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物語編

第三章 第五五話 概念編

第三章    抜苦与楽
第五五回 抜苦 の裏に 与楽

 

抜苦は、他の苦しみを、自らが受けること
予楽とは、我が楽しみを、周りに与えること
抜苦は、我が苦に捕われず、他の苦を抜くこと
予楽とは、我が楽に囚われず、我が楽を授くこと

 

苦は、意のままでなく、在りのままのこと
自分が、望んでいること、臨んでいることが
それぞれ、異なっていると、苦しみが表われる
そこで、我が苦しみを望んで、我が苦しみに臨む

 

楽は、意のままであり、思いのままのこと
自分が、臨んでいること、望んでいることが
それぞれ、重なっていると、楽しみが現われる
そこで、他の苦しみに臨んで、我が楽しみを望む

 

抜苦与楽は、菩薩が抱く、慈悲の心のこと
済度を通して、苦を以って、楽に変えていく
悲の心は、衆生の嘆きを、菩薩の憂いに変えて
慈の心では、菩薩の憂いを、菩薩の喜びに換える

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