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物語編

第三章 第五三話 対話編

CASE 有垢 の裏に 無垢

 

マナミ ねぇ、サマラ、有垢は、どういうものなの?
マサシ 有垢は、煩悩という、垢が覆っていることさ。
マナミ 煩悩に塗れ、迷妄に嵌ると、どうなるのかな?
マサシ 我が強くなり、心が弱くなり、他が現れるよ。
マナミ 心が弱くて、他の所為にすると、どうなるの?
マサシ 思いのままに、不実に覆われ、不等に捕える。
マナミ じゃ、アサマラ、無垢は、どういうものなの?
マサシ 無垢は、煩悩という、垢が落ちていることさ。
マナミ 煩悩を越え、迷妄を消すと、どうなるのかな?
マサシ 我が弱くなり、心が強くなり、他が消えるよ。
マナミ 心が強くて、己の所為にすると、どうなるの?
マサシ 在りのままに、真実に包まれ、平等に捉える。
マナミ 原初、大いなる自分が、独りで居たんだけど、
    煩悩を、持ってから、細かく別れていったの?
マサシ うん、自我が増えると、煩悩も殖えていった。
マナミ じゃあ、最初の煩悩って、何なのか教えて。
マサシ 教えても、伝わらないから、教えられないよ。
マナミ う~ん、意地悪しないで、教えて欲しいの。
マサシ そうして、他の所為にする、それがそうだよ。
マナミ ……………………

 


 

CASE 有垢 の先に 無垢

 

サトミ 垢に塗れる、有垢って、どういうものかな?
メグミ 有垢とは、煩悩に囚われ、迷妄に嵌ることよ。
サトミ 煩悩に堕ち、迷妄が覆うと、どうなるのかな?
メグミ 目が曇り、思いのままに、世界を捕えるのよ。
サトミ 悟りの性が、迷妄によって、隠れてしまうの?
メグミ 誰を捕えても、仏性が無いと、見ているのよ。
サトミ 垢に塗れた人が、真理を説くと、どうなるの?
メグミ 外に有るから、外に望みなさいと、説くのよ。
サトミ 垢が落ちる、無垢って、どういうものかな?
メグミ 無垢とは、煩悩が消えて、仏性が蘇ることよ。
サトミ 煩悩が落ち、仏性が甦ると、どうなるのかな?
メグミ 目が覚め、在りのままに、世界を捉えるのよ。
サトミ 迷いの性が、仏性によって、消えてしまうの?
メグミ 誰を捉えても、仏性が有ると、見とめるのよ。
サトミ 垢が落ちた人が、真理を解くと、どうなるの?
メグミ 内に有るから、内に臨みなさいと、解くのよ。
サトミ 完全な法が、不完全な我の中に、有るなんて、
    誰かから、教えて貰わないと、解らなかった。
メグミ うふっ、この先は、自分自身で、確かめてね。
サトミ ……………………!!

 


 

CASE 有垢 という 無垢

 

サトシ 煩悩が有る、有垢って、どういうものかな?
アツシ 有垢とは、煩悩に塗れて、外に対かうことだ。
サトシ 垢が有ると、不満を抱いて、外に求めるの?
アツシ 自分に無いと、思い込むから、外側に求める。
サトシ 汚れが多い、眼で捕えると、何が見えるの?
アツシ 世界を見ても、自分を見ても、不完全に見る。
サトシ 充ち足りず、何を捉えても、不全に見えるの?
アツシ 何かしないと、良く成らないと、見てしまう。
サトシ 煩悩が無い、無垢って、どういうものかな?
アツシ 無垢とは、煩悩が落ちて、内に向かうことだ。
サトシ 垢が無いと、満足を擁いて、外に求めないの?
アツシ 自分に有ると、思い知るから、内面に求める。
サトシ 穢れが寡い、目で捕えると、何が見えるの?
アツシ 世界を見ても、自分を見ても、完全に見える。
サトシ 満ち足りて、何を捉えても、完璧に見えるの?
アツシ 何もしないで、何も欠けないと、見えている。
サトシ へぇ、煩悩が無いと、そんな風に見えるんだ。
    いつか、そう見えるように、僕もなりたいな。
アツシ ああ、直ぐには無理だったが、頑張ってくれ。
サトシ ……………………

 


 

CASE 無垢なき有垢 と 有垢なき無垢

 

サトミ 有垢と無垢、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 迷妄が覆う、有垢って、どういうものかな?
メグミ 有垢とは、仏性が隠れて、不満を抱くことよ。
サトミ 迷妄を拭う、無垢って、どういうものかな?
メグミ 無垢とは、仏性が現れて、満足を擁くことよ。
サトミ 有垢を望み、無垢に臨まないと、どうなるの?
メグミ 無垢なき有垢なんて、不満さえ抱かないのよ。
サトミ じゃ、満足を知らないと、不満も感じないの?
メグミ そうよ、少しでも知ったら、一気に来るけど。
サトミ 無垢を望み、有垢に臨まないと、どうなるの?
メグミ 有垢なき無垢なんて、満足さえ擁かないのよ。
サトミ じゃ、不満を知らないと、満足を感じないの?
メグミ そうよ、少しでも知ったら、一挙に来るけど。
サトミ 有垢だけは、充ち足りず、飽き足りないし、
    無垢ばかりは、満ち足りて、飽き足りないの?
メグミ うん、有垢と無垢、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、無垢を究め、有垢を極めていくの?
メグミ そうなの、有垢を超え、無垢を越えていくの。
サトミ ……………………!!

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