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物語編

第三章 第三六話 物語編

第三章    文殊   と   普賢
第三六話 識別を司る智 と 直観を司る智

 

三度、礼を踏み躙られたのを、覚えていよう。
あの奇行は、単なる無礼でもなく、偶然でもない。
我が師が、汝を導こうとして、敢えて犯したものだ。

 

他の命を殺めるとき、業を引き継いでしまう。
つまり、自らの徳よりも、大きな徳を殺めるとき、
我が器の中から、業が溢れ出して、心の闇が現れる。

 

実際、師に煽られて、汝は乗せられてしまい、
師を殺めてしまったため、後には退けなくなった。
行き着く所まで行き着いて、隠された罪が暴かれた。

 

即ち、自己の命を屠らせ、相手に命を委ねる、
生命を犠牲にして、天命に復活する、雛型の理論。
この法を操れるのは、型を受け容れた、菩薩だけだ。

 

何を隠そう、雛型の型とは、色界の色のこと。
色界に暮らす菩薩だけが、時代の型を説き示せる。
智と徳を備えない者に、世界の中心は読み解けない。

 

色界に理が埋れるから、欲界に利が生まれて、
色界にて型が創られるから、欲界に形が作られる。
菩薩の道を進まない者に、欲界の裏は読み解けない。

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