第三章 第四七話 対話編
CASE 残念 の裏に 無念
マナミ 念が留まる、残念って、どういうものなの?
マサシ 残念とは、欲が適わずに、欲が隠れることさ。
マナミ 叶わないから、欲が消えないと、どうなるの?
マサシ また、欲を適えるために、念が現われるのさ。
マナミ 念が消える、無念って、どういうものなの?
マサシ 無念とは、欲が叶わずに、欲が消えることさ。
マナミ 適わなくても、欲が消えると、どうなるの?
マサシ もう、欲を叶えるための、念が現れないのさ。
マナミ どちらも、適ってないのに、違いが生じるの?
マサシ 違いは、念じ尽くしたか、念じ尽してないか。
念じ尽くしたら、欲と共に、念が消えるのさ。
マナミ たとえ、外のものは、充たされていなくても、
心が、満たされるなら、欲を抱えなくなるの?
マサシ たとえ、結果の方は、充たされていなくても、
もし、人事を尽くせば、心は満たされるのさ。
マナミ う~ん、言い訳している、だけじゃないの?
マサシ 残念だと、言い訳するのさ、無念はしないよ。
マナミ う~ん、良くが適わなくても、本当に良いの?
マサシ おや、残念なのは解るけど、言い訳が多いね。
マナミ ……………………
CASE 残念 の先に 無念
サトミ 良くが飽く、残念って、どういうものかな?
メグミ 残念とは、良くが解けず、飽くになることよ。
サトミ 欲を適えても、欲が解けないと、どうなるの?
メグミ 良くから飽くを、繰り返すことに、なるのよ。
サトミ 適えても、叶わなくても、欲が燻っているの?
メグミ そうよ、だから、いつかは、欲が湧き上がる。
サトミ 良くが空く、無念って、どういうものかな?
メグミ 無念とは、良くが解けて、空くになることよ。
サトミ 欲を適えなくても、欲を解くと、どうなるの?
メグミ 飽くから空くに、移り変ることに、なるのよ。
サトミ 適えても、叶わなくても、欲を越えていくの?
メグミ そうよ、だから、いつでも、心が波立たない。
サトミ 欲が燻っているのか、欲が消えているのか。
傍から見ていても、どちらかは分からないの?
メグミ 遣り残したか、遣り残してないか、だからね。
本人が決めることで、他人は決められないよ。
サトミ そんな気もするし、そうじゃない気もする。
う~ん、もっと、決定的な何かを、教えてよ。
メグミ でも、私から、決められるのは、ここまでよ。
サトミ ……………………
CASE 残念 という 無念
サトシ これって、失敗するのかな、成功するのかな?
マサシ そんなこと、僕に尋ねて、何がしたいんだい?
サトシ 失敗するなら、努力しても、無駄になるよね。
結果が解るなら、努力せずに、諦めるつもり。
マサシ たとえ、僕が、その結果が、解ったとしても、
その結果を、君に教えたって、君は信じない。
サトシ 信じるよ、君の言うことは、絶対に信じるさ。
マサシ 結果を、知ったところで、君は諦められない。
経過から、辿らないと、実感が湧かないから。
サトシ う~ん、良く解からない、どういうことかな?
マサシ そもそも、外のものは、きっかけに過ぎない。
つまり、外を動かし、内を動かしているのさ。
サトシ 外に迫られ、諦らめても、良くが残るけど、
内から認めて、諦らめると、良くが消えるの?
マサシ 外から僕が、失敗と告げても、納得しないし、
後から現実が、失敗と示しても、納得しない。
サトシ じゃ、心が納得するまで、挑戦してしまうの?
マサシ そうさ、納得するまで、何度でも繰り返すよ。
サトシ そうかな、君が教えてくれたら、諦めるけど。
マサシ ……………………
CASE 無念なき残念 と 残念なき無念
サトミ 残念と無念、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 飽くを良く、残念って、どういうものかな?
メグミ 残念とは、悪から善まで、前に返ることだよ。
サトミ 飽くを解く、無念って、どういうものかな?
メグミ 無念とは、悪から徳まで、元に還ることだよ。
サトミ 残念を望み、無念に臨まないと、どうなるの?
メグミ 無念なき残念なんて、唯の懸念に過ぎないよ。
サトミ じゃ、解くなき良くは、良くに徹するのかな?
メグミ そうよ、良くが過ぎると、良くが燻るだけよ。
サトミ 無念を望み、残念に臨まないと、どうなるの?
メグミ 残念なき無念なんて、只の黙念に過ぎないよ。
サトミ じゃ、良くなき解くは、解くに徹するのかな?
メグミ そうよ、解くが過ぎると、良くが黙るだけよ。
サトミ 残念だけでは、徳を知らず、欲が活きない。
無念ばかりでは、欲を知らず、徳を積めない。
メグミ うん、残念と無念、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、無念を究め、残念を極めていくの?
メグミ そうなの、残念を超え、無念を越えていくの。
サトミ ……………………!!