第三章 第四六話 対話編
CASE 信念 の裏に 疑念
マナミ 信じ念じる、信念って、どういうものなの?
マサシ 信念とは、良くを信じて、良く念じることさ。
マナミ 思いのまま、良い面だけを、念じているの?
マサシ そうさ、良い面を望んで、悪い面に臨まない。
マナミ じゃ、良い面を信じるとき、悪い面を疑うの?
マサシ いつも、信念が生れると、疑念が埋まれるよ。
マナミ ひたすら、信じ続けるほど、どうなるのかな?
マサシ いずれ、信念が覆されて、疑念に変わるのさ。
マナミ 疑い念じる、疑念って、どういうものなの?
マサシ 疑念とは、飽くを信じて、良く念じることさ。
マナミ 思いのまま、悪い面だけを、念じているの?
マサシ そうさ、悪い面を望んで、良い面に臨まない。
マナミ じゃ、良い面を疑うと、悪い面を信じるの?
マサシ いつも、疑念が生れると、信念が埋まれるよ。
マナミ ひたすら、疑い続けるほど、どうなるのかな?
マサシ いずれ、疑念が覆されて、信念に変わるのさ。
マナミ 何か、疑っているとき、何かを信じやすいの?
う~ん、本当にそうかな、そう思えないけど。
マサシ そうかな、それは、簡単に、信じてないかい?
マナミ ……………………
CASE 信念 の先に 疑念
サトシ 僕と君は、これからも、ずっと親友だよね。
マサシ 君から、裏切らないなら、ずっと親友なのさ。
サトシ こんなに、君のことを、僕は信じているのに、
なんで、僕のことを、君は信じてくれないの?
マサシ 君は、僕に押し付ける、僕は君を受け容れる。
たとえ、君が裏切っても、僕は受け容れるよ。
サトシ いやいや、そんな酷いこと、良く言えるよね。
こんなにも、君のことを、僕は信じてるのに。
マサシ 裏切られると、その信念は、疑念に変わる。
両者は共に、自らの念を、押し付けるものさ。
サトシ 違うって、人を信じる心は、もっと純粋だよ。
マサシ 君がね、そう信じていたって、僕は構わない。
僕は、どんな君であろうと、受け容れるから。
サトシ 何だか、格好が良いこと、言っているけど、
結局、君は僕のことを、信じてくれてないよ。
マサシ どんな、君であろうとも、信じているけどね。
僕は、在りのままの君、それを認めているよ。
サトシ ほらね、そんな言い方が、信じてない証だよ。
ひどいよ、信じていたのに、僕を裏切ったな!
マサシ ……………………
CASE 信念 という 疑念
メグミ わたしは、先生のことを、心から信じてます。
私には、信念は有りますが、疑念は無いです。
マコト 必ず、Aを信じていると、非Aを疑っている。
誰でも、信念が強くなると、疑念も強くなる。
メグミ 自分にも、隠れているだけで、疑念が有ると?
マコト そうよ、条件が変ると、信念が疑念に変わる。
寧ろ、強い信念ほど、強い疑念に換わるのよ。
メグミ いいえ、疑いの念など、在る筈が有りません。
わたしは、先生のことを、心から信じてます。
マコト 信の念でも、疑いの念でも、あなたの念なの。
あなたは、他の何よりも、自分を信じている。
メグミ いいえ、そんなことは、絶対に有り得ません。
マコト あら、わたしが諭しても、認められないのね。
信じる、わたしの言うこと、信じられないの?
メグミ そうです、今回のことは、絶対に認めません。
だって、信じています、だから信じて下さい。
マコト 私を、信じないのに、私に信じて欲しいのね。
メグミ 自分は、先生のことを、心から信じています。
他は、信じなくても、これだけ信じて下さい。
マコト ……………………
CASE 疑念なき信念 と 信念なき疑念
サトミ 信念と疑念、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの?
サトミ 表を念じる、信念って、どういうものかな?
メグミ 信念とは、裏を疑うほど、表を信じることよ。
サトミ 裏を念じる、疑念って、どういうものかな?
メグミ 疑念とは、表を信じると、裏を疑うことだよ。
サトミ 信念を望み、疑念に臨まないと、どうなるの?
メグミ 疑念なき信念なんて、唯の疑念に過ぎないよ。
サトミ じゃ、表を信じながら、裏を疑わないのかな?
メグミ そうよ、裏を疑わないと、表を信じてないよ。
サトミ 疑念を望み、信念に臨まないと、どうなるの?
メグミ 信念なき疑念なんて、只の信念に過ぎないよ。
サトミ じゃ、裏を疑いながら、表を信じないのかな?
メグミ そうよ、表を信じないと、裏を疑ってないよ。
サトミ 信念だけは、疑いたいから、信じているし、
疑念ばかりは、信じたいから、疑っているの?
メグミ うん、信念と疑念、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、疑念を究め、信念を極めていくの?
メグミ そうなの、信念を超え、疑念を越えていくの。
サトミ ……………………!!