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物語編

第三章 第五一話 物語編

第三章    穢土   と   浄土
第五一話 穢らしい世界 と 浄らかな世界

 

我は、小さな器に対して、不殺生の戒を説く。
汝は、大いなる器に向かって、不殺生の戒を解け。
つまり、個の為には殺すな、公の為には戮せと解け。

 

法徳よ、我が為に殺したなら、如何なるのか。
我が師よ、他の命を断てば、我が命が絶たれる。
恐れ合う、害が増えて逝くから、総じて害が殖える。

 

法徳よ、我が為に殺さないと、如何なるのか。
我が師よ、他の命を守れば、我が命も護られる。
怖れ合う、害が減って行くから、総じて利が増える。

 

法徳よ、他の為に戮さないと、如何なるのか。
我が師よ、悪を懲らしめず、悪が養われるかと。
悪人に善人が殺されて、減って行くのは善人ばかり。

 

法徳よ、他の為に戮したなら、如何なるのか。
我が師よ、悪を懲らしめて、善が育まれるかと。
悪人から善人が守られ、減って行くのは悪人ばかり。

 

個の為には、殺さない法が、善かったものが、
公の為になると、戮さない方が、悪くなっていく。
この絡繰りは、修めても気づかず、治めて気づける。

 

それゆえ、善を摘む者から、命を取り上げよ。
悪を積む者が、悪を摘んでいる、罠を作り上げよ。
摘み取った命で、神の怒りを刻む、天の時を数えよ。

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