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物語編

第三章 第三九話 対話編

CASE 無辺 の裏に 有辺

 

マナミ 限界が無い、無辺説って、どういうものなの?
マサシ 無辺説は、全ては無限って、説くことなのさ。
マナミ 限界が有る、有辺説って、どういうものなの?
マサシ 有辺説は、総ては有限って、説くことなのさ。
マナミ う~ん、無辺説と有辺説、どちらが正しいの?
マサシ どちらが、正しいではなく、どちらも正しい。
マナミ じゃあ、無辺説が正しいって、どういうこと?
マサシ あらゆる、二元の分け方は、無限であるのさ。
マナミ じゃあ、有辺説が正しいって、どういうこと?
マサシ いかなる、一元の合せ方も、有限であるのさ。
マナミ すると、分けるから無限、合せるから有限ね?
マサシ うん、分析は無限でも、総合は有限なのさ。
    つまり、意味は無限、という 意識は有限さ。
マナミ 無辺説は、前半を説いて、真理と解くけど、
    有辺説では、後半を解いて、真理と説くのね。
マサシ そうさ、どちらも、真理を説いているだけさ。
マナミ せっかく、分かりやすく、解いてくれたのに、
    一方に、囚われたから、別けてしまったのね。
マサシ 今回こそ、解かりやすく、説いたつもりだよ。
マナミ ……………………!!

 


 

CASE 空 無 辺 処

 

サトシ 上から四番目、空無辺処は、どういうもの?
アツシ 空無辺処は、空に関わる、無色界のことだな。
サトシ 此処って、一元だけど、どんな一元なのかな?
アツシ 空間は、無辺であるって、見ている境地だな。
サトシ 無限って、認めているなら、完全な一元だね。
アツシ 残念ながら、実際の所は、そうでもないんだ。
サトシ どうして、無限を認めても、一元じゃないの?
アツシ 実際に、空間が無限であると、見とめるとき、
    裏で、空間が有限であると、見とめてしまう。
サトシ 確かに、欲も型もない、一元の世界だけど、
    潜在的に、二元に落ちる、可能性が有るわけ?
アツシ ああ、空間が無限であると、思っていると、
    いずれ、空間が有限であると、想ってしまう。
サトシ それなら、真の一元に入るには、どうするの?
アツシ 空に関して、何であろうと、思い込まない。
    想い込むから、一元が崩れる、因を抱え込む。
サトシ そっか、思い込むから、二元が埋まれるのか。
    じゃ、一元に居たいなら、想い込まない事か。
アツシ そうだが、そうだと、もう、思い込んでいる。
サトシ ……………………

 


 

CASE 有辺なき無辺 と 無辺なき有辺

 

サトミ 無辺と有辺、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 無辺を説く、無辺説は、どういうものかな?
メグミ 無辺説は、限界が無いと、そう説くことだよ。
サトミ 有辺を説く、有辺説は、どういうものかな?
メグミ 有辺説は、限界が有ると、そう説くことだよ。
サトミ 無辺を望み、有辺に臨まないと、どうなるの?
メグミ 有辺なき無辺なんて、唯の有辺に過ぎないよ。
サトミ じゃ、限界が無いって、否定に徹しているの?
メグミ そうよ、否定が過ぎると、肯定に転じるのよ。
サトミ 有辺を望み、無辺に臨まないと、どうなるの?
メグミ 無辺なき有辺なんて、只の無辺に過ぎないよ。
サトミ じゃ、限界が有るって、肯定に徹しているの?
メグミ そうよ、肯定が過ぎると、否定に転じるのよ。
サトミ 無辺だけでは、辺を撤して、辺に徹するし、
    有辺ばかりでは、辺に徹して、辺を撤するの?
メグミ うん、無辺と有辺、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、有辺を究め、有辺を極めていくの?
メグミ そうなの、無辺を超え、有辺を越えていくの。
サトミ ……………………!!

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