に、
わたしはひとり、発狂しそうに為りました。
ここ迄思い知ると、菩薩道の尊さが解ります。