物語編
第三章 第三二話 物語編
第三章 欲界 と 色界
第三二話 欲を司る世界 と 型を司る世界
「これが偶然なものか、すべてが必然のものだ。
欲に疲れさせ、欲を越えさせる、欲を越えた天意。
天を越えて、地が動いたことなど、只の一度もない。」
「王よ、汝が、自らの意志で、積み重ねたもの、
其の全てが、天が積ませたものと、認められるか。
天が許さねば、何ひとつ適わないと、認められるか。」
「汝が言う通り、欲を司る、欲界は閉じている。
そして、その裏に、徳を司る、色界が開いている。
その色の世界が型となり、この欲の世界が形になる。」
「型が現われないのに、形が現われようがない。
逆に形が現われるところ、既に型が現われている。
王の威光を遡るところ、実に、天の意向に過ぎない。」
「その業に自負を持つ者、賢明なる国王に問う。
汝が積み重ねたもの、その全てを、委ねられるか。
汝が罪と観とめたもの、その悉くを、任せられるか。」
「すべて、仕組まれていたと、明らめてしまえ。
ここで、諦められることも、既に仕組まれている。
欲を以っても、良く成らない、これこそ、天の仕掛。」