物語編
第三章 第四十話 物語編
第三章 相対 と 絶対
第四十話 陰陽が現れる と 陰陽が隠れる
『第六の天魔は、あくまで、菩薩と言われるか。
魔王が堕ちて逝かないと、天地が裂けて行くのか。
そして、その大役こそ、私に定められた運命なのか。』
座り込んだまま、頭だけを上げた、彼に語り掛ける。
「色は、陰と陽の彩りにして、光と闇の移ろい。
この世で、光が強くなると、闇も強くなっている。
全てを光で覆い尽すには、誰かが闇を負う事になる。」
「光ばかりでも、闇ばかりでも、色は現れない。
色が現われないと、型も現われず、形も現れない。
形が無い欲では、何が良くなるのか、良く分らない。」
「即ち、第六天界とは、人の欲を形に変える天。
悪魔の面にて、欲望を適えて、自らは善業を積み、
菩薩の相をして、絶望も敵えて、周りの智慧を磨く。」
「即ち、第六天魔とは、衆生に知恵を授ける蛇。
悪魔の相にて、科学を貸して、地に足を着けさせ、
菩薩の面をして、真理も課して、天に人を近づける。」
「この尊い業を、汝が負わずに、誰が追うのか。
恐れるな、悪魔の指名を受け、菩薩の使命を果せ。
相克に見るものを、相生に観ること、これが仕組だ。」