第三章 第五八話 対話編
CASE 禅定 の裏に 智慧
マナミ ディヤーナ、禅定って、どういうものなの?
マサシ 禅定とは、念を介すると、念が定まることさ。
マナミ 念を介して、良く念じると、どうなるのかな?
マサシ たとえ、善い体験であれ、悪い体験であれ、
すべてを、良い経験として、身に付けるのさ。
マナミ パンニャー、智慧って、どういうものなの?
マサシ 智慧とは、念を解すると、念を越えることさ。
マナミ 念を解して、良く解すると、どうなるのかな?
マサシ たとえ、善い体験であれ、悪い体験であれ、
実体なき、空の経験として、身に着けるのさ。
マナミ 思いのまま、集中しても、否定が入るから、
そのうち、念が切れていき、身に付かないの?
マサシ そうさ、深い意識に入り、総て肯定すること。
すなわち、深い集中こそが、真実の経験だよ。
マナミ じゃあ、真実の体験って、どういうものなの?
マサシ いかなる、体験で在ろうと、関係が無いのさ。
今ある、現実に集中すること、それが真実さ。
マナミ わたしは、それが真実には、思えないけど。
マサシ 良く念じて、良く解せば、身に着いていくよ。
マナミ ……………………
CASE 禅定 の先に 智慧
サトミ 念を介する、禅定って、どういうものかな?
メグミ 禅定とは、良くを介して、良く認めることよ。
サトミ 欲を持って、悪く介すって、どういうこと?
メグミ 現在に臨まず、過去や未来に、捕われるのよ。
サトミ 徳を以って、良く介すって、どういうこと?
メグミ 現在に臨んで、在りのままを、受け容れるの。
サトミ 念を解する、智慧って、どういうものかな?
メグミ 智慧とは、良くを解して、良く認めることよ。
サトミ 欲を持って、悪く解すって、どういうこと?
メグミ 真実に臨まず、勝手な理屈に、囚われるのよ。
サトミ 徳を以って、良く解すって、どういうこと?
メグミ 真実に臨んで、在りのままを、組み立てるの。
サトミ そうなると、禅定にしても、智慧にしても、
欲から始まり、徳で終るのは、同じなわけね。
メグミ その通りよ、智慧にしても、禅定にしても、
諸刃の剣なの、欲に塗れると、悪く使われる。
サトミ そうなると、良くを持つの、怖くなるよね。
欲なんて、持たない方が、我が身のためかな。
メグミ そうやって、解して行けば、介して良いのよ。
サトミ ……………………!!
CASE 禅定 という 智慧
サトシ 念を定める、禅定って、どういうものかな?
アツシ 禅定とは、因縁を介して、色を究めることだ。
サトシ 思いのまま、因縁を介すと、どうなるのかな?
アツシ 因縁が偏って、望むものしか、臨めなくなる。
サトシ 在りのまま、因縁を介すと、どうなるのかな?
アツシ 因縁が直って、総てのものに、臨めてしまう。
サトシ 念が解ける、智慧って、どういうものかな?
アツシ 智慧とは、因縁を解して、空を究めることだ。
サトシ 思いのまま、因縁を解すと、どうなるのかな?
アツシ 因縁に縛られ、色が濃くなり、空が見えない。
サトシ 在りのまま、因縁を解すと、どうなるのかな?
アツシ 因縁が解けて、色が薄くなり、空が現われる。
サトシ じゃ、因縁を介さないと、因縁を解せない。
反対に、因縁に捕われると、因縁が解けない。
アツシ そうだな、近づき過ぎず、離れ過ぎないで、
禅定を修め、適切な関係を、築き上げるんだ。
サトシ なるほど、寄り過ぎれば、捕われてしまい、
だからって、離れ過ぎれば、捉えられないと。
アツシ こうして、何か介さなければ、何も解せない。
サトシ ……………………!!
CASE 智慧なき禅定 と 禅定なき智慧
サトミ 禅定と智慧、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 良く定める、禅定って、どういうものかな?
メグミ 禅定とは、因縁を介して、良く生きることよ。
サトミ 良く解する、智慧って、どういうものかな?
メグミ 智慧とは、因縁を解して、良く生きることよ。
サトミ 禅定を望み、智慧に臨まないと、どうなるの?
メグミ 智慧なき禅定なんて、暗く介しているだけよ。
サトミ じゃ、因縁を介しても、因縁を解さないの?
メグミ そうよ、分からないから、暗くなるだけだよ。
サトミ 智慧を望み、禅定に臨まないと、どうなるの?
メグミ 禅定なき智慧なんて、狭く解しているだけよ。
サトミ じゃ、因縁を解しても、因縁を介しないの?
メグミ そうよ、広がらないから、狭くなるだけだよ。
サトミ 禅定だけは、解けないから、明るくないし、
智慧ばかりは、定めないから、広がらないの?
メグミ うん、禅定と智慧、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、智慧に依り、禅定に拠っていくの?
メグミ そうなの、禅定を究め、智慧を極めていくの。
サトミ ……………………!!