物語編
第三章 第四五話 物語編
第三章 正念 と 邪念
第四五話 念に従がう念 と 念に逆らう念
「三千世界の縮図たる、人界に器が造られると、
ありとあらゆる世界から、魂が生まれ変り始めた。
人間界とは、玉石混交、因縁が集う交流の場である。」
「宇宙広しと言えど、斯くも稀な世界は珍しい。
他の次元と断絶されて、宛ら、箱庭の如きであり、
多くの種族に見守られて、万物の典型を演じている。」
「放って置けば、欲界が善悪に分かれるように、
捨てて置けば、人の世界も極端に別かれてしまう。
故に、色界から、菩薩が生まれ変わり、人々を導く。」
「確かに、同様なことが、天界でも起きている。
空居の天は、戯れに過ぎて、無智に被われていき、
地居の天では、頑なに過ぎて、無智に覆われていく。」
「放って置けば、人々が欲望に流されるように、
任せて置けば、天の神々も慢心に嵌まってしまう。
故に、色界から、弥勒が生まれ変わり、神々を導く。」
「天の修行場は、中央の第四天界が選ばれるが、
たとえ、弥勒の直伝でも、実際の苦悩を欠くため、
天界の悟りは、人界の悟りに比べ、遥かに及ばない。」