ＣＡＳＥ　忍辱　の裏に　精進

マナミ　クシャンティ、忍辱は、どういうものなの？
マサシ　忍辱とは、苦しみに臨み、苦に耐えることさ。
マナミ　苦に臨まず、苦を避けるほど、どうなるの？
マサシ　逃げることが、苦しいから、苦が増えるのさ。
マナミ　苦に臨んで、苦を避けないと、どうなるの？
マサシ　逃げないから、苦しまない、苦が減じるのさ。
マナミ　ヴィーリヤ、精進って、どういうものなの？
マサシ　精進とは、苦しみを望み、楽に変えることさ。
マナミ　苦を望まず、苦に耐えるほど、どうなるの？
マサシ　苦は減るけど、嫌々だから、楽は増えないよ。
マナミ　苦を望んで、苦を愉しむほど、どうなるの？
マサシ　苦が消えるし、嬉々として、楽が殖えるのさ。
マナミ　善いものが、巡る場合が、布施と持戒だよね？
マサシ　そうさ、善いもの、楽しみが巡って来たとき、
　　　　楽を抑えるのが持戒、楽を与えるのが布施さ。
マナミ　悪いものが、廻る場合が、忍辱と精進なの？
マサシ　そうさ、悪いもの、苦しみが廻って来たとき、
　　　　苦を減らすのが忍辱、楽に変えるのが精進さ。
マナミ　滞りなく回るほど、自然に立場が逆になるね。
マサシ　……………………！！

ＣＡＳＥ　忍辱　の先に　精進

サトミ　苦に耐える、忍辱って、どういうものかな？
メグミ　忍辱とは、苦しみに臨み、苦に耐えることよ。
サトミ　苦を味わい、逃げなければ、苦が消えるの？
メグミ　悪果を迎えて、悪業を落せば、苦が減るのよ。
サトミ　苦に耐えて、苦が減ってくると、どうなるの？
メグミ　苦の中に、有り難いと感じる、空が生じるよ。
サトミ　苦を越える、精進って、どういうものかな？
メグミ　精進とは、苦しみに臨み、楽に変えることよ。
サトミ　苦を味わい、愉しめるなら、楽が現れるの？
メグミ　悪果を迎えて、善業を積めば、楽が増すのよ。
サトミ　楽に変えて、楽が増えてくると、どうなるの？
メグミ　苦と楽が、釣り合うと観じる、空に変わるよ。
サトミ　忍辱は、悪業を減らし、善悪を釣り合せて、
　　　　精進では、善業を増やし、善悪を釣り合せる？
メグミ　そうよ、善と悪が偏るから、苦を感じるけど、
　　　　逆に、善と悪が偏らないなら、空を観じるの。
サトミ　およそ、人って、悪が多く、善が少ないから、
　　　　悪を減らし、善を増やし、釣り合わせるのね。
メグミ　それなら、善の方が多いと、どうなると思う？
サトミ　……………………

ＣＡＳＥ　忍辱　という　精進

サトシ　身を念じる、身念処は、どういうものかな？
アツシ　身念処は、身体は不浄と、念じ続けるものだ。
サトシ　ともすれば、清浄だと、思い込んでしまうの？
アツシ　ああ、だから、不浄だと、想い続けるわけだ。
サトシ　受を念じる、受念処は、どういうものかな？
アツシ　受念処は、感受は苦痛と、念じ続けるものだ。
サトシ　ともすれば、快楽だと、思い込んでしまうの？
アツシ　ああ、だから、皆苦だと、想い続けるわけだ。
サトシ　心を念じる、心念処は、どういうものかな？
アツシ　心念処は、諸行は無常と、念じ続けるものだ。
サトシ　ともすれば、恒常だと、思い込んでしまうの？
アツシ　ああ、だから、無常だと、想い続けるわけだ。
サトシ　法を念じる、法念処は、どういうものかな？
アツシ　法念処は、諸法は無我と、念じ続けるものだ。
サトシ　ともすれば、自我だと、思い込んでしまうの？
アツシ　ああ、だから、無我だと、想い続けるわけだ。
サトシ　つまり、自然に見えるまで、不自然な方向に、
　　　　忍耐して、念じ続けることが、大事なわけか。
アツシ　そうだ、忍耐を越える忍耐、それこそ精進だ。
サトシ　……………………！！

ＣＡＳＥ　精進なき忍辱　と　忍辱なき精進

サトミ　忍辱と精進、どちらを、重んじるべきかな？
メグミ　どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ　苦に耐える、忍辱って、どういうものかな？
メグミ　忍辱とは、無理に臨んで、道理を望むことよ。
サトミ　楽に変える、精進って、どういうものかな？
メグミ　精進とは、無理を越えて、道理に至ることよ。
サトミ　忍辱を望み、精進に臨まないと、どうなるの？
メグミ　精進なき忍辱なんて、唯の桟道に過ぎないよ。
サトミ　じゃ、苦に臨むだけで、楽を望まないのかな？
メグミ　そうよ、楽を払わないと、道を進めないのよ。
サトミ　精進を望み、忍辱に臨まないと、どうなるの？
メグミ　忍辱なき精進なんて、只の参道に過ぎないよ。
サトミ　じゃ、楽を望むだけで、苦に臨まないのかな？
メグミ　そうよ、苦を祓わないと、道を進めないのよ。
サトミ　忍辱だけは、苦に耐えても、楽に堪えないし、
　　　　精進ばかりは、楽に堪えても、苦に耐えない。
メグミ　うん、忍辱と精進、その両方が、必要なのよ。
サトミ　じゃあ、精進に依り、忍辱に拠っていくの？
メグミ　そうなの、忍辱を究め、精進を極めていくの。
サトミ　……………………！！