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物語編

第三章 第三三話 対話編

CASE 利己 の裏に 利他

 

マナミ 己を利する、利己って、どういうものなの?
マサシ 利己とは、自らを利して、他を律することさ。
マナミ 我を利して、他を律すると、どうなるのかな?
マサシ 善業を摘んで、悪業を積んで、苦しくなるよ。
マナミ 利己って、我を利するのに、我を律している?
マサシ そうさ、結局、利己とは、自利ではないのさ。
マナミ 他を利する、利他って、どういうものなの?
マサシ 利他とは、自らを律して、他を利することさ。
マナミ 我を律して、他を利すると、どうなるのかな?
マサシ 悪業を摘んで、善業を積んで、楽しくなるよ。
マナミ 利他って、他を利するのに、我を利している?
マサシ そうさ、結局、利他こそ、自利だったわけさ。
マナミ 我がため、振り回していると、苦しくなり、
    他のために、振る舞っていると、楽になるの?
マサシ 我を含め、皆のために、振る舞っている方が、
    在りのまま、在るべき姿、自然ということさ。
マナミ なるほど、我が為は不自然、他の為が自然ね。
マサシ そうさ、無数の自我から、唯一を選び続ける。
    それって、不自然なくらい、律しているのさ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 利己 の先に 利他

 

メグミ 楽が生まれると、同じだけ、苦が埋まれるの。
サトミ 先に楽しむと、其の分だけは、後で苦しむの?
メグミ そうなのよ、百を楽しむと、百まで苦しむの。
サトミ 苦しむと、解っていたら、何も楽しめないわ。
メグミ 先に苦しむと、其の分だけ、後で楽しめるよ。
サトミ 確かに、そうだけど、それでも、何か嫌だな。
メグミ うん、そう考えるほど、閉塞感が生じるよね。
サトミ ずっと、苦しみを抱えて、生きるしかないの?
メグミ 我がことを、考え続けると、そうなるけど、
    周りのことを、考え続けると、そうならない。
サトミ う~ん、良く解からないな、どういうこと?
メグミ 先に、我が苦しむときは、皆を楽にさせて、
    後から、我が楽しむときは、皆と愉しむのよ。
サトミ なるほど、そう考えれば、何か良い感じだね。
メグミ でしょ、こう考えると、開放感を招じるよね。
サトミ 我ばかり、思って居たら、総じて苦だけど、
    他のために、想って居たら、総じて楽なのね。
メグミ ずっと、楽しみを追って、生きて行けるのよ。
    これまで、苦しんだ分だけ、喜びが生じるよ。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 利己 という 利他

 

サトシ 己を利する、利己って、どういうものかな?
マナミ 利己とは、自我が解する、利を望むことなの。
サトシ 他を利する、利他って、どういうものかな?
マナミ 利他とは、他我を介する、利を望むことなの。
サトシ う~ん、自らを利するのに、周りを考えるの?
マナミ うん、他を見とめないと、我が良くならない。
サトシ じゃあ、他を認めない欲は、どうなるのかな?
マナミ 最初こそ、良くなるけど、次第に悪くなるの。
サトシ つまり、他を介していくと、条件が変わるの?
マナミ うん、他を巡っていくと、良くが飽くになる。
サトシ じゃあ、他を見とめる欲は、どうなるのかな?
マナミ 最初こそ、悪くなるけど、次第に良くなるの。
サトシ つまり、他を介していくと、条件が換わるの?
マナミ うん、他を廻っていくと、飽くが良くになる。
サトシ 進んで、他を認めてないと、悪くなるばかり、
    前もって、他を認めていると、良くなるのか。
マナミ 智が無いと、利そうとして、害していくだけ。
サトシ そっか、真に賢くないと、真に利せないんだ。
マナミ うん、小賢しいばかりでは、害するだけなの。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 利己 と 自利 と 利他

 

サトシ 自ら利する、自利って、どういうものかな?
アツシ 自利とは、自分のことを、利していくことだ。
サトシ 己を利する、利己って、どういうものかな?
アツシ 利己とは、自らを利して、他を律することだ。
サトシ 自らのため、我を利すると、どうなるのかな?
アツシ 我が楽しむと、善業が落ちて、楽が寡くなる。
サトシ 自らのため、他を律すると、どうなるのかな?
アツシ 他が苦しむと、悪業を積んで、苦が多くなる。
サトシ 他を利する、利他って、どういうものかな?
アツシ 利他とは、自らを律して、他を利することだ。
サトシ 自らのため、我を律すると、どうなるのかな?
アツシ 我が苦しむと、悪業が落ちて、苦が寡くなる。
サトシ 自らのため、他を利すると、どうなるのかな?
アツシ 他が楽しむと、善業を積んで、楽が多くなる。
サトシ 我だけ、自分と見ると、自らの為にならず、
    全体まで、自分と見ると、自らの為になるの?
アツシ そうだ、本当の自分は、世界そのものだから。
サトシ もう、何が本当の自分か、解らなくなったよ。
アツシ 我を介して、少しずつ、確かめて行けば良い。
サトシ ……………………!!

 


 

CASE 利他なき利己 と 利己なき利他

 

サトミ 利己と利他、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 我が解する、利己って、どういうものかな?
メグミ 利己とは、自らが解して、自らを利すことよ。
サトミ 他を介する、利他って、どういうものかな?
メグミ 利他とは、周りを介して、自らを利すことよ。
サトミ 利己に望み、利他に臨まないと、どうなるの?
メグミ 利他なき利己なんて、唯の自暴に過ぎないよ。
サトミ じゃ、己を利そうとも、他を利さないのかな?
メグミ そうよ、他を介してこそ、自らを利せるのよ。
サトミ 利他に望み、利己に臨まないと、どうなるの?
メグミ 利己なき利他なんて、只の自棄に過ぎないよ。
サトミ じゃ、他を利そうとも、己を利さないのかな?
メグミ そうよ、我を解してこそ、自らを利せるのよ。
サトミ 利己だけでは、他を利さず、我を利せないし、
    利他ばかりでは、我を利さず、他を利せない。
メグミ うん、利己と利他、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、利他を介し、利己を解していくの?
メグミ そうなの、利己を究め、利他を極めていくの。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 自 利 利 他

 

サトシ あのね、自利利他って、どういうものかな?
マサシ 自利利他は、利他こそが、自利に他ならない。
    利己では、自利に成らない、そういうことさ。
サトシ 己を利する、利己って、どういうものかな?
マサシ 利己とは、利を見とめて、自らを利すことさ。
サトシ 理に臨まず、利を望むほど、どうなるのかな?
マサシ 得を追い、損に負われて、欲が深くなるのさ。
サトシ 他を利する、利他って、どういうものかな?
マサシ 利他とは、理を見とめて、自らを利すことさ。
サトシ 利に臨まず、理を望むほど、どうなるのかな?
マサシ 損を負い、得に追われて、徳が高くなるのさ。
サトシ 直接に、利を追っていると、自らを害すけど、
    間接的に、理を負っていると、自らを利せる?
マサシ 与えた利は、世の中を巡り、我に返って来る。
    その理を解し、他を介す方が、自らを利せる。
サトシ う~ん、本当に、自分の所まで、還って来る?
マサシ 必ず、返って来るけど、君は、認められない?
サトシ 二度と、帰って来ないって、そんな気がする。
マサシ それだけ、欲が深ければ、そう見えるかもね。
サトシ ……………………

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