物語編
第三章 第四五話 問答編
マサシ 正念(ショウネン)は、どういうものですか?
アキラ 正念は、念に従がい、念が強くなること。
即ち、念と念が和して、念の力が増すこと。
ある時にAを望んで、その時に非Aに臨めば、
どちらも認めようとし、どちらも見とめられる。
マサシ 邪念(ジャネン)とは、どういうものですか?
アキラ 邪念は、念に逆らい、念が弱くなること。
即ち、念と念が克して、念の力が減ること。
ある時はAを望んで、ある時は非Aを望めば、
どちらも適えようとし、どちらも叶わなくなる。
シナノ 正しい念の力で、災害を消しても良いですか?
マコト 邪念は、Aではあるが、非Aではない。
正念とは、Aでもあるし、非Aでもある。
Aも非Aも、どちらも認め、覚悟すること。
これこそ、正しい念の使い方、仏陀の念です。
邪念では、Aを望んで、非Aに臨まず、
Aの対立で、差が生じて、Aが残ります。
一時的に、片方だけ選んで、安定しますが、
最終的には、他方まで択んで、安心しません。
正念では、Aも見とめ、非Aも認めて、
Aの対立で、差が消えて、Aを超えます。
一時的に、どちらか招じて、動揺しますが、
最終的には、どちらも越えて、安心できます。
たとえ、念を合せて、天災を消しても、
それ自体、業を招じて、人災が生じます。
故意に、風を止めるなら、嵐に苦しめられ、
人工的に、雨を降らせれば、旱に悩まされる。