物語編
第四章 第三話 物語編
第四章 内道 と 外道
第三話 内に容れる道 と 外に捨てる道
此度、降誕した救世主は、馬屋で生まれたとも、
蓮華から生まれたとも、脇から生まれたとも聞く。
仏陀の誕生に、興味を持った人々は、盛んに噂した。
人々は、多様な噂の中から、最も得心する話を、
それこそ、救世主の証として、信じ込もうとする。
つまり、適当な根拠を選び、自らを言い含めている。
型を見抜ければ、形は何でも好きに選べば良い。
色界で型を演じて、これを思い知らされた私には、
こうした風評の類いを、手掛かりには出来なかった。
真の答えは、我が内こそあり、我が外にはない。
外に応えを望むばかりで、内なる答えに臨まない。
それでは、同じ型を悟らず、形だけ違えて繰り返す。
私の魂は、この星の下に、生まれ出た者こそが、
師の生まれ変わりに、違いないと観じ取っていた。
人に説明は出来ないが、自分の中で疑いはなかった。
星の輝きを見上げると、魂が喜びに打ち震える。
これが、私にとって、並び無き証しではないのか。
私は、間違いなく、あの星の下の者に呼ばれている。