第三章 第五九話 対話編
CASE 理証 の裏に 現証
マナミ 理なる証し、理証って、どういうものなの?
マサシ 理証とは、言葉を持って、証を立てることさ。
マナミ 原因と結果、二元を以って、証明をするの?
マサシ そうだよ、因果を解して、真実を観じるのさ。
マナミ 現なる証し、現証って、どういうものなの?
マサシ 現証とは、現実を持って、証を立てることさ。
マナミ 現在の実感、一元を以って、証明をするの?
マサシ そうだよ、実感を介して、真実を感じるのさ。
マナミ つまり、因果を辿ると、実感が生じるけど、
理証では、因果で示すし、現証は実感で示す?
マサシ そうさ、因果を解すと、実感を介するけど、
因果なら、外で確かめて、実感は内で確める?
マナミ 外の因果を、内で感じると、どうなるのかな?
マサシ いつの間にか、道理が歪んで、理屈になるよ。
マナミ 内の実感を、外で観じると、どうなるのかな?
マサシ いつの間にか、幽霊に憑かれ、霊感になるよ。
マナミ つまり、内に閉じ篭らず、外に追い求めず、
目の前の、現実を介しつつ、真実を解すのね。
マサシ そうさ、この現実こそが、何より貴い証だよ。
マナミ ……………………!!
CASE 現証なき理証 と 理証なき現証
サトミ 理証と現証、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 理を用いる、理証って、どういうものかな?
メグミ 理証とは、言論を解して、真理に導くことよ。
サトミ 現を用いる、現証って、どういうものかな?
メグミ 現証とは、言霊を介して、真理に誘うことよ。
サトミ 理証を望み、現証に臨まないと、どうなるの?
メグミ 現証なき理証なんて、唯の傍証に過ぎないよ。
サトミ じゃ、言論を解すけど、言霊を介さないの?
メグミ そうよ、因果に捕われて、現実が遠ざかるよ。
サトミ 現証を望み、理証に臨まないと、どうなるの?
メグミ 理証なき現証なんて、只の霊障に過ぎないよ。
サトミ じゃ、言霊を介すけど、言論を解さないの?
メグミ そうよ、実感に囚われて、幽霊に操られるよ。
サトミ 理証だけは、理屈を捏ねて、幻想に嵌まり、
現証ばかりは、幽霊に憑かれ、幻想に填まる。
メグミ うん、理証と現証、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、現証に依り、理証に拠っていくの?
メグミ そうなの、理証を究め、現証を極めていくの。
サトミ ……………………!!
CASE 有形 の裏に 無形
マナミ 形が有ること、有形って、どういうものなの?
マサシ 有形とは、積み重ねることが、出来るものさ。
マナミ 積んで重ねる、長所って、どういうものなの?
マサシ 過まっても、一番下までは、堕ちない点だよ。
マナミ 積んで重ねる、短所って、どういうものなの?
マサシ どうしても、一元の境地に、至れない点だよ。
マナミ 形が無いこと、無形って、どういうものなの?
マサシ 無形は、積み重ねることが、出来ないものさ。
マナミ 積み重ねない、短所って、どういうものなの?
マサシ 誤まったら、一番下にまで、落ちていく点さ。
マナミ 積み重ねない、長所って、どういうものなの?
マサシ いつのまに、一元の境地に、到っている点さ。
マナミ とすると、二元を積んで、出来るだけ登って、
最後の最後、一元に飛んで、頂に辿り着くの?
マサシ 二元の道理は、説明が出来て、安全だから、
出来る限り、因果を辿って、登ると良いのさ。
マナミ じゃ、どこまで、二元の道を上れば良いの?
そして、いつから、一元の地に昇れば良いの?
マサシ それこそ、言葉では、説明が出来ないものさ。
マナミ ……………………
CASE 無形なき有形 と 有形なき無形
サトミ 有形と無形、どちらを、重んじるべきかな?
メグミ どちらも、同じぐらいに、重んじるべきなの。
サトミ 積み重なる、有形って、どういうものかな?
メグミ 有形とは、言で表わせる、形の有るものだよ。
サトミ 摺り抜ける、無形って、どういうものかな?
メグミ 無形とは、言で現せない、形の無いものだよ。
サトミ 有形を望み、無形に臨まないと、どうなるの?
メグミ 無形なき有形なんて、無限階段に過ぎないよ。
サトミ じゃ、積み重ねるのに、辿り着かないのかな?
メグミ そうよ、飛び込まないと、頂に届かないのよ。
サトミ 無形を望み、有形に臨まないと、どうなるの?
メグミ 有形なき無形なんて、空中楼閣に過ぎないよ。
サトミ じゃ、飛び込めるのに、辿り着けないのかな?
メグミ そうよ、積み重ねないと、頂に届かないのよ。
サトミ 有形だけは、二元に詰んで、一元に至らず、
無形ばかりは、二元を積まず、一元に到らず。
メグミ うん、有形と無形、その両方が、必要なのよ。
サトミ じゃあ、無形に依り、有形に拠っていくの?
メグミ そうなの、有形を究め、無形に極めていくの。
サトミ ……………………!!